妾の女神の治療魔法
妾は楓から理由を聞いた。
何人か楓の治療魔法がまったく効かなかった人達がいた。
ここに長い間出稼ぎに来ていた娼婦達だ。
知らなかったのだが、性病には治療魔法が効かないことを中にいた治療魔術師に教えてもらったらしい。
昨日の夜、たくさんの人を治せたと喜んでいた楓があきらかに落ち込んでいる。
妾は楓を抱きしめて慰めながら楓が落ち着くのをまった。
楓が落ち着いた所で妾はフレデリカを措いて楓の手を引いて病院に向かった。
この世界の末期の性病患者は不治の病である。そのような患者は病院の奥で死を待つのみであった。
病院に入ると治療魔術師と医者が妾に臣下の礼をする。
妾は返礼をしてその性病患者の下に案内してもらった。
治療魔術師や医者は「なぜそのような者の場所へ」と聞かれた。
「長い間ここの兵士を癒してくれた者達に礼がしたいのじゃ」
奥の部屋に入ると中には沢山の女性がいた。
妾に気づくと動ける者は頭を下げる。布団から起き上がろうとするが上手くできない者もいた。
何人かは体に斑模様が浮かびあがり、顔が爛れた女性も何人もいた。
「みなそのままでよい」
妾が女性達に全員にいっせいに女神の治療魔法を行なった。死を待つだけの彼女達なら、せめて死ぬ時は綺麗な顔でと思った。
女神の治療魔法を何度もしていたら全体化も出来るようになっていた。
魔法が発動すると中の女性達の体が変化してゆく
ハリの無くなった肌にはハリが、たるんだ肉は引き締まり、ボサボサだったり抜け落ちた髪の毛は綺麗に整って、爛れた顔元通りに、斑模様も綺麗さっぱりなくなった。
彼女たちは自分の変化に驚いた。病に犯され醜くなった自分の顔が病に犯される前に戻った感覚になった。
女性なら誰でも一度はあこがれる女神の治療魔術
彼女の中にいる賢い者は、これは王女の慈悲なのだろうと気づいた。
気づかない者もこれで自分はあんな醜い顔で死ななくて済んだことを感謝した。
綺麗な顔で死にたかったと彼女達のほとんどは毎日思いながらすごしていた。
そこにいた女性全員が王女に感謝の礼をした。
さっきまでほとんど動けなかった者も全てだ。
医者は驚いて彼女達の症状を調べた。
「フレデリカ姫様!治っています。この方も、この方も、皆治っています。」
医者は歓喜しながら一人一人診察結果をだした。
そこに女性達は涙を流しながら、なんどもなんどもフレデリカに感謝の言葉をあげた。
その後、男性の患者を治し部屋に帰った。
もちろんフレデリカとハクレンさんに勝手に単独行動したことをこっぴどく怒られた後、娼婦や兵士を治療したことを褒めちぎられた。
次回は誰得シリアスです。
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