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【本編完結】信者ゼロの女神サマと始める異世界攻略  作者: 大崎 アイル
第一章 『はじめまして異世界』編
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2話 高月マコトは、取り残される

「やあ、高月くん。目が覚めたんだね」


 一人でぼんやりと考え事をしていると、誰かに声をかけられた。

 振り向くと二人の美女と一緒に、爽やかイケメンが立っていた。


 ――桜井リョウスケ。


 クラスの中心的な存在で、一年にしてサッカー部のエース。

 まがうことなきリア充である。


「桜井くんか。おかげさまで」

「よかったよ。高月くんの目が醒めないって聞いて、心配してたんだ」

「あー、それはどうも」

 正直、彼が苦手なんだよなぁ。

 自分とは対極にいる人間で。


「ステータスやスキルについては、もう聞いた?」

「まあ、一応」

 自分のスキルのことを簡単に話した。

 彼らも自身のスキルを教えてくれた。


 桜井くんは『光の勇者』スキル。

 後ろの女子二人は、『賢者』スキルと『聖剣士』スキルだそうだ。

 みんな、大当たりだね、………………ちくしょう。


「ところでさ。高月くんも僕らのパーティに入らない?」

「え?」

 急になんだ?


「えー、高月くんを?」

 と言ってくるのは、隣にいる川本えりさん。


「高月くんには、別のパーティーのほうが……」

 もう一人の子は横山さきさん。

 クラスの一二を争う美女だ。


「実は、僕ら明日旅立つんだ。だからクラスメイトに声をかけてるんだよ」

「え、明日? 早くない?」

 修行しないの?


「リョウスケは『光の勇者』だから修行なんて必要ないもんねー」

「太陽の国の騎士団長の候補に推薦されてるんだから」

 川本さんと横山さんがうっとりとした表情で説明してくれる。


「よかったら、高月くんも一緒にどうかな?」

 パーティへのお誘い、か。


「周りは知らない人ばかりだし、僕たちは助け合った方がいいと思うんだ」

 桜井は、無邪気な笑顔で言ってくる。


「うーん」

 考える。

 悪くないのか?

 いや、待てよ。


 ついて行っても、今の自分は荷物持ちくらいしかできないぞ。

 下手したらパシリだ。

 桜井くんは、いいやつだからそんなことしないだろう。


 が、両脇の美女二人がこっちを見て

((早く断れ))

 と目で語ってくる。


「ありがたいお誘いだけど、僕は遠慮するよ」

「……そっか、残念だ」

 桜井くんは、本当に残念そうだった。


「高月くんがそう言うなら仕方ないよね。あ、そうだ。サキちゃんが彼に剣術教えてあげれば? しばらくここに残って」

 川本さんがおかしなことを言ってくる。


「それなら、エリちゃんが魔法を教えてあげればいいんじゃないかなー」

 横山さんもすぐさま言い返している。


「ちょっと、馬鹿なこと言わないでよー」

「そっちこそー」

「「ふふふ」」

 川本さんと横山さんが笑い合う。

 一見、親しげだが、何か思うところがありそうな関係だ。

 その原因となっている男は、微妙な空気に気づかないようだけど。


「じゃあ、気が変わったらいつでも声かけてね」

 爽やかに笑って、去って行った。

 川本さんと横山さんは無言だ。


 あ、女子二人が一瞬、睨み合った。

 舌うちが聞こえた気がする。

 女の争い怖い。


 桜井くん、刺されるなよ……?

