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酒と枠なしザルと男と女  作者: カサハリ職人
11/25

チェイサー~ノンアルコールビールと偽装と少しだけホントの気持ち~

この話、10話目でいれて、きりのいいものにしたかったのですが、心配性の男たちがね、ほら、ね!


女子会の裏の男子会。


妄想劇場、始まり、始まり~☆

ドアが開いて、来客を報せるベルがなる。

使い込まれて黒炭のような深い色合いを出すカウンターの席に黒髪の男が腰かける。


「お久し振りですね。何になさいますか?」


席について一段落したところで話しかける。

男は申し訳なさそうに小さく笑う。


「済まないが、人を待っているのでノンアルコールビールで頼む。」

「畏まりました。」


グラスに琥珀色の液体を注ぎ、つまみのナッツを添える。

再びベルがなり、茶色の髪の男が入ってきた。

カウンターの席に座る男を見て少し目を見開くが、直ぐに笑顔を作る。


「斎藤課長もここですか?」

「谷川か。」


席についてすぐ、谷川はノンアルコールビールを注文する。


「終わったのか?」

「ええ。しっかり契約しましたよ。」


谷川は今、大口の契約に集中していた。これが成功すれば会社は更なる飛躍を遂げ、海外企業との業務提携も可能となり、海外進出も本腰となる。今までの海外企業との契約よりより難しく、重圧の掛かる仕事でいつになく緊張していたのを思い出す。だかここ最近、1月ばかりはメリハリがついて、穏やかな顔をすることも見受けられた。

おそらく彼女のお陰だろう。


「海外赴任か・・・」


契約がなされたと言うことは、谷川が海外赴任になる可能性が高くなったということだ。

余計なお世話だとは重々承知しているが、これに伴い今の総務から彼女が抜けるのは手痛い。


「・・・課長はもう気付いてるんですよね。」

「1月ぐらい前に一緒に歩いているのを見た。・・・本気か?」


谷川は自嘲気味に笑うと、ことの顛末を話した。

言い寄られた相手がまずくて、とんでもない言い掛かりを付けられ辟易していたこと。それを何とかするために、たまたま通りかかった彼女を言いくるめて、偽造交際をしていること。

お互い、割りきっていること。


そう、割りきっているんだ。

割りきってるはずなんだ。


前髪をかきあげ、また自嘲気味に笑う。


とんだ茶番だ。

なにを浅はかな夢を描いたのか。


「連れていきませんよ。今、声を掛けても仕事が大事な場面であることを彼女は知っています。放り出すことなど彼女の矜持が許さないでしよう。」

「時期を見て連れていくってことか。」


・・・話、聞いてないのかなぁ。


「3年だな。それまでに向こうの支店、軌道にのせればいい。」


そうすれば引っ張ってこれる。


思わず谷川は止まってしまった。

さっきまでそんなこと考えていなかった。


だって、偽装だから。

お互いに割りきってるから。


それなのに、今、斎藤の言葉に衝撃を受けた。

これまでの鬱屈とした何かが晴れていく思いだった。


だからずっと引っ掛かっていたんだ。


「・・・俺、とんでもない自意識過剰野郎らしいですよ?」

「今更だろう?」


グラスを傾けると中身を一気にあおる。

その時、スマホが振動した。

見ると早苗からだ。

苦笑するとチェックを済ませ立ち上がる。


「行く方は同じらしいな。」

「お互いに転がされていますね。」


それも悪くない。


「またのお越しをお待ちしております」


赤髪のマスターが優雅に一礼する。

2人はインダスドリームを後にした。


さて、お互いの愛しい人を迎えに行こう。


呼び出されたバーに着いて、「目が離せない」と思ったのは後の話である。






2人共、車で来たんですよ~☆

飲むと公共交通機関はちょっと大変ですからねぇ。


妄想では斎藤はオフロード車で、谷川はスポーツタイプです。


読んでいただきありがとうございました。

ではまた土曜日に。

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