チェイサー~大吟醸と雪山とオカマとメガネ
頭のなかで勝手に動き回られると、次の話が全く浮かばなくなるので、出してみました。
オカマのディープインパクトに、クールメガネは耐えられるのか⁉
今、決戦の火蓋が切って落とされる‼
※全く関係ありません。ご注意下さい。
カオルちゃんは、早苗の頭を撫でながら言った。
「面白いでしょ?この子、何飲んでも酔っぱらわないの。テキーラでもウォッカでもジンでも焼酎でも日本酒でも。ただね、大吟醸の水割りはダメなの。飲んであっという間に寝ちゃうの。」
慈しむような瞳。壊れ物を扱うような手。
ため息をついた。
「ここからはアタシの独り言よ。さっきこの子がいっていた男。今日は久しぶりに会える日だったの。」
その男は世界中を回っていて、日本に帰るのは月に3日あるかないか。今日がその日だった。
・・・だから八つ当たりか。
前園は成る程と頷く。
1件目から早々と帰ろうとしていた。飄々としている早苗を斎藤が引っ張り、無理矢理2件目に行った。続き3件目。
その辺りから潰しにかかったのだろう。急にピッチが上がり、頼み方も1杯から1本になった。
「アタシね、ホントは早苗がアイツとくっつくの、嫌なの。だって、誠実とは真逆の男なのよ。」
世界中飛び回るので、各地に特別な女性がたくさん居るらしい。
それを聞いたカオルちゃんは、怒って、宥めて、説得して、泣き落したのだが、早苗は頑として首を縦に振らなかったらしい。
「その時5月の連休で、何処にも行かないって言っていたし、アイツ諦めさせようと思って、あとあの子あんな見た目だからやたらナンパされるから、護身術の獲得かねて」
ふうっとため息をつく。
懐かしむように遠い目をして、とんでもない爆弾発言をした。
「特殊部隊の雪山訓練2泊3日にぶちこんでやったの。」
前園が固まったのは言うまでもない。
何処にも行かないからって、諦めさせるためって、護身術の獲得のためって、普通、特殊部隊の訓練にぶちこむか⁉
「さすがに一般人をって思って、護身用のサバイバルナイフは持たせたわよ。あと、女の子はからだ冷やしちゃダメじゃない?だから、雪山仕様の防寒具(帽子、ウェア、手袋、ブーツ)は装備させたわよ。」
ウィンクしながら言われても、どこに同意すればいいか全くわからない。
固まる前園。
嬉々とするカオルちゃん。
「でね、でね♪あの子、どうなったと思う?」
可愛らしく目をくりっとしても、にっこり笑顔でも、答えはわかる。
「無事に帰ってきた。」
「いやん、もう、つまんない☆」
向こうむいて唇とんがらかしても、可愛いよりドン引きが勝る。
ここでポーカーフェイスを保てた前園は、ある意味素晴らしい。
「そうなの。脱落者がたくさん出るなか、あの子、元気に帰ってきたのよ。もうアタシ、感動ったらないわよ。」
思わず抱き締めてお帰りってしちゃった。
って恥ずかしがられても、若干論点ずれてる。
急に静かになって、カオルちゃんはグラスの縁を指でなぞり始めた。
何だか悲しげで、落差に動揺する。
「もう、ここまでして諦めないなら仕方ないじゃない?アタシだって鬼じゃないし、歩出されるってもんよ。」
聞いてる限りでは鬼以外ではない。
そこまでする?ってなる。
「諦めろ、やめろって言わない代わりに、兎に角受け止めようって思ったの。あの子が傷つくの見たくないけど、緊急避難所みたいになろうって思ったのよ。」
ふんわりと頬笑む。
前園は、静に目をとじ、再び開く。
「あなたが思っている以上に、杉原には救いになっていると思います。」
ありがとう。
どちらのものともわからない一言が静に響いた。
まぁ、大したことなかったですね。
クールメガネのメガネずり落ちとかあれば良かったのに。
揺るがないメガネめ・・・
※くれぐれも、これ、フィクションですのでよろしくお願いいたします。
カサハリ妄想劇場、続きます。
ありがとうございました。