9話
表情はとても怖く、獅子さえ逃げ出してしまうだろうという顔だ。
「……だれだ。お前たちは」金髪女性は真剣な表情で彼らをにらむ。
「俺はお前らを始末するモノだ」男の一人が答える。
「始末……ははは、いい冗談だ。オレちゃん達を捕まえに来たのか?」
彼女はそう言うと別の黒服の男は語りかける。
「まあそんな感じです。さて、早速ですが始末させていただきます」
彼らは一斉に襲いかかった。
「ふふふ、オレちゃんに勝とうなんて1000年早いぜ。幻想奇譚」
彼女はウインピィを発動させる。
「大変だけど、戦わなくっちゃ!」
「ふっ、良い心がけだ。ウインピィ」
悠輝は彼らの攻撃を華麗に避けながら、カウンターで攻撃をする。
彼女は瞬間移動しながら、敵の居場所を確認する。
しかし、敵に背後を取られ捕まってしまった。
「よし! 掴んだ! 橋田、今だ」
橋田と名乗る黒服が悠輝に殴ろうとする。
「ふっ、映奏奇譚」
金髪女性とオオカミキャラが融合。
彼女は頭にオオカミ耳、それに大きいピアスが付いている見た目になっていた。
ファーのようなマフラーを首に巻いている。毛皮はオオカミのようだった。
発動させた瞬間。悠輝と黒服の居場所が入れ替わる。攻撃されたのは敵の黒いスーツのほうだ。
「いてて……何しているんだよ」
「え?! 入れ替わった……?」
「さて、戎具奇譚」
悠輝の手から、剣みたいなモノが具現化される。
「少しおしゃべりでもしようか。オレちゃんの剣は『勇敢なウインピィ』という作品にでてきた剣で、彼にしかできない代物なんだ」
それを聞いた橋田という黒服は信じられなさそうな表情をしていた。
「ほう。だったら俺の倒してみろ」
「何言っているんだ? もう倒したぞ」
悠輝はそういうと、黒服はドサッと前へ倒れ込んだ。なんというあっさりとした戦いだ。
「何のために喋ったと思う? ただの時間稼ぎさ。安心しろ気絶させただけだから、肉は切ってない」
どや顔で決める悠輝。
「こいつも能力者だったのか、やむを得ん、幻想奇譚」
別の黒服の男は能力を出した。具現化したのは美少女ゲームのキャラだ。
「やっぴー。ご主人。敵が来たんだね。ボク頑張るよー」
そのキャラの見た目はポニーテールに色は緑。スタイルは美少女ゲームらしいナイスバディ。服装はゲーム作中の制服を着ている。
「ハナカ。ああ一緒に戦おうぜ」
「なんだ。このキャラは珍しいなこのアニメは」
彼女達は能力を出しながら戦い始める。黒服の男は否定した。
「アニメ? 違う! これは『神様はワインがお嫌い』と言うゲームタイトルで攻略できるヒロイン『ハナカ』だ。そして、オレの好きなキャラでもある!」
「へぇー。そういうものもあるのか初めて知ったよ」
「まあ。不人気キャラだけど、オレはプレイする前からのファンで好きすぎて能力にも現れたんだ」
「奇遇だなオレちゃんもこの能力好きなキャラなんだ。だろ? ウインピィ」
「え? あ、どうも」ウインピィは戸惑いながらも軽く挨拶した。
彼女はオオカミのキャラを使いながら、素早く移動する。
(オレちゃんの能力はカートゥーン。どんなヘンテコな動きでも対処してくれる。例え自分より大きいモノでも持ち上げたり、瞬間移動もできる。ウインピィは九十年代のアニメーションだからその時代に適した動きも可能だ)
心の中で説明する悠輝、自分自身の頭を整理するためだ。
そう言うと彼女は爆速で地面を掘る。ウインピィは穴掘りが好きなオオカミだ。だから能力にも適用される。
「嘘だろ……ここの土は硬いんだぜ」
「それでも掘れちゃうんだからこの能力すごいだろ」
「ふーん。それでどうなるんだ?」
「まってろ。良い物出すから」
土の中から巨大な牛が現れた。
「え?! 牛? なんで」
「へっへっへ。それはオレちゃんにもわからない。それがカートゥーンの力だからね」
と、金髪の女性は牛を投げつける。
「やばい! ハナカ!」
「まかせて。クリアエスケープ!」
そういうと、牛はどこかに消えてしまう。
「へぇーすごいな。その能力も」
「はぁはぁ、だろこれが俺の能力さ」
「だったらオレちゃんも負けてられないな映奏奇譚」
「まてまて映奏奇譚」
彼らはそれぞれの衣装に着替えて構える。
少し時が止まりそうだった。
そして、木へ隠れている人がいた。廿月だ。




