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ネコは大事だが歌うたいはそうでもない  作者: ヤマノ ミィオ
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89.ジョンの話

89.

 大ガラスは再び、動く「空気」になった。「空気」になった後、今度は色彩の鮮やかな、大きな蝶になった。蝶は風に吹かれたり、自分で優雅に飛んだりした。しばらくの間、そうして短い距離を時間をかけて移動した後、また動く「空気」に戻った。そしてぼくらはあっという間に移動して、初めにいた雪の大地の真上に戻ってきた。「空気」はそこで雪雲に変わった。雲からはらはらと雪が落ちだして、「ぼくら」はゆっくりと地面に落ちていった。

 地面に静かに着地した後、不意にぼくらは姿を取り戻した。元の通り、手があり、カラス色のマントを着て、隣にはユーリアとサフソルムがいた。そして目の前にはさっきと変わらず、スタティラウスが立っていた。

 彼女はぼくに向かって話した。「何かいいたいことがあるんじゃないのかい?」

 ぼくは何にも答えなかった。言葉を出せる口はあったけれども、思考は停止して言葉が出てこなかった。

「さて、イェンドートと私とはいったい何だろうねぇ。いつからこうであったのだろう? 私もイェンドートも一つの形を作ったかと思えば、次には別の形を成している。風の次には雲になり、時に鳥になったりもする。霧になることもあれば、雹や雪にもなる。遠くの誰かの意思を知ることができ、時には変えさせることだってある。もちろん自分たちのために誰かに命令することもできる。ただ、いつも思わぬ方向に事が進んでしまうのは私とイェンドートがいつも反対のことをしてしまうから」

 彼女は、まったく仕方がないというようにゆっくりと椅子に座り、扇を手に持ってゆっくりと動かした。「片方が水となれば、もう片方は火となる。静けさの次には動乱が立ち上がる。何かが起った後には何かが収まってくる。無が有になれば、有は無になる。おまえたちには到底わかりっこないことだろうけれどねぇ、でも少しはわかったかい?」

 ぼくは黙ったままだった。隣のユーリアも何にもいわなかった。

 彼女の扇はまるで魔法のように動き続けていた。「イェンドートと私はいつも反対のことをする――。それなのにマグナスについては可愛いという思いで一致していた。今回のマグナスの翼を取り戻す件についてはイーバが初めに願ったことだった。イェンドートと私のどちらかがそれに肩入れし、どちらかはそれを望まなかった。だけどそうやって始めてはみたものの今度は途中でやめたくもなった。ぐるぐると互いの意思の反対をするうちに、やることがどんどん入れ違いになって、どっちが最初に願ったことだったのか、すっかり分からなくなった」

 スタティラウスはすました声でネコを呼んだ。「サフソルムや?」

 ネコがにゃーおと返事をした。

「消えたイーバを再生してやってもいいよ。どうする?」

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