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巻き込まれ召喚されたオタク氏の異世界珍道中  作者: 明。


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お買い上げしてみた

 魔法少女モフモフモフルン。モフルンフェンリル様ことモフリル様は、神狼フェンリルと月の女神のアルテミスの加護を受けた弓使い。クールな外見とは裏腹に、ちょっぴりドジな彼女が拙者は大好きでござった。そんなモフリル様の夢から目覚めたら、なんだか騒がしいでござるよ。


「キィィ、小娘!ご主人様をおよこし!」


「!!(首を横に振っている)」


 拙者…何やら両頬あたたかいフカフカに挟まれているのでござるが…両腕がすごい力で引っ張られていて地味に痛い。


「お客様がお目覚めになったようです。現状に気がついてしまうとまた気絶しかねません。離れろ、馬鹿女共。お客様、ご気分はいかがですか?」


「え…………あ、大丈夫、です?」


 おっぱいに挟まれて腕を引っ張られていたかもしれぬなどという破廉恥な妄想はやめる!拙者は……モフリル様をこの窮状から救わねばならぬのだ!


「支配人殿!モフリル様を!!」


「こちらが契約書になります。三百万リンでそちらの二人とドラゴンをお買い上げでよろしいですね?」


「…はい?」


「サービスで二人の服と下着、ドラゴン用の首輪をお付けします」


 服はともかく、首輪は魔法具だ。明らかに損ではないだろうか。というか、人数が増えたのに桁が下がっている。


「大丈夫ですわ、ご主人様。そのドラゴン、買ったはいいけど大飯喰らいで言うこと聞かなくってぇ。封印するのがやっとだったんですよ。超赤字の不良物件だから、むしろお金を払いたいぐら痛い!」


「余計なことは言わなくてよろしい。まぁ、そういうわけです」


「…そんなに食べるのでござるか?」


「わふ、わふん。きゅ~ん(牢と枷を壊そうとして暴れていたからな。暴れなければ子犬程度の餌でよいぞ)」


 よし、稼ごう。そう心に決めた。可愛いわんこにお腹一杯食べさせるのでござる。


「明らかにモフリル様の代金が入っていないのは?」


「それも超不良品痛い!さっきから叩きすぎです!」


「叩かれたくなければ、余計なことを言うな。まぁ、そういうわけです」


「自分で調教用の酸をかぶってさぁ。片足まで無くしたんです。そのおかげで、変態な客も怯えるほど醜い風貌になりました。こっちは大損ですよ。その美貌と能力なら、愛玩でも護衛でも売りようがあったのに。おまけに満身創痍のくせに暴れて従業員に怪我までさせる始末。うちとしては超不良品だったのです。かといってそこらに棄てるわけにもいかなくて…といったところですね」


 辛かったのでござろうな……涙があふれた。


「じゃ、一千万リルでいいでござるか?」


「なんでそうなりました!?」

「なんでそうなる!?」


 二葉亭の二人が同時にツッコミをした。


「エド君よりモフリル様が安いとか許せないでござる。むしろ、モフリル様には有り金全部注ぎ込んでも足りぬでござるよ!」


 そこは譲れない!モフリル様が安いとかありえないでござる!!


「…まぁ、ご主人様はパーティを組むおつもりですよね?さらに魔法使いを買う…違いますか?」


 そのつもりだったので頷いた。前衛にエド君。後衛兼拙者の護衛としてモフリル様。そして、攻撃魔法使い。パーティとして最低限、あと一人は必要でござる。


「活きのいい魔法使いが手に入りましたら、すぐご連絡します。わたくしでもいいですよ?」


「店主殿、拙者では本当のご主人様の代用にはなれぬでござる。だって、店主殿の大切なご主人様は一人だけでござろう?」


「……………え?」


「それでも拙者の奴隷になりたいのは『人』でいるのが辛いからでござろう?店主殿は唯一のご主人様の願いを叶えてあげないのでござるか?もし拙者が主だったら、奴隷としてではなく人として店主殿が幸せになることを願うでござるよ」