 ちょっと心配だ。




 ◇




「よぉ、高月」

 しばらくして別のグループに声をかけられた。


「おまえ七属性最弱の『水魔法使い』だったんだって?」

「しかも、初級でしょ? だっさ」

「ステータスが、一般人以下だもんなぁ……」


 北山と仲がいい岡田ってチャラい男と、河北さんというギャルだ。

 北山もいる。

 学校では、よくつるんでいる三人。

 全員揃うと、ただのヤンキー集団。

 つまり超苦手。


「なぁなぁ、お前どんな職業にするんだ?」

 ニヤニヤしながら、岡田が聞いてくる。


「まだ、決めてないかな。岡田くんは?」

「おれ? 俺は戦士だな! 『大剣・超級』スキルでモンスターをぶった切ってやるよ!」

「私はねー、『大魔道』ってスキル。『火』『水』『木』『土』の上級魔法全部使えるんだって! 凄くない?」

 河北さんには聞いてない、と思いながらも「凄いね」と返しておく。

 要するに自慢だ。


「いいよなー、お前らはすぐ使えるスキルで。俺は竜騎士だから、まずは飛竜を捕まえるところから始めないといけないっぽいんだよなー、めんどくせー」

 北山は、そういいながらも楽しそうだ。


「お前は、『槍使い・上級』と『韋駄天』もあるだろうが! 贅沢なんだよ!」

「ねぇ、竜を捕まえたら乗せてね」

「おう、任せとけ」

「おいおい、俺の女口説くなよ」

「口説いてないって!」

 岡田と河北さんは付き合ってたのか。

 知らなかった。


 結局、こちらのことはほとんど聞かれず、一方的に自慢話を聞かされて終わった。




 ◇




 異世界に来てから一ヶ月。


 クラスメイトの3分の1は、どこかの国の偉いさんや、団体からスカウトが連れて行った。

 早々に居なくなったのは『光の勇者』のような超強力なスキル保持者だ。

 スカウトは早い者勝ちみたいで、入れ替わり立ち代わり色々な人がやってきた。

 その人たちの話を聞いていく中で、俺たちがいる大陸の情勢が見えてきた。


 俺たちがいる大陸は『西の大陸』と呼ばれており、その中に6つの国が存在している。

 簡単にまとめると


太陽の国(ハイランド)……大陸の盟主。最も国力があり、人口、軍事力、財政力で大陸トップ。

火の国(グレイトキース)……国の半分が砂漠。武術が盛んで、獣人と傭兵が多い。

水の国(ローゼス)……今いる国だ。観光業が盛ん。あと、教会の力が強い。

木の国(スプリングローグ)……国のほとんどが森林。エルフの力が強い。獣人もいるそうだ。

商業の国(キャメロン)……カジノの運営と金貸しが盛ん。

土の国(カリラーン)……地下国家。ドワーフの力が強い。金属業が盛ん。


 こんな感じである。六国の関係性は、そこそこ良好。

 すくなくとも戦争などは無いらしい。

 あと、月の国(ラフィロイグ)という国が昔あったそうだが、今は滅んでいる。


 クラスメイトたちは、スカウトの条件に応じて色々な国に散らばっていった。

 俺へのスカウトは一つもなかった。

 …………はあ。


 現在、俺は『魔法学・初級』の講義を受けている。


 前の世界のクラスメイトは一人もいない。

 こちらの世界の小学生低学年くらいの子供たちと一緒だ。


「高月さんは、この世界に来たばかりです。みなさん、仲良くしてくださいね」

「「「「「はーい」」」」」

 子供たちが、声をそろえる。

 小学生の中に、一人だけ高校生。

 恥ずかしい。


「それでは、今日は属性の勉強です。この世界には、七つの属性があり、それぞれ以下の特徴があります」

 おばあちゃんの先生が、黒板に説明を書きだす。


『太陽』・・・光、雷、風

『月』・・・闇、死、呪い

『火』・・・炎・熱

『水』・・・水・氷、霧

『木』・・・植物・毒

『金』・・・幸運、運命、空間、時間

『土』・・・大地、石、金属


「七つの属性には、それぞれの女神がいます。月を除く6属性は、この大陸で広く信仰されています。ご存知の通り、月は闇と死の属性。みなさんは信仰してはいけませんよ」

「「「「はーい」」」」


「そして、どの魔法を使う場合も、魔力『マナ』が必須です。強い魔法を使うには、たくさんのマナが必要であり、そのためにはレベルを上げる必要が……」

 講義は続いていく。

 まずは、勉強を頑張ろう。



 ◇



 異世界にきてから、三ヶ月。


「タッキー殿。お元気で」

「ああ、ふじやんも」

 ふじやんがスカウトされた。


 相手は冒険者パーティではなく、商会ギルドだ。

 水の神殿にやってきた商人と、コネを作っていたらしい。

 ふじやんはしっかりしている。


「拙者は、水の神殿から一番近いマッカレンという街で商人として働くつもりです。もし、寄ることがあったら声をかけてくだされ」

「わかった。その街に行ったら、ふじやんを探すよ」

「では、修行がんばってくだされ」

「うん、そっちもね」


 ふじやんと固く握手を交わして別れた。

 もともと、友人は少なかったが、ふじやんがいなくなるとほとんどクラスメイトと話す機会がなくなった。

 最初に居たメンバーの半分以上は、すでに旅立っている。

 寂しくなった。



 ◇



「マコトにーちゃんは、水魔法上達した?」

 最近は同じクラスの少年が話し相手だ。

 どこかの貴族の三男坊らしい。


水弾(ウォーターボール)

