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巻き込まれ召喚されたオタク氏の異世界珍道中  作者: 明。


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首輪を真面目に作ってみた

 首輪には、歴史があった。かつて、獣人が奴隷として虐げられていた暗黒時代。ある王が、美しい獣人奴隷に恋をした。王は彼女に求婚したが、反対され、彼女も愛を受け入れなかった。

 王は、獣人に人権を与え、国を作ることを許した。それが今のモフルンダ。そして、改めて平民となった娘に愛を乞うた。

「私はお前の愛の奴隷である。だからどうか、私と揃いの首輪をしておくれ」

 こうして、王と娘は結婚した。二人の首にはいつまでも首輪があったそうだ。その話にあやかろうと、結婚する者は首輪をすることになったそうな。首輪を贈る=永遠の愛を誓うって事らしい。


 首輪って奴隷っぽいと思ったらば、まんま奴隷から来ていた件。愛の奴隷ってなんぞ。


「フェル的にはどうなのでござるか?首輪というよりチョーカー的な方とどっちがいい?その……捕まってた時に嫌な思い出とかない?」


「正直酸を被ってからは熱で朦朧としていたのでほぼ覚えておりませんね。呪いもあって記憶もおぼろげです。その……やはり首輪には憧れます……。私にもいつか王様みたいな方が……と夢を見た時期もありました」


「なるほど。じゃあ首輪タイプがいいのかな。お兄さん、材料は持ち込みもできますかな?」


「加工代とパーツ代がかかるな。モノによってはなめすところからだから、時間がかかる」


「なるほどなるほど。この中だったらどれが向きですかな?」


「……ふぁ」


 お兄さんが奇声を発して固まった。あ、お頭付きは駄目だったかな?ヘビ革にするか、獣皮にするか悩むなぁ。でもなー。獣皮は抜け毛とかあると嫌かなぁ。


「え、ええと……もう好みの問題だからな。その……見たことがない素材なんだが……かなり高級素材なのか?」


「魔物素材は使わないのでござるか?」


「いや、使うが……こんないいものは見たことがない……」


 鑑定したところ、いくつか首輪やベルトに適していると出たものがあったので試しにカットしていただくことに。小型チェーンソーみたいな道具でお兄さんがカットした。




 刃が、折れた。






「「………………」」


「ええと、拙者がカットしても?壊れたやつは弁償します」


「……頼む」


 型紙に合わせてカットしていく。フェルの希望通り、とりあえずは首輪タイプの型紙を使った。


「デザインはどうしよう……?フェル、どれがいい?」


 簡単にデザインを書いてみせた。細身の首輪にレースをあしらい、宝石のチャームとリボンで飾った可愛らしいものから、首輪にチャームだけのシンプルなもの、一応チョーカータイプも描いてみた。


「ふわあああああ……どれも素敵すぎますうううう」


「とりあえず、普段遣いする用とパーティなんかでアクセサリー兼ねるやつでいいかな?」


「ええええええ、ふ、ふたつも!?」


「全部気に入ったなら全部作るけど」


 嫁を喜ばせるためなら、連日徹夜も厭いませぬ。モデルがいいから、許してくれるんなら全部作りたい。やっちゃう?全部いっとく?


「へえ、センスイイじゃん。これなら派手すぎないな。とりあえずパーツ出しとく」


「あ、パーツは作るので。防具を兼ねるゆえ、壊れにくく劣化しにくいものを錬成しますぞ!」


「れんせい」


「錬金術師ですからな!」


 とりあえずミスリル合金でも使いますかなぁ。お兄さんの目がチベットスナギツネを彷彿とさせますぞ。どうしたのですかな??


「あ、パーツ代はもちろん支払いますぞ!」


「そこは心底どうでもいい。錬金術師って、釜とか道具とか使うんじゃねぇのか。少なくとも知り合いは使ってたぞ」


「じゅ、熟練者は無しでもいけますぞ!」


 実際のところ、そこは嘘ではないのだが、浮かれすぎていて普通の錬金術師がどんなもんかって考えていなかった。今度、普通の錬金術士とはどのぐらいのレベルなのかを確認しておいたほうが良さそうだ。

 錬成したミスリルは青みがかった銀色で、フェルによく似合いそうな色に仕上がった。


 レースも見本を見せてもらい、スパイダーの糸で編んでいく。花モチーフにするか幾何学模様にするか、迷いますな。フェルは可愛いから、花で良いですかな?

 レース編みは得意ですぞ!かぎ編みマスターのタカとも呼ばれていましたぞ!


「すげ……オマエ、職人になれんじゃねぇか?早いわ上手いわ……。うわ、こりゃまたすげーな……」


「光栄でござるよー」


 作ったレースを縫い付け、飾り紐を取り付け、透かしの入った月モチーフのチャームに宝石を取り付け、魔術付与した。手順書を見ながら首輪を組み上げていく。まあまあかなー?


「……俺、いらなくねぇか……?」


「いやいや、やはり手順書だけではわかりにくいでござるし、縫い目が当たらない工夫なんかは言われぬと気がつけなかったでござる!」


 内部に高級スパイダーシルクをはり、首に当たる部分はとてもいいつけ心地になる……はず!


「フェル、つけてみて」


「は、はひ!」


 指一本入るぐらいのゆるさで首輪をつけた。うむ、色白のフェルの肌にブラックコブラの黒が映えるでござるなー。レースのフリルが上品かつ可愛らしい。揺れる組紐と透かし彫りの月がエレガント!この首輪ならアクセサリーとしても使える。婚約首輪って感じかな。

 フェルに鏡を出して見せてあげた。


「どうかな?」


「綺麗、でしゅ……ぐすっ」


「フェル!?」


 フェルが泣き出してしまった。え!?お気に召さなかった?めっちゃ似合ってると思ったの、気のせい!?


「ぐしゅっ……すいません……すごく、素敵で。わた、わたし……しあわせすぎてこわくて、でもえっと……うれしくて。たかふみさま、あいしてます。わたし、うまくいえないけど、ほんとに、これ、うれしいの」


 ボロボロ涙をこぼしながら顔を歪めて微笑むフェルは、とても綺麗だった。


「そっかあ。ならよかった」


 すごく喜んでくれたってことだよね?フェルが落ち着くまでしばらく抱きしめていたわけだが、お兄さんがいつの間にか出ていってくれていてとても焦るのであった。

 人前でいちゃついてしまったでござるよ!きゃー!!



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― 新着の感想 ―
[一言] 幸せになれるなら良いじゃない。
[一言] 小さいと言うと怒る錬金術師も、両手パンで錬金してたしね。 貴文よ、自分もお揃いの首輪を装備する事を考えてデザインしているのかな?自分の首にもそれとお揃いの物を填めるのだよ? 貴文を落とし…
[一言] っきゃーーー(* ̄∇ ̄*)←棒読み(笑) いちゃくらいちゃくらとこのリア充共めが…鎖を持て!雁字搦めにしてやるですし!密着しているが良いわぁ!!←ただの御褒美(笑) 愛の奴隷?タカとフェ…
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