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【本編完結】信者ゼロの女神サマと始める異世界攻略  作者: 大崎 アイル
第二章 『大迷宮』編

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55話 高月まことは仲間たちに呆れられる

「高月様……」

「まこと……」

 仲間のテーブルに戻ってくると、ニナさんとルーシーが、呆れたような心配そうな顔で話しかけてきた。

 聞こえてましたか、耳の良いお二人は。


「タッキー殿。ソフィア王女に無礼を働いたとか……」

「いやー、ふじやん。失敗したよ」

「高月くん、甘いものでも食べて落ち着いて」

 さーさんが、ケーキを勧めてくる。

 こんなものまであるのか。


「意外でしたね。高月様が、あんなにお怒りになるトハ」

「でもさ、2年前は必死で加護を貰えないか頼み込んだのを、袖にしておいて。それを忘れて、ぬけぬけと自分たちの仲間になれって言ったんでしょ? 怒って当然よ!」

 ルーシーは感情的だけど、いつも味方してくれる。

 こういう所はありがたい。


「タッキー殿。マッカレンを出て、太陽の国(ハイランド)へ移住するのですかな?」

 ふじやんが、寂しそうにつぶやく。


「うーん、王女の護衛の騎士に出てけって言われたからなぁ……」

「桜井くんのいる国に行くの?」

 さーさんは、ドーナツとフルーツを食べている。

 食べ過ぎじゃない?


「他にアテが無いからねー」

「じゃ、私もそこに行くわけね」

 ん? と思ってさーさんのほうを見ると。


「何で変な顔してるの? 私こそ高月くん以外にアテが無いんだから」

 当然でしょ、という顔でワインを飲み干している。

 ドーナツとワインは合わないだろ。


「えぇ、太陽の国(ハイランド)かぁ……」

 ルーシーが微妙な顔をした。

「ルーシーは、ハイランド行きは反対?」


「高月様、太陽の国(ハイランド)は、人族至上主義なんですヨ。ルーシー様のようなエルフや、私のような獣人族は住みづらい国なんですヨ」

 え? そうなの? 知らなかった。


「ハイランドの亜人や獣耳族は、人族より劣った扱いを受けますからなぁ。拙者は、あまり好きではないのですよ。水の国(ローゼス)は、そのへんの差別意識が低いのが良いところですぞ」

「ふじやんは、商売より趣味を取ったのか」

「当たり前ですぞ!」

 ぶれない友人だ。


「ニナさんも、太陽の国(ハイランド)は苦手ですか?」

「あの国の貴族や商人は、獣耳族にはすぐセクハラをしてきますカラ。かといって、顧客を無下にできないので気を使いますネ」

 う、うーむ。ニナさんも、太陽の国にいい印象が無いようだ。


「何より、佐々木殿のようにラミア族であることがばれると、一発でアウトですぞ。間違いなく、追われますな」

「そっかぁ……。そういえば、俺の邪神信仰もハイランドじゃばれるとまずいか……」


「「「それは、どこの国に行ってもヤバイから」」」

 さーさん以外の3人に総ツッコミされた。

 あ、そうですか……。


「よく考えるとルーカスさんや、マリーさんや、串焼きの大将に会えなくなるのも寂しいし。ジャンやエミリーも……」

「国をでるのをやめますか?」

 ふじやんが、期待するように言う。


「うーん、ソフィア王女に頭を下げるのか……」

 あれだけ啖呵を切った手前、非常に躊躇われる。

 桜井くんあたりに頼んでみるか?

 いや、でもなぁ。

 そんなことをうだうだ悩んでいると。

 


「やあ、さっきは大変だったね」

 やってきたのは爽やかイケメン勇者の桜井くんだった。

 この野郎! 誰のせいで悩んでると思ってる!


「桜井くんが変なとこに呼び出すから、大変なことになったよ。どーしてくれる」

 とりあえず、ジト目で非難してみる。

 桜井くんの隣に、隠れるように横山さんがいる。


「大丈夫だよ。高月くんが太陽の騎士団に入ってくれれば、僕が全力でフォローするから」

 にかっと、笑う桜井くん。

 ちょっと、何いってるのかわからないんですけど。


「絶対入らないから」 

 太陽の騎士団て、要は軍隊だろ?

