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月灯り

作者: もっこす

「あれっ!?」おかしいな、高校の同級生7、8人で何気ない雑談をしていた時、私だけ作り笑いも心からの笑いも起きなかった。でも少なくとも顔は笑ったつもりだった。

笑ったつもりの顔は他人は決して指摘しない。

でも私には恐ろしい感覚で伝わってきた。

そう、強ばるような引きつるようなそんな顔をしているだろう事は自分自身が一番感じていた。自分自身の表情、そんな事を意識した事などなかった。でも今は話しの内容などどうでもよかった。自分の顔が、表情が、感情に関係なく硬く強ばる事しか出来ないのだ。その時から自分に起きる全ての事象に苦しみもがき続ける事になったのだ。

その日から一日がとても長く、自分の存在を否定するばかりだった。

特に人との関わりの中で。

未来の夢どころではない、その日いちにちを生きていくのが精一杯でいつも張り詰めていた。全てを恐れていた。人に気を遣うどころか、そんな余裕などひとかけらもなく他者と対峙する時はまさに決闘しているかのごとく自分自身の表情ばかりに気持ちがいってしまうのだ。そんな状態で会話も楽しいはずはなく、人と話す事は大仕事で恐怖ばかりであった。幼稚園生でも出来る

「笑顔で挨拶」が出来ず、さあ笑顔だぞと言い聞かせても顔は言う事を聞いてくれず強ばってしまう。そしてその瞬間のショックはとても激しくちょうど胸と胸の間のあたりにぐっと何かが突き刺さるのだった。一度そんな目にあった他人は次からは必ず私に気を遣っているのが分かる。ショックな気持ちと申し訳ない気持ちでだんだん人と関わるのが辛いだけになってしまうのだ。せっかくの青春時代をハムスターの回し車の中にいるかのようにグルグルと回っていた。ゴールなどないのに、いや自分で回していることすら気づかずに。


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