おおぉ、旅人よ
旅人が、
引き止められてもなお、
行かんとする道がある。
それは、、、
おおぉ、旅人よ
そなたは何処へ向かわれるのか
この嵐のなか
独りで何処へ向かわれるというのか
陽も出ず、あたりは真っ暗
強く吹き抜ける風
視界を狭める横雨
おまけに
ぬかるんだ足元
そなたはそれでもゆこうとするのか
ずぶ濡れになって、どろどろになって、
それでもいく価値のある所なのか
貴方はこれからなにを見に行こうとするのか
天国
か
はたまた
地獄
か
独りで行くのは寂しくないかね
人恋しくはならないかね
なぁ、旅人よ
そなたは信ずるまいが
そなたのゆこうとする道は
これまで多くの者が通った道
彼らはみんな
深く傷つき、
自信をなくし、
不安にうろたえ、
絶望のうちに
帰ってきた
そなたもまた、
彼らと同じではないだろうか
わたしには、それだけが心配なのだ
そなたの自信に満ちた目
輝かしい笑顔
勇気の漲る足どり
そういった、
そなたの信じて疑わない無垢な姿が
失われてしまうのが悲しい
わたしはそういう人をたくさんみてきた
何度わたしは
彼らを引き留めようとしただろう
そのうちの何人が
わたしの話に耳を傾けたろう
苦しみに打ちひしがれて
戻ってくる貴方がたをみるのは辛い
なぜなら、、、
昔の自分をみているようだから
そう、
わたしもまた、
夢みた者の一人であった
そうか、旅人よ
そなたもまた、あの道を行くのか
わたしはもう止めない
あの道は、、、
そう
あの道は!
誰にも等しく与えられた試練であったのだ
その意味は、
その価値は、、、
いつになったら気づくだろうか
いつになったら感じるだろうか
わたしにはわからない
そうなのだ
わたしもまた、、
果てしない道をゆく
彷徨える旅人なのだ!
人には、必ず通る道がある。
その景色や色や形は違えど、本質的には同じ道。
貴方は通ってきましたか
それとも
今まさに進んでいますか