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ネコは大事だが歌うたいはそうでもない  作者: ヤマノ ミィオ
43/95

(43)ジョンの話

43.

 部屋が静かになった。もともと静かだったけど、皆、レネアが話した言葉の意味をよく考えようとしたのだ。

 ぼくは少し咳ばらいをした。「つまり」みんなの視線がこっちに集まった。「それって」

「そういうことなの」レネアは笑ってはいるが、ほんの一瞬顔を曇らせ、静かな声を出した。「私にとってマグナスは大切な友達なの。彼はおじさまたちのところに行ったり、その頼み事のためにどこかへ出かけていることも多い。でも私のお屋敷に滞在していることもある。私がどこかへ出かけるときには付き添ってくれることもある。ここにも時には一緒に来るのよ。彼は親切で、正直で、とても信頼できる人なの」

「それって……」ぼくは思わず、また繰り返した。マグナスが好きだとかそういうこと?

「さみしいけど仕方ない。だって、翼を取り戻せたのなら彼は結婚した彼女と一緒にいたいに決まってる」とレネア。

「サフソルム」ぼくはネコに声をかけた。「きみはそれでいいのかい? マグナスと離れることになっても」

「ふむ。そのときになってから考えるつもりだ」

 アリステアが口をはさんだ。「マグナスに聞いてみたら? 帰るよりもここがいいっていうかもしれない」

「まったくだよ」ぼくはいった。「本人の意思を聞いてみなくちゃ」

 レネアがびっくりした顔をした。「だって翼を贈ることは内緒にしておきたいの。そのほうがずっとすばらしいし、……それにマグナスは遠慮するに決まってるわ。そうでしょ、サフソルム」

「ふむ。元の世界に戻ることに関しては確かにオレさまと別れがたくて、そうなる可能性がある」

「それでも構わないじゃないか。こっちがいいなら帰らなくたっていいさ」

 ぼくの言葉にアリステアが力強くうなづいた。

 レネアはびっくりした顔のまま、何といったものかわからないという表情をした。

「でも」とぼくは低く続けた。「いずれにしろマグナスが翼を再び手に入れるっていうのはいいアイデアかもしれないな」

「そうだよ!」とアリステアが嬉しそうにいった。

 見守るだけだったゴールディアノがにこやかな顔をして、手をぽんと叩いた。

「さて、実際に彼が翼を取り戻せるかどうか、元の世界に帰る意思があるかどうかは別として、元々の世界と長く離れていた者は帰り道を忘れていることがある」

 ぼくとアリステアはよく分からない、という顔をしてみせた。

「世界の動きを表す運行表を見ていたら、偶然の素晴らしき計らいを見つけたのだ。この数日中に最も近づくのだよ」ゴールディアノはにやりとし、声を低くしてゆっくりと話した。「イェンドートの世界と、マグナスの元いた世界が隣同士になる。壁は薄くなり、扉が開かれることだろう。つまり、あちらの世界への最短距離が作られるということだ。彼がそれを用いれば道に迷うことなく無事に帰れるはずだ。私たちはそれに間に合うように急いで翼を取り戻さねばならんぞ、本のとおりにな!」

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