 俺が声を発すると、手のひらの上に、ソフトボールぐらいの水の玉が出てくる。


 魔法の手順は


『生成』 → 『操作』


 となっており、ウォーターボールの発動手順は、


 水の生成 → 水の操作(ボールの形にする)


 こんな感じだ。


 生成できる水魔法の強さは、使い手の魔力(マナ)の量に依存する。

 水の操作は、魔法の『熟練度』というものに依存するそうだ。

 俺の魔力(マナ)は初級レベルなので非常に少ない。


 こんな小さな水弾(ウォーターボール)を作るので精一杯だ。

 幸い『熟練度』は魔法を使った分だけ上達するようなので、毎日魔法を使い続けている。


「すげぇ! 3ヶ月でそこまでできるようになったのか!? 俺なんて、2年かかったんだよなー、ファイヤーボール!」

 少年の手のひらに、バスケットボールくらいの火の玉が出てくる。


 でかい。

 俺の5倍くらいある。

 ちょっと、泣きそうになる。

 少年は『火魔法・中級』スキルと『剣士・中級』スキルを持っており、魔法戦士になるんだと意気込んでいる。


 俺も魔法戦士になりたかったなぁ。

 戦士スキルを持っていない俺は、戦士系の職業にはなれない。

 魔法使いを頑張るしかない。


「マコトにーちゃん、がんばろうぜ!」

「うん……」と力なく頷いた。



 ◇



 異世界にきてから、半年が過ぎた。

 神殿にスカウトはほとんど来なくなった。


 俺を含む残ったクラスメイト達は、自分たちで身の振り方を考えないといけない。

 といっても、『剣士・上級』スキルや『魔法使い・上級』スキルを持っている連中なので、そこまで悲観することはない。

 俺以外は。


 俺は現在、魔法使いの修行以外に、『旅人』と『盗賊』のスキルを修行し始めた。

 これは『RPGプレイヤースキル』からの派生で覚えることができた。


『旅人』スキルは、動物の『解体』や『調理』、『応急処置』、『発火』など、旅に役立つスキルが多い。


『盗賊』スキルは、『探知』、『罠解除』、『回避』、『逃走』など、危険を事前に察知したり、敵から逃げることに役立つスキルが多いのが特徴だ。


 どちらも、単独(ソロ)で活動する予定の俺には必須である。



 ◇



 異世界にやって来てから、九ヶ月が過ぎた。


 残るクラスメイトは、俺含めて3人。

 顔を合わせる機会は無い。


 最近、修行以外の時間は、図書館に入り浸っている。

 この世界の言語を覚えるためだ。

 文字が読めれば、本が読める。

 俺はこの世界の知識が少ない。


 この世界の歴史、人種、魔物、地理、病気...etc。

 三ヶ月後には、ここを出ないといけない。

 可能な限り、この世界の知識を増やした。


 ――この世界の歴史について。


 この世界の年号は、『救世歴』と呼ばれている。

 現在は、救世歴1001年。

 救世歴0年は、『救世主』アベルが、大魔王を倒した年だ。


『救世主』アベル。


 歴史書によると、『光の勇者』と『雷の勇者』の二つのスキルを持つ勇者だったそうだ。

 チート野郎だな。


『救世主』アベルは、大陸最大の王国ハイランドの建国者である。

 魔王を倒して国を興す。

 王道の勇者。

 それらの歴史を図書館で知ることができた。


 ただし、救世歴0年より前の歴史は、ほとんど残っていない。

『大魔王』が大陸を支配する暗黒の時代だからだ。

 そのためこの世界の歴史は浅い。




 ◇




 異世界にやって来て、1年が過ぎた。



 クラスメイトは、全員居なくなった。




 ――俺は一年A組の()()()()()になった。


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