天の神様の言うとおり
…に、なると思ったら大間違い。
「それでは、今から天上会議を始める。…が!」
「どうしました?」
「どうしたもなにも、ミカりん!なんでキミたちしかいないかな!?4人だよ!?たった4人!?」
「あ、ボクが帰れば3人だね」
「この流れでよく言えるねウリリン!?」
「主よ。他の天使たちも忙しいのです。かく言うわたくしたちも暇ではないのです。従って、さっさと議題を仰ってください」
「う、うぅ…ガブりんの目が怖い…」
「あんまり責めないでやってよ、ガブリエル」
「ラファリン…」
「主がヘンな方向に目覚めでもしたら、余計面倒でしょ?」
「…」
「みんな!口が過ぎるぞ!」
「ミカりん!やっぱりキミは私の味方だね!」
「…主。その緊張感のない呼び方は辞めて頂きたい。なんですか『りん』って。馬鹿ですか」
「だ、だって、親しみやすいから…」
「ボクもなんだかさー、セクシーな女優みたいじゃない?もしくはボクが死んだらミカエル辺りが『ウリリンのことかー!!』ってパワーアップしそうじゃない?」
「私は既に最終形態だぞ」
「わたくしも不満です。『ガブりん』など、魔界に住む低級魔族のようではないですか。屈辱です」
「うぅ、神大反発喰らってるよ…」
「あぁ、でも僕は『ラファリン』って結構好きですよ?」
「おお、ラファリン!ね?いいよね?」
「ええ。頭痛に効きそうだし、半分くらい優しさで出来てそうだし」
「ラファエル!貴様がそう甘いから、主が思い上がるのだ!!」
「思い上がるって…私、神…」
「そう怒らないでよミカエル。ちょっとくらい駄目なコの方が、可愛いし御しやすいじゃない?」
「なるほど、一理ある」
「…半分以上腹黒でできてるよね?キミたち」
「ねーねー、結局無駄話ばっかじゃん!さっさと終わらせて帰ろうよー。ボク、ちゃっちゃと終わらせたいゲームがあるんだけど」
「私の招集、ゲーム以下なの!?」
「ウリエルのためにがんばろうかな」
「ラファリン、私のためにもがんばって?」
「…で?議題はどうしたんですか。耄碌してるんですか」
「…ミカりん、口が過ぎるのはキミだよね?…まあ、いいや。とにかく議題ね」
「先日のようにくだらないことでしたら容赦いたしませんよ?」
「…ガブりん、その手にしてる百合の花、あからさまにお花じゃない硬度と質量あるよね?パシーンパシーンいってるもんね?」
「駄目だよ、ガブリエル。主が本格的にヘンな方向に目覚めちゃうでしょ?」
「ラファリンはさっきから私をどういう方向に心配してるの!?大丈夫だよ!?」
「で?議題は?」
「…はい。ええっと、セラフィムのコたちのことなんだけど。やっぱり、直接会ってお話しする機会も増えてきたことだし、親睦を深めようと思って」
「へーぇ」
「うわ、あからさまに興味なさそうだねウリリン。…でもめげないよ!ええっとね、だから、今度からセラフィムのコたちも親しみやすい愛称で呼びたいと思うんだけど、何かいい案は…」
「…」
「…」
「…」
「…ああ、ガブリエル。今まで止めててごめんね。頃合かもしれないね?」
「ちょっとー!!?」
「主」
「お、挙手ありがとうミカりん!はいどうぞ!」
「ラッパ吹きたいんですけど、いいですか?」
「駄目だよ!?圧倒的に駄目だよ!!?」
「あ、ラファエル。折角だからいっしょにゲームしない?」
「いいね」
「わたくしが後で差し入れでもお持ちしましょう。良い茶葉が手に入ったので」
「私も後から合流しよう」
「み、みんな帰り支度ーーー!!?」
「…お帰りなさいませ、ミカエルさま」
「ああ」
「また天上会議ですか?」
「ああ。…まったく困ったものだよ、あの神め」
「か、『神め』って…でも、会議は重要なのでしょう?」
「…そうだ、ひとつ教えてやろう。全知全能の主にとって、会議は本来、必要ないものなんだ」
「え?…では、何故…」
「甘えてるんだよ。あの暇神め」
「そ、そうですか…でも…」
「なにか?」
「い、いえ!なんでもありません!!」
(でも…そう分かってても、必ず毎回参加されるんですよね。四大天使の皆様は)
END