・・・どうよ?
やっちまった次の日。
みなさん、どうしてますか?
・・・取り敢えず謝り倒してます。
休み明けの月曜日。
いつも通り始業30分前に会社に着き、パソコンの電源を入れた。
立ち上がるまでの間に、今日の予定や書類などの確認をする。
立ちあがり、ウィルスチェックをしている間に、コーヒーを飲みに立つ。
「杉原さん。」
そこにいたのは谷川だった。
いつもの余裕で自信ありげな様子はスッカリなりを潜め、表情は何だか辛く、苦しそうである。
思わず訝しげに顔がひきつる。
・・・新手の罠⁉なんなのこれ。
思わず少し腰が引けた。
仕事で忘れていることや、ミスはないはずだ。
今日の装いは注意されることのないよう、ブラウスに膝丈の紺のスカートだ。メイクはいつも通り地味だし、髪型も後ろで一本縛り。パンプスはローヒールだし。
どこか何かありますかねぇ?
「ごめん。」
「・・・は?」
さらにばつが悪そう。
唇を噛んで少し俯いている。
「先週、その、約束だったのに、俺たちが一緒だったから、会えなかったって、前園から聞いた。」
もう一度、ごめんと言われた。
「ああ。別に何ともないです。むしろ気にされると気持ち悪いし、罠みたいなので結構です。間に合ってます。」
ガバッと顔をあげて、じっと見つめてくる。
早苗は全く気にしていなかったので、目があって思わず首を傾げた。
「・・・あー、これ、ささやかなお詫び。」
早苗の手に、某有名パティスリーのこれまた行列のできるチョコレートの入った袋を握らせると、ごめんと呟いて外回りに行ってしまった。
・・・チョコレート。ラッキー。
にやけたのは仕方ない。
くるりと向きを変えると、前園と目があった。
ツカツカ歩いてくる。
目の前で立ち止まると、少し申し訳ないような笑顔。
「この間はすまなかった。」
「いや?大丈夫です?」
「カオルちゃんからイロイロ聞いてしまったんだ。済まなかった。」
こんなもんで悪いのだがと、これまた袋を渡された。
これから外回りらしく、こちらも出ていった。
ガサゴソ見ると。
切腹最中。
・・・腹切り?
甘いもの好きだからいいけど、このチョイス、どうよ?
女子に対して、どうよ?
せめてかわいい何か。
コーヒーを持って、席に座る。
お菓子の袋は邪魔にならないところに置く。
一口飲んで、一息つくと、斎藤に声をかけられた。
「この間はすまなかった。申し訳ない。人として駄目だった。」
「いえ、別に、大丈夫です。」
これぞ見本と言わんばかりに腰を90度に曲げて謝罪。
潔さしかない。
「今後こんなことがないように気を付ける。本当にすまなかった。」
ここでもまた、袋を渡された。
そして、これから会議のようで資料を持って行ってしまった。
袋の中身は重くて細長い。タプタプいってる。
『魔王』と『久保田』
・・・せめてワインとか、おしゃれな何かとか。
ちょっと遠い目をしたのは言うまでもない。
酒、無理矢理出した感、ありますね。
妄想劇場にお付き合い頂き、ありがとうございました。
また来週☆