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ゆる~らぶ  作者: 一 一 
一章 部活動 ~高校一年生・一学期~
21/92

凛の九 ぜひ、お願いしますっ!!


 凛ちゃん視点です。

 キャラブレがないか心配です。


 ほぼ一月ぶりに再会した相馬さんは、ビックリするくらい疲弊されていました。私も多少取り乱してしまいましたが、休憩をとられると少し顔色がよくなっていましたので、ひと安心です。


 そして、ミィコ部長が(おっしゃ)っていた新人とは、相馬さんのことだったようです。休憩中の相馬さんからも、息切れしながら説明してくださったので、間違いありません。


 私としましては、もっと相馬さんとお話ししていたかったのですが、相馬さんの息が整い始め、ミィコ部長たちの発声練習が始まると、急いで基本セットという筋トレに戻られてしまいました。


「それじゃ、僕も続きやらないとだから。えぇっと、カリンさん、だっけ? 見学楽しんでってね」


 その際、ミィコ部長からつけられたアダ名で相馬さんに呼ばれてしまいました。


「は、はいっ!」


 なんだか、ミィコ部長に呼ばれたときの何十倍も胸がキュンキュンします! 思わず声が上擦ってしまいました!


 あぁ、恥ずかしい、と一人赤面している間に、相馬さんは部屋の隅の方へ移動され、腕立て伏せを始められました。


 途端に、私は一人になってしまいました。もう四月も終わりですし、見学も一人ですので、お話し相手もいません。


 かといって、随分と真剣な表情で練習に取り組む部員の方々を呼び止めることは(はばか)られます。そうすると、見事に手持ち無沙汰(ぶさた)になってしまいました。


「ごめんね、カリンちゃん。発声練習なんて見てるだけじゃ暇でしょ?」


「ミィコ部長」


 すると、基本セットを終わらせたらしいミィコ部長が、私の方へ近づいてくださいました。他の先輩方やハーリーさんも順次終了し、各々バラバラに行動しだしています。


「そんなことはありません、と申し上げたいのですが、やはり見学者が私一人ですので、少し寂しいですね」


「あはは、やっぱり? まあ、今からあたしが色々演劇部について説明するから、退屈はさせないようにするよ。うちに入るかどうかの参考にしといて?」


 そう仰ると、ミィコ部長は私の隣へ座られ、演劇部の活動内容について説明されました。


 演劇、というからにはやはりお芝居を練習し、大勢の人前で披露するのが主たる活動のようです。文化祭などは当然ですが、演劇部の大会があることを初めて知りました。


 ミィコ部長たちは夏頃にあるその大会へ向けて、お芝居の練習をしているそうです。


「でも、三年生は大会前に引退しちゃうから、大会に出るのは一年生と二年生だけなんだけどね?」


 ただし、ミィコ部長とターヤ先輩は大会には出場できないようです。それでも積極的に参加しているのは、後輩の演技指導を通して、自分の演技も磨きたいからとのことでした。


「ミィコ部長は、本当に演劇が好きなんですね?」


「まぁね。自分じゃない誰かを演じるのって、すっごい楽しいからさ。カリンちゃんもやってみればわかるよ?」


 さりげなく入部を誘ってくる辺り、ミィコ部長もなかなか抜け目がありませんね。入部はまだ検討中ですよ。


「……あら?」


 しばらくミィコ部長とお話ししていましたが、ふと相馬さんの方へ視線を向けてみますと、小柄な女性の先輩に声をかけられておいででした。


 相馬さんはまだ腕立て伏せを行っていたようで、余裕のない表情でお答えしていました。


 ……たったそれだけですが、何故でしょう?


