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酒と枠なしザルと男と女  作者: カサハリ職人
6/25

・・・どうよ?

やっちまった次の日。

みなさん、どうしてますか?


・・・取り敢えず謝り倒してます。

休み明けの月曜日。

いつも通り始業30分前に会社に着き、パソコンの電源を入れた。

立ち上がるまでの間に、今日の予定や書類などの確認をする。

立ちあがり、ウィルスチェックをしている間に、コーヒーを飲みに立つ。


「杉原さん。」


そこにいたのは谷川だった。

いつもの余裕で自信ありげな様子はスッカリなりを潜め、表情は何だか辛く、苦しそうである。

思わず訝しげに顔がひきつる。


・・・新手の罠⁉なんなのこれ。


思わず少し腰が引けた。

仕事で忘れていることや、ミスはないはずだ。

今日の装いは注意されることのないよう、ブラウスに膝丈の紺のスカートだ。メイクはいつも通り地味だし、髪型も後ろで一本縛り。パンプスはローヒールだし。


どこか何かありますかねぇ?


「ごめん。」

「・・・は?」


さらにばつが悪そう。

唇を噛んで少し俯いている。


「先週、その、約束だったのに、俺たちが一緒だったから、会えなかったって、前園から聞いた。」


もう一度、ごめんと言われた。


「ああ。別に何ともないです。むしろ気にされると気持ち悪いし、罠みたいなので結構です。間に合ってます。」


ガバッと顔をあげて、じっと見つめてくる。

早苗は全く気にしていなかったので、目があって思わず首を傾げた。


「・・・あー、これ、ささやかなお詫び。」


早苗の手に、某有名パティスリーのこれまた行列のできるチョコレートの入った袋を握らせると、ごめんと呟いて外回りに行ってしまった。


・・・チョコレート。ラッキー。


にやけたのは仕方ない。

くるりと向きを変えると、前園と目があった。

ツカツカ歩いてくる。

目の前で立ち止まると、少し申し訳ないような笑顔。


「この間はすまなかった。」

「いや?大丈夫です?」

「カオルちゃんからイロイロ聞いてしまったんだ。済まなかった。」


こんなもんで悪いのだがと、これまた袋を渡された。

これから外回りらしく、こちらも出ていった。

ガサゴソ見ると。


切腹最中。


・・・腹切り?


甘いもの好きだからいいけど、このチョイス、どうよ?

女子に対して、どうよ?

せめてかわいい何か。


コーヒーを持って、席に座る。

お菓子の袋は邪魔にならないところに置く。

一口飲んで、一息つくと、斎藤に声をかけられた。


「この間はすまなかった。申し訳ない。人として駄目だった。」

「いえ、別に、大丈夫です。」


これぞ見本と言わんばかりに腰を90度に曲げて謝罪。

潔さしかない。


「今後こんなことがないように気を付ける。本当にすまなかった。」


ここでもまた、袋を渡された。

そして、これから会議のようで資料を持って行ってしまった。

袋の中身は重くて細長い。タプタプいってる。


『魔王』と『久保田』


・・・せめてワインとか、おしゃれな何かとか。


ちょっと遠い目をしたのは言うまでもない。

酒、無理矢理出した感、ありますね。


妄想劇場にお付き合い頂き、ありがとうございました。

また来週☆

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