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酒と枠なしザルと男と女  作者: カサハリ職人
10/25

絡まれてる

いやぁ、なんか、早めに回収したいそうなので、投稿させていただきます。


・・・土曜日、7時(午後)はぶれてませんよ?

4杯目のビールを飲んだところで、そろそろ場所を変えますかなんて流れになる。

お会計は綺麗に自分で食べた分。

静流が支払いたがったけど、それやったらもう二度と一緒しないっと固辞すれば渋々納得した。

2件目はショットバー

静流と、菜々美はグラスワイン。早苗はテキーラ1本。あとライム。

2人のワインが半分になる頃、早苗はバガルディ1本を注文。あとクレイジーソルト。


「胃とか大丈夫?」

「この飲み方の方が楽です。今日はペースゆっくりですし。」

「早苗にしてはそうだね。いつもこの時間にはもっと瓶、転がってるもんね。」

「あいつらが潰れた訳がわかった。」


店が静かでゆったりとした雰囲気のせいか、3人はリラックスしていた。ホロ酔いの2人は少し目がウルウルしてる。

早苗はちょっと考えるとトイレに立つ。

洗面台の前でスマホをとり出し、目的のアドレスを呼び出す。用件を打つと、さっさとしまう。

手を洗って出てくると2人はユラユラしている。

見ると、早苗がいない間に頼んだソルティードッグやら、カシスオレンジやらがほぼなくなっている。


・・・あー。怒られる。


頭を抱えてガックリ項垂れる。

取り敢えず何とかしようかと顔を上げると、


・・・絡まれてる。


確かさっきの焼き鳥居酒屋でチラチラ見てきた3人だ。

2人に更に酒をすすめようとしている。

2人は嫌がって拒否しているけど、しつこく付きまとっている。

一気に距離を詰めると一人の腕をとり、締め上げる。


「ぎゃっ」

「だっ」

「なっ」


3人の呻き声。


「酔った女性に無理矢理はクズの極みですね。」

「酒飲んだときは特に注意しろって言ってるだろうが。」

「ホント、目が離せない人ですね。」


振り向いた静流と菜々美の前には斎藤と谷川がいた。

2人とも仁王さまのような顔つきで、男3人はほうほうの体で逃げていく。


「むっ。もう子供じゃないんだから、大丈夫ですぅ。」

「子供じゃないから言ってるんだろうが。」


静流の手をとり、立ち上がらせる。ふらついた腰を支えながら斎藤が早苗を見る。


「知らせてくれて助かった。ありがとう。静流はこのまま連れていく。杉原は大丈夫か?」

「全く酔っていません。問題ありません。」


軽く会釈をすると、文句を言っている静流を連れて出ていく。


「隼人、何でここに?今日は残業って言ってなかった?」

「菜々が女子会とか言うから心配でさっさと終わらせた。案の定だね。この体たらく。」


菜々美はちょっと唇を尖らせる。

早苗がさっと2人の死角にはいり、尚且つバッグに目を向けた。

ちょっとリップ音したり、艶のある音がしたのは気のせい。

更に更に、何かピンクの某かが飛んでくるのは気のせい。


「家に帰ろう?」


・・・あー、今日も星ひとつ見えない夜空が清々しいわぁ。


ちょっとヤサグレタ。

谷川が菜々美に手を貸しながら立たせる。ゆっくり早苗をみる。


「ありがとう、杉原さん。」

「菜々美を宜しく。」


頷きながら歩いていく2人に手を振り見送る。

誰もいなくなった席に着くと、マスターが声をかけてきた。


「ウォッカ1本。」

「お詫びです。どうぞ。」


ウォッカとピクルスが出された。

早苗はマスターの気遣いを受けとると、ウォッカをグラスに注ぎ、一気に流し込む。

キンキンに冷えて僅かにトロリとしたそれは、胃のなかで少し熱かった。


「またこんな風に飲んでるのか?」


早苗の肩がびくりと震える。

グラスを持つ手が強く握りしめられて白くなる。

顔が下を向く。

隣に音もなく座る。

ふわりと香る、あの香り。

店の中の音が聞こえなくなる。

早鐘を打つ心臓の音がやたらはっきり聞こえてからだが強張る。

微かな衣擦れの音がして、耳に掛かる髪をかきあげられる。

触れられたところが熱い。


「テキーラとバガルディとウォッカって、あとはスコッチでも頼むか?」

「・・・私がウィスキー飲みたがらないの知ってて言ってるでしょ?」

「ああ、掠れた声、俺以外に聞かせられないもんなぁ。」


意地悪に引き上げられる口角。

見なくてもわかる。

きっとあの目は心のそこから楽しそうに輝いている。


「・・・声、聞きたかった。」

「ふぅん。」

「姿、見たかった。」

「あっそ。」

「会いたかった。」

「はっ。」


もどかしい。

この男と話すときはいつもそうだ。

わかってるくせに話させられて、羞恥にまみれさせられて、ただで屈服するもんかなんてなけなしの勇気を振り絞ってもあっさりボコボコにされる。


「・・・寂しかった。」

「良くできました。」


顔をあげて見た先に、ずっと会いたかった、恋い焦がれた子憎たらしい顔があった。


名前を、各務京介という。


ジャズサックス奏者で、バーテンダーで、早苗の思い人だ。



と、言うわけで、俺様様が出たいと仰ったからです。


・・・このかたのせいで、話がね、話がね!


読んで頂きありがとうございました。

ではまた、土曜日に。

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