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4話

 映奏奇譚(デュアルアクション)は各アニメキャラをイメージした形態である。

 幻想鼠(ロジャー)を持つものは必ずこの技があり、想像力があれば応用もできる。

 基本的に各ジャンル各作品ごとに沿った能力を使えるが、作品にない技を考えることもできる。能力者によってオリジナル技があるのだ。廿月も例外ではない。



 ぞうのエレフンの姿がインクとなり、廿月(はつき)と融合する。彼の目元にカラスの羽をまとった舞踏会マスクをかぶり、オッドアイになった。マントを羽織り、まるで怪盗のようだ。


「起こしてごめんな。これが終わったら、もう寝てていいからね」

 彼は自分の体内にいるエレフンにたいして話す。


「だいじょうぶ! ぼくわるいひと、こらしめたいから。はつきおにいちゃんのためのも、がんばるよ!」


「そうか、ありがとう。俺の小さな英雄さん」


 青年は空を飛び、スリ男がいるところまでいった。


 その様子を見上げる女性(ゆうき)。「うわぁ、結構飛んだなー」とのんきにつぶやく。

 彼は無意識で買い物かごを持っていた。


 ちいさな雑貨ビルの屋上でカバンを盗んだ男は疲れて休んでいた。

「はあはあ、ここまでくれば追ってこれないだろ」


「いやあー、アニキ。なかなかわるいことしてますなー」二足歩行の黄色いチーターが喋る。

口を開いているのはチーターの『イカサマ』のようだ。

「イカサマ。しょうがないだろ? 生きるためならそうするしかない」

「生きるためって、かわいい女の子がいるところに行くことか?」チーターのキャラは突っ込むようにいうと男は逆ギレをする。


「当たり前だろ! そのために盗みを働いているからな」

「とんだクズじゃないか。さっさと足でも洗ったら?」

「足なんて洗わねえよ、それじゃいきますか。あの店に」


「あの店ってどこの?」

「そりゃ、アニメキャラが働いているメイドカフェだけ……ど……?!」


 スリの男は目を丸くする。舞踏会用仮面マスク姿の青年が現れてからだ。


「さっさと盗んだものを返せよ」

「いやに決まっているだろ! それともオレとやるのか?」

「ああ別にいいけど」

「やれるものならやってみ……」



映奏奇譚(デュアルアクション)



 廿月(はつき)の周りにクレヨンで書かれたようなほんわかとした『映奏奇譚』の文字が浮かぶ。彼の好きな絵本『パーフェクトエレファント』をイメージしたエフェクト。

 映奏奇譚(デュアルアクション)形態中に同じ技を唱えると、その作品にあった必殺技が使える。


 彼は容赦しなかった。懲らしめるなら、悪魔にもなるだろう。


「ちょ?! 本気か……?!」

「大丈夫だ、ひどいことはしない。今のうちに懺悔でもしとけ」


 青年は攻撃をため、次の瞬間、手を地面にたたきつける。ちいさな音がなった。


「……何かと思えば、たいしたことなかったか」


 スリ男は腕を組み、高笑いする。


 だが、攻撃した音が地面に伝わり、それが男の内臓を刺激した。

「?!! こ、これは!?」


「何だと思う? 自首する気があるなら教えてもいいんだけどな」廿月(はつき)はそう決め台詞を吐きながら、再度地面をたたく。


「わからないが、多分動物の能力でゴリラの力だろ?」


「……ああ正解だ。ご褒美に少しの間寝かせてやるよ戎具奇譚(ウェポンアクション)


 絵本の能力者はゾウの形をしたマイクを取り出した。


「なんだ? 子守歌か? 悪いが推しの声じゃないと無理で……」



 

「ぱおーん!」


 


 銀髪の青年がマイクに向かっていうと、悪い男性は前に倒れ込んだ。

 意識を失い、ピクリとも動かない。


(残念だけど動物の能力じゃなくて音の能力なんだけどな。まぁ、どっちにしても適当に答えるけど。そう簡単に能力を話さないさ)




 廿月(はつき)の使える能力は音を関するもの。理由はパーフェクトエレファントという作品はマウマウというネズミのいたずらっこを「コラ!」とこらしめるお約束がある絵本だからだ。

 

 彼は音波も出せる。それによってスリ男は倒れた。

 能力は想像力を働けば働くほど強化できる。これは原作にはないけど、廿月(はつき)が自ら生み出したのだ。

 作品に愛があればあるほどオリジナル技が出せる仕組み。廿月(はつき)本人はわかっていた。

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