 万年帰宅部の俺が、体育会系の頂点みたいなグループに入るわけないだろ! いい加減にしろ!

 1日でドロップアウトする自信がある。


「た、高月くん。今日は……その。ありがとう」

 横山さんに頭を下げられた。

 俺に話しかけてくるのは珍しい。

 というか、少し怯えられてる?


「別に大したことしてないから」

「な、何言ってるの? ハイランドでも数少ない王級魔法を使えて、今回の忌竜討伐の第二功労者なのよ!?」

 王級魔法は、色々な人に指摘されたけど1回使うのに7日間準備が必要なことをみんな忘れてるんだよなぁ。


「まあ、それはそうと、何か用? 桜井くん」

「そうだ。実は、大賢者様が高月くん……というか、精霊魔法の使い手に会いたいって言ってるんだ」

「す、凄い! ほとんど人前に姿を現さない大賢者様が! やったわね、まこと」

 ルーシーが、自分のことのように喜んでいる。


「えぇ……、もう偉い人には会いたくないんだけど。パスしていい?」

 さっき、ひどい目にあったし。

 自業自得だけど。


「タッキー殿……。大賢者様は太陽の国で、3番目に権威があるというお方。素直に応じておいたほうが……」

「まこと! わがまま言っちゃだめ」

 仲間から、呆れの目で見られる。

 やっぱり、行かないとダメかぁ。


「一人で行かないとだめ?」

「いや、仲間と一緒でも良いって」

「よし、ルーシーとさーさん。一緒に行こう」

 一人じゃ不安だ。


「いいの? やったぁー」ルーシーは飛び跳ねて喜んでいる。

「えぇー、面倒だなぁ。私はいいよ」さーさんは、嫌な顔をする。

 ずっと、のんびり食べてばっかりの友人を巻き込んでやる。


「ふじやんは、どうする?」

「うーむ……、お会いしたい気もしますが、この席を空にするわけにもいきませんので残っておりますぞ」

「高月様、大賢者様にケンカ売ってはいけませんヨ」

「そんなことしませんから……」

 ニナさんからの評価が下がってる。


 俺たちは桜井くんに連れられ、太陽の騎士団の駐屯地へ向かった。


「白の大賢者様ってどんな人なんだ? ルーシー」

「この大陸でもっとも偉大な魔法使いよ。知ってるでしょ?」

「具体的に、どんな人かまでは知らないよ」

 神殿の授業で、太陽の国の権威ある魔法使いだって教わっただけだ。


「初代の大賢者様は、千年前に救世主アベルと共に大魔王と戦った英雄なんだ。これから会うひとはその15代目だね」

 桜井くんが説明してくれた。

「ふぅん、でも初代は凄くても末裔は関係ないんじゃない?」

 さーさんが、鋭いことを言う。

 お願いだから、本人の前で言わないでくれよ?

 俺も思ったけどさ。


「それが違うのよ、あや。大賢者様は『継承』スキルっていう力があるの」

「千年前の初代様の力を代々引き継いできたんだ。大陸最強と呼ばれる所以だよ」

「はぁ~なるほどね」

 伝説の魔法使いの能力を、そのまま引き継いでいるわけか。

 それは強そうだ。


 そうこうしているうちに、巨大なテントの前に着いた。



――耳鳴りがする。


(ま……こ……と。まこと! そこに……入るのはめなさい! ……くそっ!……結界が……)

 女神様? どうしました?

(そいつに……会っては……)

 なんだろう。


 こんな、途切れ途切れなのは初めてだ。

 どうしようか……大賢者様には会わないほうがいいのかな。



「大賢者様。第七師団、団長の桜井です。精霊使いの高月くんを連れて参りました」

 桜井くんが、テントの中に向かって呼びかけた。

 

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― 新着の感想 ―
[一言] 人族至上主義国の偉い人間に会うのに人外連れてくとか殺してくれって言ってるのと同義(笑)
2021/03/26 22:50 退会済み
管理
[気になる点] あれ?さーさん結局ついていったのか笑
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