表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
酒と枠なしザルと男と女  作者: カサハリ職人
22/25

承;すっごくムカツクけど。

お待たせ致しました。承でございます。

大変遅くなり申し訳ございません。

あれやこれや捌きながら進んでいきますこの佳境。

皆様のご期待に添えるよう、当方全力で突っ走っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。


・・・忘れ物はございませんか?

おやつは300円でお願いします。


妄想、暴走、大爆走。


カサハリ妄想劇場、満を持して、始まり、始まり~☆

「フラれたの。」


あっさり告げたその言葉が、びっくりするぐらいストンと心に落ちた。


・・・そっか、フラれたのか。


落ち着いたらさっきまでの苦しさが嘘のようになくなった。

ただあるのは空っぽな胸の奥だけ。

これだけあの男が自分の中を占めていたのかと、ちょっと驚く。

何だかおいてけぼりにされた子どものような気分になってきた。


・・・さびしいのかぁ。


とぼとぼ歩いていたら、扉が急に開いた。咄嗟に手で顔を庇う。衝撃でよろけて早苗は床に尻餅をついた。


「すみません!大丈夫ですか⁉」


開けた主が顔を出す。

目があって思わず苦笑いする。


「お久しぶり、高橋君。扉を開けるときは人がいないか、注意しようね。」

「あ、杉原。あー、何度も、申し訳ない。」


高橋が手を差し出し、これまた苦笑する。

掴まり、引き起こされる。


「ありがと。」

「あー、なんだ。その、前に迷惑かけて、何の詫びもなく放ったらかしだったろ?もしよかったら、晩飯、奢らせてくれ。」

「別にいいのに。」

「それじゃあ気が済まない。男の矜持に関わる。」

「矜恃って・・・」


まぁ、何となくわからないでもない。

今はさびしい一人身だし、別にいいか。と、結論付ける。

了承すると、場所と時間は後でメールで伝えるということで、各々仕事に戻った。




午後は午前の荒れ放題と違い、落ち着いていた。

午前の様子から、戦々恐々と見られるのは、自業自得だろう。

ひとり静かに反省会を開いて、その日の業務は終った。

更衣室で着替えて、さて帰ろうとしたとき、それは起きた。

後方から左右の腕を捕獲された。

思わず反射的に振り払おうとしたとき、


「早苗、今日はじっくり聞かせてもらおうかしら?」

「明日の業務に支障ない程度に済ますから、大丈夫☆」


静流と菜々美を見て何とか止まれた。


「・・・あー、護身術取得してるんで、こういう襲撃は」

「大丈夫、大丈夫☆もうしないから☆」

「さぁさぁレッツゴー♪美味しいご飯♪」


2人に半ば引きずられるようにて連れて来られたのは、個室のある日本料理のお店。畳に襖、掘炬燵タイプのテーブル、BGMは琴の優雅な調である。

いつもはイタリアンとか居酒屋とかインダスドリームなのに、珍しい。

顔に出ていたのか、菜々美が苦笑する。


「じつは妊娠して今悪阻がひどいんだ。匂いがちょっとダメで、その日の気分で食べれるものが変わったりするの。今日は和食なら大丈夫そうだから、ここにしてもらったんだ。」

「妊娠?!おめでとう?大丈夫?」

「ありがとう。悪阻以外は大丈夫よ。」

「私も大変だったよ。悪阻でご飯食べられなくて、だのに妙にトマトが食べたくて。排気ガスの臭いかいで、『排気ガスの臭いがトマトの臭いする。美味しそう』って上司に言ったら、『仕事は終わってるからもう早引きして帰れ。』って言われて無理矢理帰らされたことあるよ。」


早苗と菜々美は静流を見て固まる。

静流は2人に注文は決まったか聞くと、さっさと店員に声をかける。人数分注文すると、まだ固まる2人を見る。


「あれ?言わなかった?私、子ども3人いるの。」


・・・えっ?静流さんて、何歳⁉


「上から12歳、9歳、6歳で、男、男、女の子。因みに静流さんは35歳です。」


・・・てっきり28ぐらいかと思ってた‼


2人の反応を見て、静流はケラケラ笑っている。


「若く見られたなら、和成の愛し方が上手なせいだわ。いい男に巡り会えるのって本当に奇跡よ。もし会えれば大事にしなさい。きっとそれが運命の相手よ。」


運ばれてきたお冷やを飲む。

思っていたより渇いていたみたいだ。すっと沁みていく。

静流を見ると、目があった。

ただ優しく見ている。

早苗は少しだけ困った顔をする。


「えっと、今日の午前は大分荒れていたみたいね。私のところにエマージェンシーか何件か来ていたわよ?」


・・・エマージェンシー?何件も?


