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ネコは大事だが歌うたいはそうでもない  作者: ヤマノ ミィオ
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(76)マグナスとマリオンの話

76.マグナスとマリオンの話

 マリオンは床に座り込んでいた。床は爆発のときの破片で散々な有様だったし、よく見ればドレスだけでなく、自分も細かな傷でいっぱいだった。

 強い彼女がすっかり疲れてうなだれていた。しばらく無言でいたが、やっと声を出した。「……初めから終わりまで全てが奇妙だったわね」

 マグナスの返事を待たないで彼女は続けた。「イェンドートたちが何をしたいのか、ずっと分からなかった」

 マグナスは静かに、うん、といった。

「彼らはあなたを元のところへ帰らせようとして、全てを図ったんじゃないかしら」

 マリオンの言葉にマグナスは何も答えなかった。

 彼女は彼を見た。「どうして戻らなかったの?」

 マグナスはしばらく黙った後に「きみは帰ってほしかったかい?」と聞いた。

「私よりも自分の気持ちの方よ、大事にするべきなのは」はっきりとした口調で彼女は返した。

「……かつて彼女の眠る墓所の前で思いついたことをおれはしなかった」マグナスは話した。「もし自分が異なる世界で、自分と瓜二つの人物として生まれ、同じ目に遭ったとしたら彼女の後を追っていただろうと考えた。そうしない訳も見つからないとも思った。そのときそれを選ぶこともできた。どこか違う世界で、自分と変わらぬ誰かならきっと自分をそこで終わりにしていただろうし、それが正解といえるとも思った。でもそうしなかった」

 マリオンは彼を眺めた。

 マグナスは静かに続けた。「今の与えられた機会に彼女のいる世界へと帰っていくのは最上の幸せの一つだったに違いない。でもきみがアリステアにまた会うのを見ることも同じくらいの喜びなんじゃないかと思う。白いフクロウは希望を見るのが好きなんだ」

 彼は小さく笑みを浮かべて翼をばさりと動かした。

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