「お前に、何がわかる!」


 店主殿に胸を叩かれた。自動防御が展開しても衝撃が来たあたり、かなりの攻撃力でござるな。


「ご主人様の側にいて、誰より理解していたのはわたくしです!ご主人様が望んでいたことぐらい、わかっています!!わかって……いるけど………」


「…………泣きなさい」


 涙をこらえているようだったから、頭を撫でてそう告げた。辛いなら、泣けばいいのだ。


「ふぇ?」


「よく頑張りましたね。泣きなさい」


「うぇ…………ああああああああああ!あ、ああああああああああ!!ああああああああああああああああああああ!!」


 泣くというよりは慟哭だった。それゆえ、心にその嘆きが響く。


「あ、ああ!ああああああああああ!!ああああああああああああああああああああ!!」


 きっと、ご主人様は『泣くな』といったのでござろうな。耐え続けた嘆きを感じ、優しく頭を撫でてやる。しばらくして声も動きも止まった。どうやら寝たようでござるなぁ。地味に重い。


「………感謝いたします。名前をうかがっても?」


 泣きつかれた彼女を抱き上げる支配人殿。


「タカ=レイターでござる」


「レイター様、こちらを」


「これは?」


「連絡用の鳥使い魔を作る使い捨ての魔法具です。魔力を送り続けますと孵化し、レイター様が望む人間のみにメッセージを伝えます」


 便利でござるな。外見は卵にしか見えない。卵に魔力を送ってみた。すると、あっさり卵型の魔法具は割れてしまった。


「ぶぴぃ」


 卵からポッチャリしたフカフカの黒いヒヨコが産まれた。異世界って鳴き声がおかしいのはデフォ?いや、ラッキーは普通でござるな。

 支配人殿が……というか、皆が変な顔をしているでござる。しかし、このヒヨコさんは飛べそうもないが大丈夫なのでござろうか。

 連絡といえば、歩でござるな。大丈夫だろうか。何か困ってないだろうか。いや、初めてで遠方はまずいでござるな。


「…アカネさんに、足りない食材は無いか聞いてきてほしいでござる」


「ぶぴいぃぃぃぃ!!」


 ものすごい速度でヒヨコが走り去った。風圧凄かった。壁にヒヨコ型の穴が開いたので、そっと塞いだ。歩がよく破壊するから、かなりレベルが上がったでござるよ。


 そして、その横にまたヒヨコ型の穴が開いたのでそっと塞いだ。


「ヒヨコさん、穴をあけたらいかんでござる」


「…ぶぴぃ…」


 く………しょんぼりするヒヨコモフモフ……ひ、卑怯でござる!


「つ、次からは気をつけるでござるよ!」


「ぶぴぃ!」


「あ、アカネさんからの伝言は?」


「ぶぴぃ!」


 立体映像のアカネさんが現れた。


「え?タカさん!?えっと……夕飯はお肉が食べたいです!任せた!!」


 そして、ガッツポーズのアカネさんは消えた。ふうむ、まさかの伝言とは立体映像付きでござったか。


「すごいものをありがとうございます」


「いや、まあ………はい………」


「ご主人様、そこ座れ」


 キレたご様子のエド君にビビり、素直に座る。そして、エド君は常識を語りだした。まず、あの魔法具は三日から七日かけて魔力に馴染む。即割れない。鳥は飛ぶ。地面を走らない。メッセージは声だけ。あの鳥というか、ご主人様がおかしいと言われた。拙者、何も悪くないと思うの。

 一縷の望みをかけて、魔法具が特製品だったんじゃないかなって言ってみた。


 沈痛な面持ちで、支配人殿が首を横に振った。残念ながら、拙者のせいらしい。でも、拙者言われた通りにしただけで、悪くないと思うの!

 モフリル様とラッキーが慰めてくれたが、甘やかすなってエド君に叱られた。エド君最強説が浮上した…と思ったら、ちゃんと聞いていなかったのがバレてまた叱られたでござる。

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