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ネコは大事だが歌うたいはそうでもない  作者: ヤマノ ミィオ
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(71)ゴールディアノの家にて

71.ゴールディアノの家にて

 歌うたいのジョンとネコのサフソルムが出かけていった日の、次の次の明け方近くに、レネアとアリステアは再びゴールディアノの家を訪れていた。

 レネアは日中はイーバとして宮殿に戻り、普段と変わらぬ優雅な生活を送った。そして夜が明ける前のまだ暗い時間にまた戻ってきたのだった。

 三人と白いネコは二階の一室で、何百、何千、何万と存在する、それぞれの世界が独自の動きで回っている運行表を眺めていた。

 昨晩はゴールディアノの家でも少しの揺れを感じた。イーバの宮殿での揺れはもっと顕著で街の人々は恐れ、不安を感じていた。

 ゴールディアノは細長い棒を手に持つと、ひとつのもやもやとした星雲のようなものを指した。「ごらん。これがイェンドートとスタティラウスの世界だ。そしてそばにふっくらとした楕円の形が浮かんでいる」

「マグナスの住んでいた世界ね」レネアはいった。

「そう。お互いに違う弧を描いて、それぞれ独自の動きをしている。この楕円はイェンドートの世界の近くまでやってきて最接近していたが、これから離れていくところだ」

「サフソルムとジョンは翼を取り戻すことをやり遂げたかしら。マグナスが目の前にいたのならうまくいったかどうかわかるのに」レネアは少し黙った。「でももし彼が無事に羽根を取り戻せたのならもう私たちに会うこともなく、元の世界に戻っていったということね」

 アリステアが横から、そんなの、まだ分かんないよといったが、レネアの耳には届いていないようだった。

 ゴールディアノは近くに置いてあった筒形の拡大鏡を手にとり、レネアに手渡した。「これでイェンドートの世界を見たところちょっとした変化が見られるのだよ」

 もやもやとした塊を覗いてみると、そこにいくつかの線が入って、大きくひび割れているのが見えた。

 ゴールディアノがいった。「少し前からもやもやのなかに黒い点が現れていて、そこだけ動く速度が遅くなっていた。わずかな時ではあったがもやもやの世界の黒い点とマグナスの元いた世界とが歩調を合わせるように動いていた。しかし今やそれはすっかり解消された。一方で、昨晩の地面が揺れて以来、このもやもやにこうして長い亀裂が走った」

 レネアはさっと拡大鏡から目を離した。「大変だわ」

「どうしたね?」

「よくわからないけど、おじ様おば様の世界が小さくなるのかもしれない。もしそうなったら」

「小さくなるのか、それとも分裂するのか」ゴールディアノはゆっくりと答えた。「しかしそうなったとしても誰かがそれをとめることはできないよ。世界が変化するままを我々は眺めることしかできない」

「ええ、そうね。おじ様おば様の世界が小さくなったとしても私にはどうすることもできない」

 レネアはゴールディアノを見た。「アリステアをここに置いていってもいい? 私、宮殿に戻らなくちゃ」

次にアリステアを見た。「サフソルムもジョンもきっとここに戻ってくるわ。それまでここで待っててくれる?」

 アリステアはうなずいた。

 レネアはうなずき返して、外に出ていった。

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