某レクター博士、消せない
寄道、終了☆
はしご、終了☆
盆休みの怠惰が抜けず、今朝までかかりました。
えっ?飲んだくれていただけだろって?
少しも飲んでませんよ?
カサハリ妄想劇場、始まり、始まり~☆
まだ完全復活とは言えない体調でも、仕事は容赦ない。
・・・ってか、某レクター博士、消せない。
改めてモニターを確認したのだが、一方は某博士。もう一方は能面。そう、能面。
ヘルプの子達は何をしに来たのだろうか。何をしたかったのだろうか。
聞くのもめんどくさい。
今は、能面はなくなり、元の世界遺産の風景になっている。
諦めればいいのだが、壁紙を見た木嶋が愕然とするのは見たくない。以前はネコだったのだ。しかも、木嶋推薦、ネコカフェのカワイコチャンことマリーちゃんだったりする。残念なブサニャンコなのに、堪らなく愛想がよく、よく懷いている。
本当に残念なブサニャンコだが。
午前のうちに打ち込みだけは終わらせたいとキーボードを叩く。
保存している間に会議の資料と、出張の手配、総務への書類の印刷を済ませる。
複合機から出てくる紙束を見ていると、木嶋がやって来た。
「あのさぁ。この間のハッキングでちょっと問題があってって、・・・某レクター博士?」
あ、見つかった。
「・・・ふぅん。なるほど。俺のマリーちゃんに、博士ぶっこんできたんだ。ふぅん。」
何やら雲行きがヤバい。
「木嶋さん、御用とは?」
「ああ。この間のハッキング野郎が、懲戒解雇されて、逆恨みでここの会社の営業課って言うか、俺と杉原さん、狙われてるみたい。」
ここ1週間ほど、社員の後を付けてきたり、営業課の木嶋や早苗の名前を聞いてくるといった報告が寄せられているそうだ。
ずいぶん大胆な人物がいたものだ。目立たないようにやるのが定石だろうに。何か切羽詰まっているのだろうか。
ふと疑問に思っていたら、木嶋が答えてくれた。
「この間、総務のパソコンがハッキングされそうになった。シロが確認したところ、営業課の個人情報が狙われた。外部の犯行で、クロが追っかけたんだけど、ネットカフェからで、利用者は偽名。身分証も擬装。来店時間と監視カメラの映像を照らし合わせて出てきたのがハッキング野郎こと山田大二郎(36歳)だ。」
写真つきでどっから持ってきたのか履歴書まである。
・・・どっちが犯罪者なんだろう?
「二度のハッキングも失敗して、自棄っぱちになったらしく、声かけてるらしい。」
木嶋がと早苗に的を絞ったのが何なのか、今調査中だそうだ。
「狙われてるから、帰りとか気をつけて。杉原さんなら護身術やってるから大丈夫だと思うけど、相手は男だから、気を付けるに越したことはない。」
話は終わったようで、モニターをチラリと見る。
何だか黒い笑顔で去っていった。
何か、ロックオンしたらしい。
ちょっと遠くを見ると、再び作業に戻った。
触らぬ神になんとやらである。
そんなやり取りからしばらくたったある日。
何となく警戒はしていた。
ここ最近、ずっと見られていた気がするから。確信に至ったのは昨日。後付けられてるなぁ。何か視線が気持ち悪いなぁ。で、何となく角を曲がるついでに顔を見たら、山田だった。遠目でよく分からないが、顔が歪んでるような気がした。
直ぐに人混みに紛れてうまく巻いたが、あれは危険な気がする。
そして、いま。
・・・見つかった気がする。
こういうときはカオルちゃんである。
直ぐ様スマホを取り出しタップ。この間も山田への警戒は外さない。
「カオルちゃん。見つかった。迎撃する。」
それだけしか伝えられなかった。
急に肩を捕まれる。
ぞわりとして動けなくなる前にその袖をひっ掴む。そのまま体を前に倒して、でんぐり返しをするように相手を投げる。
何が起きたのかわからず呆然とする相手を瞬時に確認。
間違いない。山田大二郎(36)だ。
確認しつつ腕をとると捻る。
「うわたたあぁあ⁉」
痛みから逃げようとうつ伏せになったところで、背中に乗り上げ更に捻る。
完全にきまった。
ここで、スマホを持ったままだったことに気が付く。
片手で操作すると、壊れてないらしい。電話をかけることが出来た。直ぐに警察に連絡をする。
その間も、山田はわめき散らしている。
程無くして、警察が到着した。
山田を引き渡すと、何だかほっとしてへたりこんでしまった。
今頃になって手が震える。
「遅くなってごめん」
急に抱きつかれた。そのまま怪力でギリギリ締め上げられる。
慌ててタップする。このままでは、トバサレル‼
だが、力が弱まることはない。
カオルちゃんが来てくれたらしい。確認しようにも頭の後ろに顔があるため見えない。取り敢えず、声は間違いない。
「本当にごめんね!アタシ、急いだんだけど、助けに来るの、遅れた!!話は聞いていたのに、守れなくてごめんね!」
「ぐふっ‼」
「あの俺様腹黒からもお願いされていたのに、本当にごめんね‼」
・・・俺様腹黒って・・・
頭の中であの男が浮かんだ。
でもそれが限界だった。
早苗は意識を失った。
山田の逆恨み事件(?)が落ち着いた後日、ニコニコ顔の木嶋がいた。
パソコンの壁紙はブサニャンコのマリーちゃんに戻っている。
「聞いた話によるとぉ。」
今日も久々にハッキングを受けて、2人で対処中である。
相変わらず物凄い速さでプログラムが流れていく。
「山田大二郎に情報流したの、ヘルプの2人だってさ。」
それまで鬱憤が溜まっていた彼女達は、どう頑張っても怪しさ満点の山田に、美味しいご飯を餌にひょいと釣られた。
初めは聞かれたことを話していたが、次第に饒舌になり、あることないこと喋りまくった。山田が「もういい」から、「勘弁してください」と泣くまで。
「今回の件で、さすがに人命に関わるようなことしちゃったし、自主退職扱いで、退職金なし。」
ブラックリストに載ったみたいだから、再就職大変そうだねぇ。
なんて、明日の天気を話すぐらいの気安さで話してくる。
・・・ブラックリスト?
木嶋個人の何かが見える。言うなれば、マリーちゃんの恨み?
チラリと見た木嶋の横顔が、某レクター博士のあの笑顔に似ていたのは目の錯覚のはずだ。
今日は会社の帰りにカオルちゃんの所へ行こう。
そう心に強く思う、早苗であった。
護身術、大切ですね。
特にこんな世の中なので、積極的に取り入れてほしいです。
えっ?アタシですか?護身術?できませんよ。
その時間に本読んでいたいです。
次ぎはチェイサーですね。
読んでいただきありがとうございました。
ではまた、土曜日に。




