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祈りの花園 ー春の章ー <第一話>

暖かい春の日。まだ真新しくスカートに折り目のついた制服に身を包んだ乙女たちが桜並木を歩いてゆく。

ここは、私立フォルテナ女学園。国内で唯一残る、幼稚舎から大学院まである俗にいうお嬢様学校。

清廉潔白な乙女たちの住まう秘密の、そして可憐な百合園である―。


高等部の門の前で私、真田円香さなだまどかは一度だけ、大きく息を吸う。

幼稚舎から通い続けたフォルテナの敷地。石畳の模様も、正門の鉄の装飾も見慣れているはずなのに、今日だけは違う顔を見せているような気がしてどうも落ち着かない。

高等部は、同じ学園でありながら別世界のようだ。とずっと言われてきたその理由がわかる気がする。


(うーん、、私、やっていけるなかなぁ。中等部で同じだった子もほとんど他校に行っちゃったし、)


不安な気持ちを押し込めて、式典の際に着用する手袋を制服のポケットから取り出そうとする。


(あ、あれ?!手袋がない!!)


「お待ちになって?」


手袋を探していて周りより遅れてしまっていたため、先ほどよりも落ち着きを取り戻した正門に声が響く。


「ッ!!は、はい!」

「…あなた、新入生ね?今日は入学式なのよ何故ここにいるの?」

「は、はぁ。」


そういわれながら何かを手渡された。


「あぁっ!私の手袋!」

「…そう、見つかってよかったわね。それと、あなた、少しは落ち着いたほうがいいわよ?ほら、セーラーカラーがひるがえってしまっているわ。」


そう言うと、その人は腰まで伸びた黒い髪をなびかせながら足早に校舎内に入っていった。


(あ。慌ててしまってお礼もいえなかった、)


円香は慌てて白い手袋を整え、歩き出す。静まりかえった正門に響く足音はいつもよりも大きく聞こえた。


円香がお御堂についてすぐ入学式が始まった。校歌斉唱、学園長の話など、少し眠たくなってしまうようなことがおこなわれる中、円香はある一点を見つめていた。


(あの方達が噂の白花院の花様方なのかなぁ)


白花院しらはないんとはフォルテナの生徒会のようなもので、会長の第一番花プリマ、副会長の第二番花セクンダ、全体補佐の第三番花テルツィアの三人が主となって活動しているらしい。

その他にも、フォルテナならではの制度の中に姉妹制度コンコルディアというものがある。お互いの校章を交わし、姉妹ソロールになるというもの、


(…らしい、けど。さっきの先輩にはソロールはいるのかな、なんて。)


そうこうしているうちに入学式は終わり、内部進学者は外部進学者を教室案内したりといろいろと忙しくてバタバタとしていたため、手袋を拾ってくれた先輩のことなどすっかり忘れていた。

皆さん初めまして。まやのしほです。

始めて小説を書いているので誤字、脱字ありましたら教えてください。

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