 何とも言えない、胸がざわつく感じが致します。


「ん? あぁ、ありゃトーラちゃんだね。二年生の渡辺真愛って()で、体力バカ。またレンマ君に話しかけてるみたいだね」


「え? また、ですか?」


「うん。レンマ君は入部してまだ一週間くらいの素人君なんだけどさ、妙に部員のみんなから受けがよくてね? みんなああやって、タイミングを見つけては構おうとしてるんだ。

 ま、私も何だかんだで世話焼いちゃうから、あんま人のこと言えないんだけどね?」


「そう、ですか……」


 ミィコ部長はそう仰ってからからと笑いましたが、私は作り笑顔を浮かべることも忘れて相馬さんの方をじっと見つめました。


「……あの方は?」


「え? げっ!」


 すると、今度は腕立て伏せを終えた相馬さんに、別の女性が近づいていきました。こちら側からは横顔が見えるのですが、そちらよりも視線が少し下に移動してしまいます。


 私の目を釘付けにしたもの、それは体操服を窮屈そうに押し上げる、見事なバストでした。ただ歩くだけでゆさゆさと揺れ、見てはいけないものを見ている気分にさせられます。


「あの娘は二年生の斎藤早苗で、アダ名はミトちゃん。巨乳のド天然なんだけど、まーたレンマ君を構いにいったみたいだね」


「あちらの先輩も、ですか……」


「あ、ああ、そうだよ」


 若干ミィコ部長の声が小さくなった気がしましたが、今はそんなことに構ってはいられません。


 相馬さんの腹筋をお手伝いされているミト先輩は、わざわざ自らも前傾姿勢となって、相馬さんの足に胸を押し付けているように見えました。


 どういうことでしょうか?


 先程よりも、胸のざわつきが酷くなったような気が致します。


「あ、あの~、カリン、さん?」


「……はい、なんですか?」


「ひっ!!」


 ミィコ部長が、どうしてか恐る恐る声をかけられたので、お返事をしただけですのに悲鳴を上げられてしまいました。


 どうされたのでしょう? 私はいつも通りの表情を作っているはずですが?


「ち、ちょっとミトちゃん注意してくるね!! 今すぐに!!」


 そういうと、ミィコ部長は腹筋を終えられたらしい相馬さんたちの方へ近づき、ミト先輩を引き剥がしてくださいました。


 同時に、胸のざわつきも引いていきます。ちょっと楽になりました。


「あれ? ミト先輩また無自覚な色仕掛けでもしてたの?」


「ハーリーさん」


 私から離れた場所でミト先輩を叱っているミィコ部長に代わり、話しかけてくださったのはハーリーさんこと、長谷部さんでした。


 少し体操服が汗ばんでいます。小休止のついでで、私を気にかけてくださったのでしょうか? 私の視線の先を見て、少し呆れているご様子です。


「はい。相馬さん、ではなく、レンマさんの補助をされていましたが、ミィコ部長が離されました」


「あ~、今日もか~。ミト先輩、レンマ君には毎回やってるのよ。キョウジ先輩とかターヤ先輩にはしてないんだけどなあ? なんというか、警戒心をなくさせるような、不思議な子だよねぇ、レンマ君って」


 …………また、胸がざわついてきました。


「あ、今度はキョウジ先輩か。二年生で、本名は橋本伸治先輩。あの人も癖があるからなあ~」


「癖、ですか?」


「見てりゃわかるよ」


 ハーリーさんが苦笑の色合いを見せて指差すと、次に相馬さんに近づいたのは、少し不良っぽい先輩です。あれがキョウジ先輩なのでしょう。


「ひいぃ~っ!」


「相馬さんっ!?」


 すると、突如相馬さんから悲鳴のような声が上がり、私も思わず立ち上がってしまいました。


「やっぱりか……」


「ど、どういうことですか? 何がやっぱりなんですか?」


「キョウジ先輩って、かなり自己中なのよ。多分だけど、レンマ君があまりに何もできなさすぎるから、無理矢理鍛えようとしてるんだと思うよ?

 本人に悪気がないからたちが悪いよね。レンマ君、ずっと部活中に倒れてんだけど、全部キョウジ先輩が無理させてるからなんだ」


「ええっ!? と、止めなくていいんですかっ!?」


 相馬さんが死んじゃう!!


「ああ、それは大丈夫。もうすぐあの人が止めるから」


「こんの大馬鹿っ! 体力ゼロのレンマ君に無理させてんじゃないよ!!」


「ほらね?」


 私が今にも飛び出そうとしたときでした。ハーリーさんの言葉通り、キョウジ先輩を止めたのは、二年生の先輩らしい方でした。女性ですけど、なんだか男性らしい方ですね?


