人間なのかを疑われてみた
微妙すぎる空気の中、お茶会は終了となった。当然ながら公爵とその娘は投獄された。これからが辛いんだろうね。なんかこう、魂抜けた感じなってたけど。
お茶会が中止になったのは、拙者がめっちゃ危険人物扱いとなってしまったからだ。無害なオタクですよ?いやその……そんなホイホイ地獄への入り口開けたりしないからね!?だからそんなに怯えないでくださいます?
そして帰還したらエド君がお出迎え。
「おかえりなさいませ、御主人様。何をやらかしたか正直かつ簡潔に説明してくださいますよね?」
「……はひ」
「なんでエドは怒っているのですか?タカ様は悪くないですよ。私のために怒ってくださっただけです」
「詳しく話せ」
「……ついにうちの御主人様が神になったか」
「なってないから!なんでそうなったの!?」
エド君の感想がおかしい!!
「常々思っていたんですよ」
「何を?」
「この人、本当に人間なのかなって」
「人間ですよ!!」
まさかの種族を疑われていた件!!拙者ただのオタク!物語で言うところのモブですから!!真顔なので冗談ではないようだなんでー!?
「やっと納得がいった。御主人様は神の子だった。あのバカみたいなカルマ値や清らかな心根にも納得だ」
「いやいや!?エド君戻ってきて!カムバック、エド君!キレのいいツッコミはどこいったの!?真面目な顔で何言ってるの!?」
「タカ様……僕、タカ様を信仰します」
「真顔で何いってんの、シーザ君!信仰しないで!拙者ヒューマン!ただの無害な一般市民だから!!」
「「「いや、それはない」」」
エド君、シーザ君、フェルが同時にツッコんだ。なんで皆こういう時だけ息がぴったりなのかしら!?
「そもそも拙者にとってフェルは可愛いお嫁さんでエド君は頼りになる右腕でシーザ君は大事な仲間なの!信者じゃないのー!!」
拗ねて床に寝転んだ。こんな残念すぎるオタクを崇められないでしょ!正気に戻って冷静になっていただきたい。拙者はただの残念なオタクですからー!
あれ?三人共黙っちゃった?
「可愛いお嫁さん……」
「頼りになる右腕……」
「大事な仲間……」
チラッと見たら、三人共なんでか嬉しそうでござるわ。伝わってなかったのかしら?こういうのって伝わりにくいものなのかもしれないなぁ。
いい機会だからしっかりお伝えせねばなるまい!思い立ったが吉日よ!フェルの手を取り、しっかり目を見て気持ちを伝えることにした。
「フェル、出逢った時はモフリル様そっくりと懐っていたけれど、気がつけばいつからかモフリル様が思い出せなくなるぐらいにフェルを大好きになっていた。世界一可愛くて綺麗で強くて素敵なお嫁さん。いつも感謝してるよ」
「きゅうん!」
なんか胸をおさえてうずくまってハァハァしてらっしゃるんですが?拙者の手を抱きしめるのやめてくださいませんかね?当たってますのよ?
「だ、大丈夫です。私は大丈夫、大丈夫、です。ちょっとドキがムネムネしているだけです……」
「御主人様、大丈夫です。フェリチータは修行が足りないだけです」
そっと拙者の手を救ってくれたエド君。ありがとう。一線超えといてあれですが、処理落ちするとこでしたよ。
それにしてもなんの修行なのかしら?そして明らかに大丈夫ではなさそうなんだけど??しかし、エド君も大丈夫と言うなら大丈夫なんだろう。気を取り直してエド君に話しかけた。
「エド君」
「はい。俺はフェリチータとは違いますよ」
どういうことなの?まあいいか。とりあえずエド君をどう思っているか伝えなければ!
「この世界に来て、エド君には何度も助けられたでござる。本来ならば奴隷身分から開放されたエド君を自由にすべきなんだと理解してはいる。けれど、来てくれると言ってくれて嬉しかった。エド君は今や、拙者にとってなくてはならない唯一無二の右腕なのでござる。本当に感謝してもしきれぬ。いつもありがとう。頼ってばかりで申し訳ないけど、これからもよろしくね」
「ぐほぉ!」
「エド君!?」
エド君までもが胸をおさえてハァハァしてしまった。これなんなの?拙者は普通に話しただけなんですが??
「流石はご主人様……予想よりド直球で来やがったぜ……。それから、俺はご主人様の厄介事をどうにかするためにいるようなもんですから、今後も遠慮なく頼ってください……ハァハァ」
「いや、拙者は素直な感謝をですね?頼りにはしてるけども!」
なんで一昔前の青春マンガ風セリフが出てくるんですかね??エド君に戸惑っていたら、シーザ君が期待に満ちた瞳で拙者を見ていた。次はシーザ君んだね!
「シーザ君は、正直すごいと思ってる。あんな事があっても歪まず真っ直ぐでいられるのは、本当にすごいことでござるよ。あの一件もあったし町には居づらいだろうからと人助けのつもりで来てもらったけど、実際には拙者の方が助けてもらってばかりでござるなぁ。いつもありがとう。シーザ君は拙者にとって大切な仲間でござるよ」
「うにゃあああ……」
「シーザ君!?」
な、泣いた!?え!?わ、悪いこと言った!?なんでえ!?
「ぼ、僕みたいな裏切り者にそんなふうに言ってくれるとか……本当に天使かなにかなんじゃないですか?うにゅううう……嬉しいよぅ……」
あの事件は思ったよりシーザ君を傷つけていたようだ。だが、とりあえずこれだけは言っておこうかな。
「いや、ただの無害な一般市民ですぞ」
「「「いや、それはない」」」
「なんで皆、いきなり真顔で否定するのかなぁ!?天使とか神とかちがーうもん!」
とりあえず大変不服だったので床に転がって不貞腐れたら、皆が笑いだした。皆して拙者をよく見すぎ!と拗ねていたのだが、皆が本当に楽しそうだったから、まぁいいかと思ったのだった。
大遅刻でございますが、なんとか生きております。
なかなかサボりぐせのせいで更新できておりませんが、元気に過ごしております。




