表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
酒と枠なしザルと男と女  作者: カサハリ職人
16/25

踏んだり蹴ったりだわ。

ちょっとだけ話は足踏みします。

ように見えます。

の、はずです。


今回、お酒は出てきません。

なので、飲んでませんよ?


・・・カサハリ妄想劇場、始まり、始まり~☆

「・・・・・・・」

「・・・・・・・」


その日、オフィスは言い様のない雰囲気に包まれていた。

言うなれば、居たたまれない。

何となくソワソワしている。


「松永さん、こちら、会議の資料です。確認をお願いします。」

「お、・・・おお、ありがとう。」

「・・・いえ。」

「・・・杉原さん、これから出るんだけど、総務に持っていく資料ある?」

「・・・ありがとうございます、阿部さん。この決済の書類をお願いします。」


阿倍は、書類を受けとると、真っ赤な顔で出ていった。

早苗は席に着くと、小さくため息をついた。

この営業課の異様な雰囲気は、自分が原因なのはわかっている。

今の見た目は、静流曰く、「クール系美人」らしい。



ことの起こりは、今朝まで戻る。



始業まであと少しという時に、廊下の角で人とぶつかった。と、同時に頭からLサイズの氷入りオレンジジュースを被り、肩から膝までベンティサイズのアイスコーヒーにまみれた。更に、ぶつかった拍子に眼鏡が外れてそれを踏まれた。眼鏡はフレームが曲がり、レンズが外れてしまった。


・・・踏んだり蹴ったりだわ。



呆然とする早苗と動揺する相手。どうしようかと思案していると、通りかかった菜々美が掃除道具を持ってきてくれ、ついでに早苗を女子トイレに引っ張りこんだ。

頭を洗い、ついでにぐちゃぐちゃになったメイクを落とす。菜々美が持ってきてくれたタオルで手早く拭き、個室に入ると服を脱ぐ。

下着以外、クリーニング行だ。

濡らしたタオルで体を拭いて、ベトベトとはサヨナラする。


「早苗、大丈夫?予備の制服持ってきたから、これ着て。」


ドアを薄く開いて感謝を伝えながら受け取る。

身に付けると、何となく違和感。居たたまれない。

個室から出ると、仁王立ちの菜々美と会う。

何やらニヤニヤして、悪い予感がする。

隙を見て脱兎の構えをとるが、敢えなく撃沈。


「さっさと仕事に戻りたいでしょ?」

「・・・はい。」


その後、髪を乾かしながらメイクをするという荒業をやってのけた。

結果、完成したのがクール美人であった。

早苗は普段、眼鏡を掛けているが、なければちょっと見えにくい程度で、運転さえしなければ問題ない。

なので、トイレから出てきて、先程ぶつかった相手が企画課の同期、高橋大和であることもわかった。

高橋はかなりの長身で、ぶつかって頭から被るのもさもありなんだよなぁ。なんてしみじみ思う。


「ホントにごめん。服はクリーニングに出してきたから、出来次第届ける!」

「いや、気にしないで。こっちも悪かったし。仕事に戻ろう。」


もう一度謝ると、高橋は企画課の方に行った。

じゃあアタシも行くわ~、なんて菜々美も行ってしまった。



そして、今に至る。



この空気を払拭すべく、早苗はいつも以上にハイペースで業務をこなす。

きって、さばいて、いなして、ととのえる。

キリの良い時間なので、声を掛けて昼休憩に入る。

今や定位置になった席には静流と菜々美が待っていた。

静流のニヤニヤを見て、ちょっとため息をつく。


「高橋君と、オフィスラブ?」

「はぁ?」

「あれ?噂では、早苗ちゃんが高橋君に連れ込まれそうになって、間一髪で菜々美ちゃんに助けてもらったって。」

「はい?」

「あれ?痴情の縺れで激怒した早苗ちゃんが高橋君を土下座させた?」

「・・・」


取り敢えず、早苗と高橋のことで何かとんでもない噂が飛び交っているらしいことはわかった。

ここは、お互いの名誉のために説明しなければなるまい。


・・・ってか、菜々美、居るのに放置していたね?


ちょっと同僚にイラっとしたが、まぁ許容範囲だ。

今朝の出来事を端的に話す。

周りが聞き耳を立てていたが、真実が拡がるなら願ってもない。

ついでに高橋の好感度も上げておく。

彼は紳士で、好青年であって、けして卑下され、指差される人物ではない。


「・・・と言うわけです。」

「ふぅん。大分悪意のある伝言ゲームだこと。」


ちょうどその時、何やら早苗たちを見てヒソヒソする声が。


「・・・あんな言い訳、ねぇ?」

「地味な事務が、ちょっと仕事出来るからって調子に乗ってるぅ。」

「今流行りの美なんとかに目覚めたとか?」

「うわぁ、ないわー。きもい。」

「ちょっと手を加えたらいい感じになって、調子に乗っちゃったみたいな。」

「うわー、ムリー。」


次第に興奮してきたらしい。声が大きくなり、きゃあきゃあ言ってる。


・・・想像力、逞しいなぁ。なんでそうなったかよくわからないけど。


そのまま憐れんだ目みたいな、蔑んだ目みたいな変な顔して小走りに出ていった。


「何なの?あの地球外生命体。NASAかJAXAに保護してもらえばいいのに。」

「あれは触りたくないでしょ。」

「ああ、何処も引き取り拒否ね。」


職場でもそうなのかしら?

何か静流と菜々美の方からよからぬモノが立ち込めてきているみたいだ。

早苗は、いい同僚達だなぁとちょっと感動しながら定食を食べた。

今までのものより数段美味しかったが、何やら食べ進めるのが大変だった。


・・・胸が、詰まる。





イメージチェンジした後ってなんかソワソワしてしまいますね。

特にバッサリいったときとか。


「なんだ、喧嘩したんかい?さっさと仲直りしなね。」

「・・・」


何故髪切っただけでそうなる?

市松人形とか違うわ!


ワタクシの周りのヒトコマです。ええ、ヒトコマですよ?


読んでいただきありがとうございました。

ではまた土曜日に。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