「藤田里香先輩で、アダ名がトウコ先輩。キョウジ先輩と付き合いが長いらしくって、言動がかなり男っぽい先輩ね。ミィコ部長よりも頼もしい、格好いい先輩だけど、手が出るの早いんだ」


 あんな感じでね。と、ハーリーさんはキョウジ先輩をどやすトウコ先輩を指差しました。同じ女性としては、確かに頼りになりそうで格好いいですけど、怖い印象の方が強いです。


「そんで、最後にレンマ君をしごいてんのが三年生の近藤貴也先輩こと、ターヤ先輩。一応優しいんだけど、妥協や加減ってものを知らないから、一度捕まっちゃえば限界まで付き合わされるのよ。レンマ君じゃなくても、キツいんだよなぁ」


「え、えぇ……?」


 言われて相馬さんへと視線を向けると、何事かをお話しされて、顔を真っ青にしていらっしゃいました。恐らく、ターヤ先輩が相馬さんにトドメを刺されたのでしょう。


「とまあ、中々に個性が強い面々で演劇部をやってるんだけど、カリンさんは興味ある?」


「え?」


 今度は腹式呼吸を始めた相馬さんから目を離し、ハーリーさんへと顔を向けました。


「いやさ、カリンさんって、部活決められてないんでしょ? 少しでも気に入ってくれたんなら、入部してくれないかなぁ~? って思うわけよ」


「そう、ですね……」


 正直なところ、演劇そのものにはあまり興味はなかったりします。未知の分野ということで、楽しそうだとは思いますが、参加となると別です。


 私はあまり目立つようなことを好みません。最近は私が原因と思われる騒動が増えましたが、私が望んで起こしているわけではないですし。


 特に演劇ですと、自らを衆目に(さら)すわけですから、かなり抵抗がありました。


 しかし……、


「それに、カリンさんって知り合いみたいじゃない? レンマ君とさ。うちは部員も少ないし、知り合いが一人でもいた方が、レンマ君も安心するんじゃないかな?」


 そうなのです。


 演劇自体には興味がなくとも、この部活には相馬さんがいらっしゃいます。


 クラスが別れ、接する機会が減った今、お話ができるきっかけとして同じ部活動に所属するのは、とても魅力的でした。


 ですが、それでは真剣に部活動に参加していらっしゃる皆さんに対して、とても失礼なのでは? とも思ってしまいます。皆さんと違い動機が不純ですから。


 大きく葛藤する私は、ハーリーさんにすぐお返事ができません。難しい顔をして、相馬さんや周りの先輩へ目を向けますが、答えは出てきませんでした。


「ごめんね~、カリンちゃん。演劇部の子はみんなレンマ君が()()()だからさ。ちょっと度が過ぎて構いすぎちゃうところがあるんだよ。許してね?」


「ハーリーさん。私、入部します!」


「へ? そ、そう? あ、ありがと……」


 ぐらぐらと揺れていた心は、ミィコ部長の一言で一気に固まりました。


 皆さん相馬さんが大好きで、演劇部には見目麗しい女性部員ばかりです。


 つまり、私が相馬さんを守らなければ、もしかしたら皆さんのうちの誰かに相馬さんをとられてしまうかもしれない、ということです!!


 こうなっては私の興味や楽しみなど二の次です。


 皆さんの誘惑から、私が相馬さんを守って差し上げねば!!


不束者(ふつつかもの)ですが、ぜひ、よろしくお願いしますっ!!」


「え? 本当? よっしゃ! ヒロイン候補ゲットォ!」


「ミィコ部長、本音出てますよ」


 私は早速鞄にいれていた入部届を取りだし、残った最後の記入欄を埋めました。何やらミィコ部長とハーリーさんがお話ししていましたが、相馬さんのことで頭が一杯な私には聞こえていませんでした。



 ラ○ザップ中の蓮くんを見てました。

 果たして、凛ちゃんは蓮くんを守りきれるのか?(笑)


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