己の不甲斐なさに頭を抱える。

チラリと2人を見ると、真剣な表情。

話さないのは、礼儀に非ず。

早苗はため息をついて話し始めた。




あれは数日前に遡る。

日本に着いたことを知らせるメールを見て、急ぎ指定の場所へ向かった。あの男のお気に入りの3つ星の日本料理屋で、2人で舌鼓をうった。世界を飛び回っていると、日本食が恋しくなるらしい。

今時、各国の主要都市に行けば、それなりのものは食べられると思うのだが、海外旅行の経験のない早苗の言葉はあの男に一蹴されるだけだった。

次に、インダスドリームで酒を飲み、いつものように気分のよくなったあの男のサックスを聞いた。その日は機内で見た映画の曲とか言って、某3分クッキングのテーマを様々なアレンジで演奏していた。


何だか今までにない上機嫌で、やたらボディタッチが多かった気がする。

早苗を見る目も、いつもより大分早く熱を持って、妖艶だった。


その後あの男の滞在しているホテルに行った。

移動中はずっと腰を抱かれ、優しくエスコートされた。

人のいないエレベーターの中では、髪や額、瞼、頬、鼻、唇、耳朶までキスされた。熱があがった2人は、部屋に着いて早々、それを共有したのは言うまでもない。


ただ、いつもと違った。


いつもは性急に欲情の嵐に巻き込まれていくのだが、今回は早苗の反応を見ながら、真綿で包むように優しく触れて、上り詰めていくのだ。

慈しむような、愛しむような。

勘違いしてしまいそうな何かに包まれた。

翌朝、朝食を摂り、身だしなみを整えた。その日に出国するそうなので空港まで見送りに行った。


そこで、あの出来事だ。


「・・・時間だ。」

「じゃあ、気をつけて。」


いつもはそこでサクサク歩いていくのに、今日はじっと見られた。

今までにない優しい笑顔。

思わずじっと見返したら、優しく頬に触れる。

唇をひとなでする。


「・・・そろそろ、お前との関係も整理しないとな。」

「・・・整理?」

「そ。この関係を、終わりにしようかと思って。」


・・・この関係を、終わりにする?


衝撃に固まる。


今、何テ言ッタノ?


オワリッテ、ナニ?


あの男は、ニヒルな笑みを浮かべていると、顎をつかんだ。

そのまま上向かされ、キスされる。

昨日から慣らされたこの行為は、あっという間に理性を飛ばす。おそらく長い時間ではなかったが、唇が離れたときには立っていられなかった。

それを見て愉悦の押さえられない笑みで早苗を抱き締める。

両脇を抱えられ、椅子に座らされる。


「じゃあな。」


髪を一房子とり、口付ける。

去っていく後ろ姿を恨みを込めて睨み付けるが、おそらくあの男を楽しませただけだろう。




行為のごにゃごにょはさらりと割愛して2人に説明する。


「まぁ、はっきり好きとか嫌いとか言われてなかったから関係云々言われても、ありましたっけ?って話なんだけど。」

「は?じゃあ、早苗と彼氏は、付き合ってなかったってこと?」

「付き合うの定義が、お互いに想いを伝えあい、相思相愛になった状態の男女が精神的にも肉体的にも繋がりあい、関係を重ねていくこととするなら、全く違うわね。」

「じゃあ、体だけの関係ってこと?」

「・・・否定できません。」


話が一段落したところで料理が運ばれてきた。

3人は少しの間会話もなく黙々と食べた。

美味しいのは美味しいのだが、何とも気不味い。


「・・・えっと、早苗ちゃんが付き合ってたのって、あー、ややこしいからそう言うけど、ジャズサックス奏者の各務京介だっけ?」

「はい。他に神埼永寿、サムとジョー、ジルの5人で組んでいるそうです。」

「・・・神埼、永寿?」


静流の笑顔が気持ち黒くなった気がしたが、直ぐにいつものに戻った。その為2人は気が付かなかった。


「んー、根本的なこと聞くけど、早苗は彼氏のこと、どう思ってるの?」

「・・・この想いにきちんと言葉で表すことができたのは、ごく最近のことなんだけど。好き、だよ。今でも。」


心に空いた大きな穴。

それがとても大きくて、どれだけあの男が占めていたのかわかる。

離れてみて思い浮かぶのは、多くが子憎たらしい笑顔で、小馬鹿にしたやり取りで、最後に見た優しい笑顔。

気まぐれにやって来て、嵐のように引っ掻き回して、来たときと同じように去っていく。

どこまでも自分勝手で、傍若無人で、どSで、腹黒で、俺様で。

だのに好きで、愛しくて、どんな振る舞いもしょうがないと許してしまう。


・・・すっごくムカツクけど。


「まぁ、落ち着いたみたいだからいっか?」

「ご心配をお掛け致しました。」

「まぁ、いいんじゃない?」

「よぅし!じゃあ、あんみつ食べよう♪ここの支払いは和成だから、安心して☆」

「えっ⁉だって・・・」

「本人の了承は得てるわよん?」


店員を呼ぶと、さっさと注文している。

早苗は2人に向き直る。


「今日はありがとうございました。お陰で直ぐに整理がつきました。本当にありがとう。」


2人は破顔すると、いいってことよ、と箸をすすめた。

早苗は泣きそうになったが、食べることで誤魔化した。

さっきより美味しく感じたのは、気のせいではないはずである。



今回、夜は混雑するとこに初めて気がつきました。

みんな、寝る前の読書、するよね。

新規保存の仕方と、上書き保存の仕方、何となくわかりました。

・・・今更ですが。


読んでいただきありがとうございました。

ではでは、また土曜日に。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