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作ってみた

 冒険者ギルドを出た拙者達は、宿に戻ってきたでござる。拙者がはぐれてすぐにノア君とグレイ殿は宿に戻ってきたのではと急いで戻ったが拙者はおらず、考えにくいがラウビウにさらわれたのではとシルヴァ殿と合流して冒険者ギルドに駆け込んだらしい。申し訳ありません。


「しかし、ノアはいつの間にこんなに速く走れるようになったんだ?」


 そういや、ノア君は鍛えているはずの冒険者二人より速かったでござるよ。


「タカお兄さんに魔力操作を教わったから、その応用だよ」


「………タカ」


 シルヴァ殿にジトっとした目で見られたでござるが、これに関しては拙者、無実でござるよ!


「ノア君には魔法というか、錬金術師の才があるのでござる!拙者はちょいっとコツを教えただけでござる!」


「錬金術師…」

「あの不憫職か…」


 大人二人は微妙なご様子でござるが、カッコいいでござるよ、錬金術師。オタクよりよほどいいでござるよ。

 錬金術師は生産特化で魔法は使えても成長率が低めなんだとか。


「家計の助けになりそうだから、いいじゃん。お兄さんも錬金術師なんでしょ?色々教えてね」


「もちろんでござる」


 ノア君と話していたら、アカネさんが出迎えてくれた。


「あ、おかえり~。晩ごはんの材料「んノェウウウウ!食べない!うちのラビルビもラウビウも食べないのぉぉ!!」


「落ち着いて、タカお兄さん!」

「だ、大丈夫だ!話せばわかる!」

「とりあえず、タカに謝っとけアカネ!」


「ご、ごめんなさい?」


「ぐふっ……うぐっ……」

「にゃ~お(泣かないで、ごしゅじんさま)」

「にゅ~」

「みゅ~」


 ラビルビもラウビウ達も、拙者を慰めてくれているでござる。拙者、落ち着いたでござるよ。


「いやもう…ラウビウ、めっちゃなついてるね。本当にごめんなさい」


 アカネさんからかなりガチな謝罪をされたでござるよ。


「拙者も急に泣き出して申し訳なかったでござる。さて、材料は買ってきたから、早速色々と作るでござるよ!それから、ノア君に頼みがあるのでござる」


「僕?なぁに?」


「拙者のレシピや錬金術のコツ。これは、相当な価値があるでござる。だから、悪用はしないこと。それから、この宿を助けてほしいのでござる」


「いいよ。僕、絶対タカお兄さんの技術を悪用しない。お兄さんみたいに、困ってる人を助けるために使うよ。僕、お兄ちゃんが仕事で遠出しなきゃいけないときはここでお世話になっていたんだ。だから元気になれた今、アカネさんのお手伝いをするのは当然だと思う」


 ノア君は笑顔で頷いた。いい子でござるなぁ!


「タカ…正直助かるが、お前にはなんのメリットもないだろう。ただでさえ、お前は……この国を恨んでもいいぐらいだろう」


「…いや、まあクソ姫はあゆ…ポーン殿にしばかれろバァァカと思ってるでござるが、ヒルシュ殿をはじめ、この国には優しい人や恩人がいたでござる。一部の馬鹿には恨み骨髄でござるが、関係ない人まで不幸になっていいとは思わないでござる。宿に親身になるのは、そもそもシルヴァ殿が拙者に優しかったからでござる」


 ちなみに、拙者は敵には…それはもう盛大に祟るでござるがな。余計なことは言わぬが花でござるよ。


「……礼を言う」


「それは宿が繁盛してからにしてくだされ。さて、早速作るでござるよ!」




 ノア君は天才でござった。ハーブからオイル抽出なんかもちょいっとコツを教えただけでこなしている。今作っているのはハーブ石鹸と化粧水。ノア君が作ったオイルを石鹸に混ぜて固める。化粧水は拙者が調合したでござる。手が空いたら瓶に詰めていただこう。ジャンク屋から買った壊れたガラスを可愛い瓶に変える。石鹸は花の形にしてみたでござる。


「か、可愛いぃぃ…!私が欲しい!超欲しい!」


「では化粧水のモニターになってくださ「やる!やります!超やります!!」


 そして、意外にも戦力になったのがラビルビとラウビウ達。気がついたら毛皮は全てラウビウぬいぐるみになっていたでござる。


「ほんげぇぇぇぇぇ!??」


「みゅう、みゅうう?(ごしゅじんさま、ざいりょうたりないよ?)」


「な、何故縫えるのでござるか!?」


「にゃお~ん!(ごしゅじんさまがつくったのみておぼえた!)」


 ラビルビは器用にも長い耳で針と糸を操り縫い物をしていた。ラウビウは前足が退化していて小さく、後ろ足が大きい。そして丸い。長い耳の方が使い勝手がいいのだそうだ。前足は繊細な作業向きだとラビルビが教えてくれた。耳で裁縫、前足でレース編みまでしてみせた。超器用!!


「賢いし、器用でござるなあ!うちのラビルビ!」


「いや、賢いってレベルじゃねぇだろ!」


 ラビルビは拙者と繋がっている状態なので、魔力操作がとてつもなく繊細な作業以外はある程度の模倣ができるらしいでござる。そしてさらにラウビウ達とリンクし、多少精度は落ちるもののラウビウ達も模倣が使えるのだそうだ。ラウビウがすごいのか、ラビルビがすごいのか…謎でござるな。


「ふにゃ~ん」

「にゃ~ん」


 甘えた声で寄ってくるラビルビをナデナデする。モフモフ…気持ちいいでござる。おや、こっちはレース編みもしたでござるか。いい出来でござるな。


「……あ、ありえねぇぇ………」

「………(白目)」

「あ、あははははは……」

「タカお兄さんって、多分色々おかしいよね」


「拙者!?拙者なの!?拙者、なにもしてないでござるよ!?別にラビルビ達に裁縫や編み物を教えたりしてないでござるよ!?」


 必死に異議をとなえた。拙者は無実でござるよぅ!!


「「多分じゃない。完璧におかしい」」


 シルヴァ殿とグレイ殿が見事にハモった。


「索敵能力が異常に広範囲な上に、魔法の精度が変態的だった。城の大賢者のじじいよりも魔力操作は上なんじゃないか?」


「ぐっ!?」


 何故それを!?確かに大賢者を名乗るじい様によくわかんないけどキレられたでござる!


「浄化は掃除には使わない。お前が刺繍した雑巾、汚れない上に知り合いの呪いまで解きやがったぞ」


「なんで呪いまで!?」


「知らなかったのかよ!浄化は生活の知恵じゃねぇ!呪いを浄化する魔法なんだよ!!」


 なんか叱られたでござる。いや、だって綺麗になるからイイジャナイカ。これ、一方的に拙者が叱られるパターン?困っていたら、盛大に腹がなった。


「…………お昼にしよっか」


 盛大に腹をならしたアカネさんに、全員うなずくのであった。拙者も腹ペコでござる。お手伝いの対価に、昼食代はアカネさんもちとなった。拙者、今日のお昼はグラタンを食べたい!


 ノア君とラウビウにより、グラタンはあっという間に完成した。オーブンがなくても魔法があれば焼けるでござるよ!サラダとスープもつけて、いただきます!グラタンはとてもおいしかったでござる。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ストーリは良いが主人公の口調が変で読み難いです。
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