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ネコは大事だが歌うたいはそうでもない  作者: ヤマノ ミィオ
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(38)イザベラの話

38.イザベラの話

 一行の村は幸いなことに遠く離れてはいなかった。イザベラはやがて追いつき、一行が村のなかに入っていくのを見届けた。

 村の周囲には人間の背丈よりも低い壁が作られていた。イザベラは彼らに見つからないように中腰の姿勢で壁の外を回って、様子を見てみることにした。

 かわいらしい家がいくつも並んで建っていて、真ん中には大きな広場があり、煮炊きをするための大きな火やらテーブルやらが並んでいた。蟻の形の女たちが忙しく立ち振る舞い、食事の準備をしているようだった。

 イザベラは先ほどの捕らわれた者を壁の外から探した。すると家々の連なった先に、土地が低くなっていてそこにたくさんの檻が置かれているのを見つけた。穀物が入っているものもあれば、大きな鳥に、トカゲに、イノシシ、リスのような小動物、そしてさっきの若い青年も目に入った。青年はきれいな顔つきに金色のふわふわした髪をしていて、若葉のような緑色の服を着ていた。

 イザベラが覗いている間に男たちが揃ってやってきて、檻から食べ物を取り出してまた広場のほうへと去っていった。

 広場はそこから十分離れていたので、イザベラは用心しながらも壁を乗り越え、檻の前に立った。

 捕らわれた者たちが驚いた顔で見つめるなか、イザベラは剣の柄でカギを壊し、彼らを外に出した。

 自由になった青年は小声でイザベラに向かっていった。「全部壊すんだ、カギを」

 青年はそのまま近くにあった石を手にもって、別の生き物の入っている檻のカギを壊しては動物たちを外に出していった。

 自由に動けるようになった生き物たちは素早く森へと消えていった。

「おれたちも」青年はそういって、イザベラと共に森に入った。イザベラは青年に元来た道を示しながら、蟻たちに気づかれないように進んだ。

 二人は目印をつけた崖のところまで戻って来た。

「まだ安心できないね」青年はそういった。

「この上に私の馬がいる」

「じゃあそこまで行こう」

 二人は崖を上り、マリウスのいる穴のところまで来た。

 青年は驚いた顔をした。「ここに馬が? なんでこんなところに閉じ込めちゃったのさ。馬で逃げられると思ったのに」

「ここで私に説明しろっていうの? あなたはどうして蟻んこに捕まってたのよ?」

「いいよ、その説明は。とりあえず、ここならあいつらからしっかり隠れられそうだよ」青年はそういうとなかへ入っていった。

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