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奴隷契約してみた

 鳥が鳥だっただけいい。可愛いし。始祖鳥とかドラゴンじゃなかっただけいいじゃないかと拙者が思ったかはともかく、支配人殿が店主殿を多分別室で寝かせて戻ってきた。鳥さんは拙者の影に入った。必要な時に出てきてくれるらしい。ご飯は拙者の魔力なんだそうだ。

 ぼんやりしていた拙者に、支配人殿が話しかけた。


「売買契約は魔法使いの予約込みで一千万リル。それでよろしいですか?」


「問題ないでござる」


「では、奴隷と主従契約をいたします。いいですか?く・れ・ぐ・れ・も!魔力を注ぎすぎないようにしてくださいね!?」


 魔力コントロールは得意でござる。素直に頷いた。これは押すな押すな的なやつではないでござるな。


「では、こちらに血を一滴たらしてください」


 魔法陣が描かれた書類に血を一滴。書類に血をたらしたことで魔力が馴染み、暗号化された魔法陣を解読することができた。なになに?奴隷は主人の命令を第一とする…これ書き直そう。奴隷は主人の命令を聞かねばならないが、拒否もできる。

 主人が死んだ場合、特定条件下以外では奴隷も死ぬ…これも書き直そう。主人が死んでも死なない。

 奴隷が主人に逆らった場合、強烈な痛みを全身に受ける……これは……強烈に足がしびれるぐらいにしておこう。襲われるような事態になったとき、気をそらせるだろう。こっちは正座とかしないから、驚くに違いない。

 あ、これを書き足しておこう。奴隷は主人の秘密を守らなければならない。

 

「ちょっ、何をしているんですか!?魔法陣が書き換えられてる!?」


「ちょっと微妙な契約をちょいちょいっと書き換えたでござる。この程度、誰にでもできるでござろう?」


『できねーよ!』


 総ツッコミされたでござる。え?できないの??


「はあ……レイター殿が規格外なことにいちいち驚いていたら話が進みませんね。さっさと契約しちゃいましょう。おい、ここに血をたらせ。さっさと。レイター殿はこちらに。お前はこちらに手を置け」


 地味に落とされつつ拙者とエド君は互いの手を書類に置いた。


「今、ここに隷属の契約を成す。魔法陣(システム)起動(スタート)。接続開始」


「………………………」

「…………………………」


 いや、長くね?


「長くないでござるか?」


「普通です。あと少なく見積もって三十分ですよ」


 長い!拙者が書き換えたせい…ではないな。本来の魔法陣を下手くそな魔法使いが色々足したから時間がかかるらしい。大元は一方的なものではなく、対等なものだったようだ。無駄なものを外してシンプルにしていく。エド君やモフリル様と仲良くなれたら、こちらに書き換えてもいいかもしれぬでござる。


 拙者とエド君の左手に魔法陣が刻まれていく。今、エド君は拙者に隷属した。


「………ご主人様。契約内容がおかしい」


「その辺りは落ち着いてから相談でござる」


「…………流石はカルマ値五十?いや、そこと関係ないところもおかしい」


 ブツブツ言っているエド君は放置。ちなみにカルマ値とは善悪を示す値で、高ければ高いほど善人なんだとか。普通はゼロぐらいだそうだ。悪人はマイナスになるらしい。ちなみに五十は聖人レベル……多分エド君が桁を間違えたでござるよ。


 さて、次はモフリル様でござるな。拙者はモフリル様に話しかけた。


「拙者と契約してくれるでござるか?」


「………………(こくり)」


 先ほどからモフリル様は喋っていない。ボディランゲージのみでござる。


「………もしかして、喋れないのでござるか?」


「……!(こくこく)」


 何かを話そうとしても、声にならないらしい。喉をおさえて必死に口をパクパクさせている。


「……ふむ」


 そっと喉に触れる。これは内側、でござるな。よくないものを感知した。内側だからわからなかったのでござろう。飴玉に解呪の魔法陣を刻む。


「噛まずにごっくんしてくだされ」


「……(こくり。ごくん)」


 口から光が溢れている。上手くいったようでござるな。もう一度喉に触れるが、呪いの気配はない。


「これで喋れるでござるか?」


「あ………あ………しゃべ、れ、ます」


 呪いで声を封じられていたせいか、しゃべり方がぎこちないがそのうち治るでござろう。声もモフリル様似でござるなぁ。飴をあげたら笑った。可愛い。エド君も欲しそうだから飴をあげた。嬉しそうだった。


「君の名前は?」


「ふぇ、り、ちーた」


「フェリチータ。遠い国では確か…幸せや幸運という意味でござった。素敵な名前でござるなぁ」


「あ、り、がと、ござ、ます」


 少し照れながら笑うとか、何!?ごちそうさまです!萌えたぎります!!


「尊み秀吉……」


 何故拝む、とシルヴァ殿達がドン引きしていた。それはモフリル様改めフェリチータたんが萌えの権化だからでござるよ。結局フェリチータたん以外にドン引きされたが、萌えは拙者の活動源。キモいと言われたって気にしないもんね~!


 隷属契約の魔法具は使い捨てらしいので、新しい書類に血をたらす。同じように契約を書き換え、最適化する。さっきやったばかりだから、作業は早かった。支配人殿が白目をむいているのが気になったが…見なかったことにした。


「これから、よろしくでござるよ」


「はい。よろ、しく、おねが、します」


 こうして、拙者は二人の奴隷と契約した。


【エドアルドが隷属しました】

【フェリチータが隷属しました】


 また声が聞こえたのでござるが…幻聴でござるかな?

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