村本結菜の過去
「結菜、大丈夫?顔色悪いけど・・・。」
私・村本結菜の探偵学校での友達のさあやこと横身沙耶が私に言う。
もちろん私の成績はよくない。
「ああ、いつもどおり今日も探偵テストがあるからね。」
探偵テストで満点を取れば、速攻次の学年にあがれる。
私はもちろん満点なんかとってない。それどころか点数を取れればラッキーと言うことなくらい。
さあやは凜花さまほどではないけど満点のすぐ下までの点数を取っているすごい生徒。
凜花さまは、探偵学校の最高学年。ほんとは私と同じ年なんだけど、満点をとっていて、現在夏休み前にかかわらず3年生まで上がり、夏休み前確認テストで満点を取れば卒業&探偵確実の状態、まさに天才と言っても過言ではない、はずなんだけど各学年あがるたびに先生を困らせたりしているハチャメチャ生徒で問題児らしい。
でも私とは面識もなく、この学校を去っていくんだろうな。
探偵テストで合格点をとったことのない私は、探偵の才能がないんだろうな。
探偵テスト。それは、実技と筆記に分かれる。
筆記は基本文章問題。文章だけで書かれたことをヒントに謎解きをし、見事犯人とトリックがわかればそれで10点。こんな問題が10問、まずこんなのが無理。私には不可能・・・。
実技は実際に見たり聞いたりして行う、大規模なテスト。先生達が聞き込みで答えたり、警察の役目をしたりしてくれて、部屋も事件直後と設定してある。こちらも犯人と事件のトリックを考え、答えなればいけない。これはそばについてる先生からヒントがもらえる。しかし、ヒントをもらうたびに点数が引かれていって、答えが出てもヒントをもらいすぎて0点なんてことも。
それに合格点は、どちらも50点以上取るか、合計で100点以上取らなくてはいけない。
学期中に一つは必ず合格点が取れないと退学。私は今まで合格点をとったことなどない。凜花様とは程遠い存在できっと終わる。今学期で私はこの学校を退学になる。
ーテスト後ー
私はテスト結果を見てみる。
テストの点数 村本結菜様
筆記 40点
実技 35点
予想通り過ぎる。
私は、これで退学なんだ。3年生のほうから、なんだか騒がしい声がする。
おそらく、凜花さまが200点を取ったんだろう。それくらいは私にも想像できた。でも、そんなことよりも。私は、もうこの学校に通うことができないんだから・・・。
<ピンポンパンポン! 村本結菜さん、至急校長室にお越しください。>
ついに、退学にさせられるんだ。私は半泣き状態で、校長室に向かう。
私は、小さいころから探偵にあこがれていた。
探偵はかっこよくて、警察の見方で頭がいい。私もこんな探偵になってみたい。そう思うようになって、3歳のときから必死に勉強した。探偵になれるように、いつでも探偵になってくださいっていわれても困らないように。でも、でもー・・・!
私は校長室のドアを開けるなり言った。
「退学させられてもまた入ります!何度でもやり直します!」
そこに居たのは校長先生と。あの・・・凜花さま、だった。
「り、凜花さま!?何でここに・・・。」
凜花さまは苦笑いして私に言う。
「凜花さまって、そんなの柄じゃないよ。それに私が呼ばれたのは校長先生に呼ばれたからだよ。」
校長先生はうなずく。ん~凜花さまは私と違って天才だから退学ってのはありえないし。
いったいどうなってんだろ。
校長先生は私達の様子を見ていう。
「君達には、パートナーとして探偵になってほしい。」
・・・は?
「「私(凜)がパートナー!?」」
うん。やっぱそうなるよね。
凜花さまはパートナーなんて要らないほど天才だし、私はパートナーになれるほどの頭は無いはず。
むしろ凜花さまは、一人でやったほうがー・・・。
「いやあ。萌森凜花さんは優秀ではありますが、とんでもない動きをするもので、野放しにではできないと思ってね。テストの解答を見せてもらい、助手に向いてると判断された村本結菜さんをここにお呼びしたわけです。結菜さん、お願いできますか?」
私はうなずいた。退学にさせられるよりは、そのほうがずっといい。
こうして、私と凜花さまは新しく萌森探偵事務所という探偵事務所を開いて事件を解決できる日を心待ちに過ごすことになった。