妾の初仕事の夜
一つ目の町に到着した。
一日馬車に揺られていた妾は体の節々がバキバキいうのがわかる。
亮のほうは一日乗馬をしていたので腰を痛がっていた。
楓はいつもどうりだ。
いつも停泊しているのか町に入った瞬間町の住人に歓迎された。
妾とフレデリカは窓を開けて住民に手を振り替えした。
住民は妾達を見て同じように驚いている。
館に着くと、館の主と思われる青年が門の前にいた。
妾とフレデリカが降りると妾達を見比べた。
「あの、どちらが姫様なのでしょうか?」
妾「それを言ったら影武者の意味が無いじゃろ」
フレデリカ「その通りじゃ、妾達は二人ともフレデリカじゃ、そのように扱うように」
「わかりました。」
青年がお辞儀をするとメイドたちに指示をだした。
妾達はフレデリカがいつも宿泊している部屋に案内された。
隣の部屋に楓が、部屋の隅の小さな部屋に使用人控え室がありそこにハクレンさんが、兵士や亮はこの部屋を取り囲むように部屋を配置された。
すでに夕方になっていたので歓迎の夕食会になる。
その前にフレデリカが着替えることをメイドに伝えた。
フレデリカの側にハクレンさんが立ち、フレデリカの服の後ろのボタンをはずす。
服がパサリと落ちフレデリカは上半身が肌着だけになる。
妾は真っ赤になり今すぐ部屋から出ようとした。
「待つのじゃ」
「そうですよ、ここにいてください」
「え、だって」
「妾が着替えている時にそなた一人が外にいたらどちらが本物か教えるようなものじゃここにいるのじゃ」
妾は何も言えなかった。フレデリカのことを見ないように別の方向を見ていた。
後ろからするするという衣擦れの音が聞こえてくる。
妾はなにも考えなかった。心を無にして時間が過ぎ去るのを待った。
「もういいぞ」
フレデリカの声で僕は振り返る。
フレデリカは豪華すぎない、しかし王家の者にふさわしい格好をしていた。
妾も同じ格好をする為にハクレンさんに手伝ってもらった。もちろんフレデリカにがっつりしっかり見られた。
会場に着くとざわめきが起きた。
まったく同じ人物が二人現れたのだから当然だろう。
ハクレンさんや楓や亮が見れば気づくだろうが、会場の誰もがどちらがフレデリカでどちらが妾かわからないだろう。
歓迎の宴は想像より質素だったが周りの人間の誠意が感じられたいい宴だった。
部屋に戻ると妾とフレデリカは寝巻きに着替えた。
「フレデリカよ、歓迎の宴があるのはこの町だけじゃぞ、あとは一緒の食事はするが止まるだけじゃ」
「わかりました。」
「しかし誰もわかってないようじゃったな、フレデリカも上手いものじゃ」
「いえ、もう少し上手にやりたいのじゃ」
「ほう」
「お二人とも明日も早いのですから今日はもうお休みになりませんと」
「そうじゃな」
「ハクレンさん」
「姫様」
「そうだった。ハクレン、楓を呼んできてくれ」
「わかりました。」
妾は楓お手入れセットを用意した。
それを見たフレデリカは興味津々の目で妾を見てきた。
妾はフレデリカを椅子に座らせて髪を梳いた。
妾よりやわらかい髪、妾より少しだけ長い髪、丁寧に大事に梳く。
フレデリカは目を瞑り妾になすがままにされている。
妾はフレデリカの顔や肌に女神の治療魔法をかけてゆく。
自分で試したがこの魔法にはスキンケアパックの役割もあるみたいだ
一通りフレデリカのお手入れを終わらせると真横に頬を膨らませた楓がいた。
「フレデリカ様、ずるい」
「すまぬの、先にさせてもらった。天にも昇る心地じゃったぞ」
「薫、私にも」
「楓、この任務中の妾はフレデリカだよ」
「そうだった。ごめんなさい」
「じゃあ、はじめるね」
妾最大の癒しである楓のお手入れを始める。
楓の幸せそうな顔をしながら妾を受け入れている。
楓のお手入れを終わらすと妾はハクレンさんの方を向いた。
「あの…なにか?」
「もちろん、次はハクレンの番よ」
「あの、私は結構で…」
逃げようとしたハクレンさんを楓とフレデリカが捕まえる。
妾はハクレンさんのお手入れを開始した。
ハクレンさんは蕩けた顔をして虚空を見ている。その間妾はソファーを布団代わりにするための準備を始めた。
「なにをしておるのじゃ?フレデリカの寝る場所はここじゃぞ」
フレデリカは自分の横をポンポンと叩いた。
「さすがにそれは…」
「駄目じゃ」
「さすがにでき」
「駄目じゃ」
「ぜった」
「駄目じゃ」
「絶対に出来ましぇん」
妾は噛みながら拒否した。
「仕方ないのぉ、楓」
「なんでしょうか?」
「一緒にねるぞ四人で並んでねるぞ」
「やったぁ」
「なにが、仕方ないですか、さっきより悪くなってるじゃないですか」
「仕方ないのじゃ」
「仕方ないのじゃーー」
妾は無視してソファーで寝ようとした。同室はぎりぎりでも同じベッドは妾的に絶対NGだ
ソファーに腰掛けようとすると後ろから肩を掴まれた。
「仕方ありませんよね、しかたありませんよねぇ、ふふふふ」
ハクレンさんに肩を掴まれてベッドに投げこまれた。
妾はあきらめることに決めた。
「そういえばフレデリカだけ寝る前のお手入れしていないのじゃ」
フレデリカは櫛を構えた。
「フレデリカ様の女神の治療魔法ならつかえるよ」
「押さえつける為のロープを準備完了です。」
あれ?なんだろう?妾これからどうなるの?ピーされちゃうのもしかしてピーされちゃうのかな
「覚悟を決めるのじゃ」
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」