表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
酒と枠なしザルと男と女  作者: カサハリ職人
13/25

余興も悪くない

ちょっとだけ好戦的な感じです。


やられるまえに、やれ

飲む前に、飲め


です。


カサハリ妄想劇場、始まり、始まり~☆

全身エステにマッサージ。ドレスを着て、メイクに髪をまとめて、アクセサリーを着けて。「どこに行くの?私。」の完成。

更なる磨きのかかった肌は、「透き通るような」と言われるようなもの。


・・・私、どこに向かっているんだろう。


「でぇきた、できた♪イミテーション。さあ、シンデレラ!化け薬で魑魅魍魎蠢く夜会へ強制参加だ☆」


永寿はにこにこと不安以外見当たらない単語を言う。

慣れない10センチピンヒールを履かせ、クラッチバッグを持たせると、早苗の手を取り、ルンタルンタスキップしそうな勢いで入り口に向かう。


「本日の王子さまは、こちら♪」


開けた扉の先に京介が時計を見ていた。

目が合うと少し見開いて、ニヒルな笑み。


「ああ、綺麗になったな。」

「性格がネジくれて、根性がひん曲がり、俺様腹黒王子サマ☆こと、各務京介~♪精々自分の身は自分で守れよ☆」


あばよ‼と行ってしまった。


「あいつ、器用だろう?髪もメイクもお手のもの。気が向いた相手じゃないとやらないけど、妥協をしないからいいものが出来上がる。」


綺麗だなと、頬を優しく撫でる。


「じゃ、今から同伴じゃないとメンドクサイ所に行くから。ちょっと嫌なこととか、ものとかあるかも知れないが、なんとかなるから。」


そう言うと京介は早苗の腰に手を回しエスコートして行く。

早苗は半ば引きずられるように歩いていく。

そして強引にタクシーに詰め込まれる。


・・・今、とんでもないこと言われた気がするんだけど、何?


着いたところは某有名ホテル。

京介はなれた手つきで早苗をエスコートすると、迷うことなくエレベーターへ。会場のある階を押し、改めて早苗を見る。


「始めに何人か挨拶回りする。そこに付いて行ってほしい。それか終わったら余興がある。俺は離れるけど、適当にやっていてくれ。帰りに声かける。」


説明が終わる頃エレベーターが開き、そのまま会場となり、質問をする間がない。

直ぐに声をかけられ、2人でそちらに向かう。

顔を見て直ぐにベンチャー企業の社長であることに気付く。

無意識に仕事モードの万人受けする笑顔になる。

簡単に自己紹介する。

そうして次々と人の輪を巡っていく。

あらかた早苗の中の人物辞典がめくり終えた所で、軽食コーナーに行く。

色とりどりのオードブルが並ぶなか、ウェイターから飲み物を受けとる。

グラスを傾けて、ひと口流し込む。

シャンパンのシュワシュワした喉ごしが、思ったより渇いていたことを知らせる。


「これで挨拶は終わりだ。余興の準備があるから俺は行く。粗相しないで大人しくしてろよ。」


ウィンクひとつでさっさと行ってしまう。

早苗はひとつため息を吐くと、端の方の椅子に腰かける。慣れないヒールが靴擦れをおこしていた。ちょっと血がにじんできている。

ウェイターに絆創膏でも貰うかと、顔を上げたところ、見知らぬ黒人男性と目が合った。ような気がした。というのも、男性はサングラスをしていたからだ。「屋内でサングラス?」と思ったが、まぁ、個性だととる。恰幅のいい男性で、着ている服のボタンがちょっと胸を張れば弾け飛びそうだ。その男性が、体を揺らして近付いてきた。


「見たところ、困ってるみたいだね。」


直ぐにウェイターを呼んで、絆創膏を持ってきてもらう。止める間もなく跪いて、靴を脱がせるとさっさと処置してしまう。


「ありがとうございました。助かりました。」


感謝の笑顔。男性は少し笑むと、早苗をまじまじとみた。


「キョウスケの知りあい?」

「はい。自己紹介が遅れました。杉原早苗と申します。」


立ちあがり、頭を下げる。

男性は少し目を細めると、


「これから少し嫌な思いをするかもしれない。だが、どうしても通らなければならない道だ。試練に立ち向かえる力はあるから、大丈夫。前を向いて。」


最後ににっこり笑うと、人混みに紛れていった。

思わずポカンとする早苗。

今日はやたら予言的なことを言われるなぁ。なんてのんびり考えてしまう。

早苗の右側から何やらざわめきが。

見ると、酔っ払った男性が。灰色の髪に、これまた灰色の瞳。白い肌に彫りの深い顔。ギョロリとした目が早苗を見る。そして、聞き取れないぐらい早口で何か大声で言ってきた。

瞬時に仕事モードになった早苗は、一切の表情を無にした。

おそらくドイツ語だろう。全く言ってることはわからないが、周囲の様子から、あまり芳しくないことは言われているようだ。

会場の何人かは眉をしかめ、何人かは嘲るような視線をよこす。


・・・これが嫌な思いねぇ。


何を言われているのかわからないから対処の仕様がないが、まぁ、切り抜けられないことはない。

早苗はチラリと周囲に目配せすると、佇まいをなおし、ただ艶然と微笑んだ。

周囲からは見惚れるような。男性からは恐怖で足がすくむような。


・・・カオルちゃん直伝、無言の威圧。


男性は少し青ざめた顔で、何事か捨てゼリフをはいて行ってしまった。

その後、「余興ってこれのこと?」と言いたくなるような小さなアクシデントが続いた。

例えば女子がぶつかってきて酒をかけられそうになったり、誰ぞ知らない人から歩いていたら足かけられそうになったり、やたら好戦的な視線が飛んできたり。なんだりかんだり。

酒はスルーした後、転びそうになる女子を支えてにっこりした。足はよけた後よろけたふりして踵で踏んでみた。好戦的な視線には挑戦的な笑顔。

ここだけの付き合いだし。京介が無理矢理連れてきたし。やることが小物過ぎて情けなくなってきたし。

もとより、カオルちゃんから、売られた喧嘩は慎んでお受けするように言われてきたし。


・・・いいよね?


口の端が少しだけ上を向く。


余興も悪くない。




中途半端感、半端ないですね。


次回、早苗の踵落としが炸裂するか⁉

乞うご期待‼


・・・嘘です。バイオレンスは嫌です。


読んでいただきありがとうございました。

ではまた土曜日に。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