383話 ルーシー
2月25日は、攻撃力ゼロから始める剣聖譚 6の発売日です。
表紙は迷宮主、アネモイ・バベル。
……アネモイちゃん、もうちょっと愛想よくしてくれませんかね?
前作を含めて歴代の表紙ヒロインで一番愛想が悪い女(だが、それが良い)
――ルーシー・J・ウォーカー。
俺が異世界にやってきて最初に組んだ仲間。
火魔法が得意なエルフの魔法使い。
母親は木の国の英雄・紅蓮の魔女さん。
ロザリーさんには魔の森で復活しようとしていた不死の王との戦いや、太陽の国を支配していた厄災の魔女さんとの戦いで随分と助けられた。
曾祖父は千年前の仲間であるジョニー・ウォーカーさん。
こちらもアンナさんや、白竜さんと共に随分とお世話になった。
こう考えるとルーシーを含め、彼女の親族とはかなり縁がある。
そして、今回現れたのは……
「ルーシー!!! 我が愛娘よ!!」
ルーシーの父親を名乗る魔界の王。
(なぁ、ルーシー。お前の父親って魔王なのか?)
(し、知らないわよ! ママは魔界の貴族とかなんとかって言ってたけど……)
(魔王じゃん、るーちゃん! 知っとこうよ!)
(だから知らなかったんだって! アヤ!)
俺たちがひそひそと話していると。
「ルーシーよ。こちらへ来るのだ。私に成長した顔をみせてくれ」
尊大な態度で手招きをする魔界の魔王ゼパル・パイロクラフトさん。
「えっとぉ……」
ただ、普段は物怖じしないタイプのルーシーでも、さすがに「パパー」と近寄っていったりはしなかった。
そもそも自称パパだしな。
本当にルーシーの父親なのか、証拠もない。
というわけで。
「貴方が本当にルーシーの父親かどうか、証明できます? 初めて会うのでルーシーも戸惑っているようです」
俺はルーシーの前に立って、自称パパに話しかけた。
「……貴様は何者だ?」
予想通りというか、魔王さんは俺が眼中にないようで不快そうに顔をしかめる。
「ルーシーの……婚約者です」
自己紹介は間違ってないよな?
ちらっと後ろを見ると、ルーシーが嬉しそうにうんうん、と頷いている。
さーさんは何か言いたげだが、大人しくしていた。
「ほう……」
俺の言葉に興味を持ったらしい。
ゴオオオ……と、魔王の周囲に紅い炎が渦巻きはじめる。
(船、燃えないのかな?)
と心配したがちゃんと耐火製になっているようだ。
「我が娘の伴侶となる男か! その力、試してやろう」
「はぁ……」
おかしいな。
ルーシーの父親であることを証明してほしいとお願いしたはずなんだけど。
気が付くと、俺の力試しをするとか言い出した。
人の話を聞かない魔王だ。
言うことを聞く魔王、というのも違和感あるが。
(ねぇ、マコト、マコト)
ルーシーが背中を指でつつく。
(どうかした?)
(多分ね……あの魔王が私の父親なのは間違いないと思う。なんというか……魔力が似てるの。ママの魔力もそうなんだけど。なんとなくわかるの。家族の魔力って)
(へぇ~)
(そーゆーのわかるんだー)
俺とさーさんは小さく驚いた。
こっちの世界だと血液検査やDNA鑑定がなくても親子関係がわかるらしい。
ルーシーの勘違いな可能性もあるが魔王のほうはルーシーを娘と確信しているみたいだし、二人そろって勘違いしてるってことはないだろう、たぶん。
「構えろ! 人間の魔法使いよ。弱者に娘の相手はさせぬ!」
そんなことを言われた。
ルーシーに恥をかかせるわけにはいかない。
何より女神様の使徒として、弱者呼ばわりはいただけない。
「水の大精霊」
俺はいつもの相棒に呼び出す。
「はい、我が王」
するりと姿を現す水の大精霊。
ズズズ……、と周囲に大量の水の精霊も現れる。
空が曇り、パラパラと雨が降ってきた。
(おっと、これじゃあルーシーとさーさんが濡れてしまう)
何か雨避けの魔法をかけようとすると。
「結界魔法・風の壁」
「ありがとう、るーちゃん」
ルーシーは自分とさーさんを囲うように風魔法で雨を防いでいた。
「……精霊使いか。水の大精霊を従えるとは……大したものだ」
水の大精霊を見て、魔王と部下の魔族たちが驚いた表情をしていた。
「これで力を証明できたことになります?」
目の前の魔王が本当にルーシーの父親なら、あまり戦いたくはない。
「笑止! 試すのはこれからだ!」
魔王が右手を上げた。
ゴウ!! と火柱が立ち上り、魔王の手には一振りの巨大な魔法剣が現れる。
みるみるうちに魔法剣の刀身が、太陽のように輝きはじめた。
(名のある魔剣みたいだな)
勇者のもつ聖剣に引けを取らない威圧感を放っている。
「ゆくぞ!!!」
赤い流星のように魔王が剣を振りかぶってこちらへ迫ってきた。
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ゼロ剣がそろそろ完結なので、新作を準備しないと……。
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