色づく世界たち
お久しぶりです。氷硝栖です。
続きになります。
平凡ですが、暇つぶしにでもなれば幸いです。
この世界はきっと、キラキラと輝いたりピカピカと光ったり。ガタガタと揺れたりゴロゴロと転がったり。
そんな他愛もないモノの集まりなんだと思う。
それが日常であり現実。
良くも悪くもその中で俺たちは生きている。
人生は同じ行動の繰り返しで成り立っているらしく、真新しいことがなければ時が過ぎるのは早いらしい。
なんでもジャネーの法則というものでは19歳ですでに人生の半分を終えているとかいないとか。
おお、怖い怖い。
まぁ今の俺は19歳の誕生日には程遠く、人生の半分に到達するにはあと4年ほど無事に過ごしていかなくちゃならない。
無事に生きているなんて保証はどこにもないが、きっと4年後の俺も元気でやっているのだろうと未来の自分に想いを馳せる。
順調に事が運べば社会人か大学生、または専門学生の年齢だ。まだやりたいことも見つけていない俺には自分の未来予想図さえ自由に描けなかった。
「ったく、朝っぱらからなに考えて軽く鬱になってんだ…。珍しく目覚めは良かったってのに…」
そうボヤきながら敷布団の中で気持ちのいい体勢を探してゴロゴロ。
朝独特の眩しい光から逃げるように布団の中にうずくまる。朝は苦手なのだ。目は覚めても脳が覚めない。起きろという指令がまだ脳から体に伝達されていないのだろう。それなら仕方ない。
「ふわぁ……」
欠伸がでるのも生理現象だし仕方ない。
襲い来る眠気との一方的な闘いに俺はなす術なく敗北しようとしていた。
ジリリリリリリリリリリィィィ!!
耳元に轟音。目覚まし時計である。
「……いつも律儀に鳴るなよお前もさぁ…」
文句をたれつつ腕だけを布団から出し目覚まし時計に引導を渡す。悪は滅びた。これで俺の睡眠を邪魔するものはー
ホー…ホケッ…ホケヒョッ?ホケッ…ホケケッ…
二度寝防止用気の抜ける鶯の鳴き声によるスマートフォン目覚まし。しかし、スマートフォンも所持者の操作にはかなわない。鶯の目覚ましもあっさりと撃破された。ついでにマナーモードに切り替えを行っておく。いつもはこの鶯のアラームで二度寝から目覚めるのだ。昨日の俺に賞賛を送りたいね。二度寝をすることを見越してこのアラームをセットしていたまでは良かった。しかし、昨日の俺はいくつか見落とした点があった。
それは今日の朝が春の暖かな陽気であったこと。そして長期の休みが明け、今日から学校が始まるという気だるさがあるということだ。
後者の理由が一番大きい。
それだけ新環境に適応するというのは面倒で気が乗らないことなのである。
よって俺は三度寝を決行することにした。
「………………………」
あの目覚ましたちによる攻撃でも脳に入り込んだ睡魔は完全に撃退できなかったようで、徐々にまぶたが重みを増してくる。
さよなら、世界。また目覚める時までしばしの別れをー
ヴーッ…ヴーッ…ヴーッ…ヴーッ…
まさか3度目の攻撃があるとは思わなかった。昨日の俺をみくびっていたらしい。スヌーズを鳴らしてくるとは感服いたした。改めてスマートフォンを手に取り電源を落とそうと画面を見る。
するとそこにはアラームの画面ではなく、通話画面が映っていた。
「……………は?」
たっぷり3秒思考停止。
その間もスマートフォンのバイブレーションは止まらない。
とりあえず出ないといけないという思考で埋め尽くされ、相手の名前を見るということを忘れてしまった。
「もしもし…こんな朝から何用でしょうか…」
寝ぼけ声を聞かれたが気にしない。
『もしもし、ハルくん…?お、起きないと遅刻…するよ?』
「…………はるちゃん?」
電話口から聞こえてきたのは幼馴染みの折宮遙の声だった。
まだ続きます。
また書き次第投稿いたします。