13話
「こんにちは、おねえちゃん。ぼくのなまえは、エレフン」
深くお辞儀をするぞうさん。彼女はニコッと笑う。
「エレフンよろしく。私は絵凛」
「えりおねえちゃん!」
エレフンは大きな声で絵凛の名前を言う。心なしか、絵本キャラも喜んでいた。
「なかなか可愛い子ね」
母性のある感情を持ったのか優しい口調になる絵凛。
癒やされている彼女を邪魔するように悠輝の口が開く。
「えりりんと違ってな」
にっこりと笑いながら、悠輝はひどい言葉を吐く。
「でも、ある意味可愛いけどね」
「大丈夫? ユウキ。その余計なこと言って」
オオカミはビクビクと震えていた。
スタイルの良い女性に言われたことが気に食わないのか感情的になる少女。
「黙れ! このモデル気取り!」
「オレちゃん。モデルじゃなくて、アイドル志望だもん」
ニシシと絵凛の華麗な髪を見ながら口角を上げる金髪女性。
「そう言うのを聞いているんじゃ無い!」
絵凛はドンと力強く机を叩いた。その音に対して怯え出すエレフン。
「うーん、えりおねえちゃん。こわい」
ゾウさんは今にも泣きそうだ。焦りの焦る絵凛の姿が映る。
「あ、ごめんごめん」
「もし、俺のヒーローを泣かせることになったら、依頼主の娘さんでも許さないからな」
ギラッとオレンジ髪に対してにらむ廿月。
「もちろん。えりちゃんは悪くなく、一ノ瀬さんが悪いけどね」
「そんなー、はっきー。オレちゃんはただ普通のことしか言ってないよ」
「いやいや、一ノ瀬さんがいってなかったら、えりちゃんは怒ってなかったけどな」
「そうか、それなら謝るよ。ごめんな」
「謝ったところで私は許さないけどね」
「それはオレちゃんが同性の女だからか? いくらオレちゃんがアイドル並みにかわいさだからと言って、嫉妬は良くないよ」
「嫉妬してないわ!」
絵凛はまた机を力いっぱい強く叩く。
「一ノ瀬さん。だからその発言はこの場に言うことじゃないですよ」
廿月は彼女たちを止めた。
その様子を見ている。エレフンとウィンピィ。
「なんだか、楽しそうだ。あの三人は」
「そうだね。ぼくもたのしそうに、みえるよ」
ゾウの絵本キャラはもぐもぐとケーキを食べていた。
「……ここまで仲良しになれるのは相当すごいことだと思うよ」
ウィンピィはそうつぶやく。
「えー。だれだって、なかよくなれるものじゃないの? ウィンピィくん」
「いや、現実は違うんだよね。苦手な人や仲良く出来ない人もいるよ」
「たしか、ウィンピィくんのかいぬしさんだっけ? いじわるするひと」
「そう、ボクの飼い主は意地悪する人もいたけど、周りの人たちは優しい人ばかりでそんなに苦じゃ無かったよ」
「そうなんだね。ぼくも、おかあさんやおとうさんに、やさしくそだてられて、くらしているよ。そとで、おともだちといっしょにあそぶのも、たのしいし」
「……エレフンくんはハツキと一緒にいれて楽しい? ボクはユウキといられて楽しいよ」
「ぼくも、はつきおにいちゃんといっしょにいれて、たのしいよ。このまえ、こうえんにつれていくって、やくそくしてた。もちろん、ゆうきおねえちゃんもすきだよ」
「ボクもハツキ達と一緒にいれて楽しいよ。この生活が続くと良いね」
「なんで、はつきおにいちゃんのこといったの? ウィンピィくん」
「飼い主のこと思い出したのもそうなんだけど。なんだか、胸騒ぎがしてこわいんだ。この生活が終わるんじゃないかと」
「うーん、そんなことないとおもうよ」
エレフンとウィンピィが話していると、何か疑問に思ったのか、絵凛が廿月と悠輝に対して質問する。
「思ったんだけど、このゾウさんってそのオオカミの言葉って分かるの? 私には聞こえなかったけど」
「あぁ、分かるぞ。なんならオレちゃん達もウィンピィ……オオカミの言葉はわかる」
「え?! どうして」
「それがオレちゃん達の能力だからさ。かっこいいだろ?」
「お前が言うと何か腹立つな」
悠輝達が能力者だから理解している理由も合っているが、彼女たちの会話を割り込むように、廿月はフォロー含め、声を出す。
「まぁまぁ。つまり俺と一ノ瀬さんの能力は通じ合っているって事だよ。それでウィンピィというオオカミキャラの言葉が分かるってわけ」
「なるほど」
「そういえば、俺には悪いこと言わないんだ? さっきまで色々と言っていたのに」
「別に。廿月さんが何でも屋の中でまともだったからよ。敵対してたけど、話せば分かる人だからね『どっかのアイドルさん(笑)』と違ってね」
「ははは、大丈夫。いつかはトップアイドルになるからさ。何も言ってもいいぞ。オレちゃんは最強アイドル志望だから」
悠輝の手が絵凛の肩に置き、笑い続ける。
「だったら、さっき私に煽らないでくれない! 私は貴女のことが嫌いよ」
「オレちゃんはえりりんのこと好きだぜ。アンチからファンになることはあるからな。もしファンになったら、えりりん限定ハグつきサイン会しても良いんだけど」
「気色悪いこと言うな!」
また感情を高ぶらせるオレンジ色の少女。
しばらくして、霧山さんと絵凛のお母さんは用が済んだみたいだ。
彼女たちは安心して帰って行った。
絵凛はしかめっ面で廿月達に手を振る。
「ありがとう」
彼らはその一言で満足していた。




