再会してみた
ド派手にハナタカダッカーヒャッハー祭りをやらかし、町中綺麗にして怪我人と病人をまとめて癒した。その騒ぎを聞きつけて戻ってきたエド君に正座させられてるなう。
「反省していますが、後悔はしていません」
「潔いのはいいんですがねぇ……!」
エド君が頭を抱えてしまった。大変申し訳ございません。シーザ君は何も悪くないのに拙者の隣で土下座している。
「エド様に任されたのに、大変申し訳ございません!」
「いいんだ、シーザ。俺達の主は止められない。俺がいたって結果は同じだったろうさ」
なんか打ちひしがれてるエド君。いやその……ごめんって!でも仕方ないじゃん!苦しんでる人がいて、助ける手段があるのに見て見ぬふりとか無理!罪悪感でおかしくなるからね、拙者が!
「結果として、良かったこともあったでござるよ。曽根くーん!」
【了解、写真を投影します】
空間に、モフルンダの写真が現れた。
「良かったこと……ですか?」
復活したエド君が写真を確認する。この写真には、一つだけ不自然な点がある。
「………モフルンダ国内だけ、なんだか植物が枯れているような?」
洞察力に優れたシーザ君が、即座に正解した。しかし、これだけではないのだ。
「曽根君、魔力探知スコープの映像を上書きして」
【了解、投影します】
モフルンダの写真の上に、魔力探知スコープの映像が重なる。モフルンダは大きな都市が六つあり、六芒星を描いている。それが綺麗に魔法陣と重なった。
「これ……は!?これはなんですか!??」
「解読した結果、デスピーに生贄を捧げる陣でござるなー。たまたまド派手にハナタカダッカーで空飛んでたら見つけたのでござるよ」
全員が真っ青になった。正確にはこの国の大地の魔力と、死者の魂を捧げるでござる。多分だけど、国の敵対勢力……レジスタンスとか、籠城中の領主に軍をぶつけて、多数の死傷者を出して捧げるつもりだったんじゃないかな?陣には例のカビと杭が使われていたので、さっさと浄化して無効化してやった。きっと向こうは激怒してるだろうねー。
「……褒めるべきか叱るべきかものすごく悩みますね……。とりあえず放置できるものでないのは確かです。破壊したのは一箇所ですか?」
「いや?三箇所綺麗に清めてきたでござる。籠城していた領主様達に感謝されてきたでござるよ」
捨てられた騎士団長ことガイウス殿がいたおかげで、皆様警戒せずに話を聞いてくれたし、浄化させてくれた。今後の対策として浄化の雑巾を置いてきた。あと、カビ取りできるように聖水入りスプレーもね!カビの対策も説明したよ!怒られるだろうから、先に遠方をやってきたんだよ!ガイウス殿のおかげで、どの都市が籠城してるか教えてもらえたからね。ついでに物資も補給してきた。
「仕事が無駄に早い!!」
いや、うん。遅いよりは良くないかな??頭を抱えて倒れたエド君を見つつ、ガイウス殿がおずおずと聞いてきた。
「……こちらの御仁は結局誰なのだ?」
「ああ、主の……お目付け役というか、側近みたいなお方です。タカ様が一番信頼している方ですよ」
「なるほど。俺は元モフルンダ騎士団長、ガイウスと申します。タカ様に命を救われ、息子と妻の病気と怪我まで癒やしていただきました。腕っぷし以外はからきしですが、この御恩を少しでも返したくタカ様に誠心誠意お仕えしたいと考えております。どうぞ、よろしくお願いいたします」
ガイウス殿がエド君に頭を下げた。いやだから、お仕えするのは諦めていただきたいんですけど!?
「説明、してくれますよね?」
「喜んで!」
エド君の笑顔が怖かったのは、言うまでもない。事の顛末を聞いてため息をつかれた。いやその……すみましぇん!でも、仕方ないと思うし内情知る人ゲットしたから許して!!エド君に謝罪していたら、ガイウス殿のお屋敷に誰かが来た。
「ガイウスはいるか!?」
それは、どこかで見たような二人組だった。誰だっけ??どこかで見たのは確かなんだけど……?育ちが良さそうな感じの獣人二人組だった。思い出そうとしたものの、思い出せない。
「……タカ様……」
「はい?」
「まさか、この地で再び相まみえる事になろうとは……!以前は大変申し訳ございませんでした!」
え?お知り合いでしたっけ?とは聞けない感じですね!?泣きながら二人から土下座されてしまった。アワアワしていたら、エド君がこっそり耳打ちしてくれた。
「元奴隷の二人ですよ。追放したクソです」
「あ」
身奇麗になっていたのと興味がなかったから忘れていた。モフルンダの王子と従者……名前すらも聞かなかった二人だ!そもそも拙者、人の顔と名前覚えるのが苦手なんだよねー。だから覚えてなくても仕方ない……よね?
「我々はあの後でレジスタンスの者達に救助され、この地に戻って参りました。モフルンダ奪還のあかつきには、必ずや御恩をお返しいたします。あの時は自分の殿下をお守りするのに必死でしたが……貴方様がいかに寛大で慈悲深いお人柄であったか……行く先々の村や、たまたま旅で出会ったドワーフからも聞き及んでおります。本当に申し訳ございませんでした。感謝してもしきれません」
「本当に……感謝しております」
王子からは一言だけだったけど、嘘はないように感じた。だが彼らはきっと……。まあ、ここで会ったのもなにかの縁でしょ。そう考えて、拙者は笑った。




