例の組織
テスト一週間前を明後日に控えたある日。
いつも通り朝6時に起きた。
今日もいい天気だ。
「今日は任務なしか」
朝食を食べ、学校へ向かった。そして授業を受け、即帰宅した。帰宅してからスマホを見ると「暁」から一通のメッセージが来ていた。
『話したい要件がある。21時にいつもの場所に来い。神風にも同様のメッセージを送った』
21時か。今は16時。まだ時間あるからワーク進めよう。
それより話したい要件って例の組織についてかな。
例の組織とは、近年、悪組織が悪事などをすることが増えていた。その為、暁帝国が調査を進めているが未だ何も掴めないまま。唯一の情報は"暁帝国に匹敵する組織の可能性が高い"だけだ。
元々、暁帝国は悪組織や悪事、悪行から人々を守る為に作られた組織。近年悪組織が増えているのも我ら暁帝国に悪組織がイタズラで対抗する為だと思っていた。
だが、仕業は例の組織だった。それも相当な組織であると見受けられるそうだ。前には例の組織の拠点を特定し、特攻したがそこは何もかも空だった。拠点を移動したのかまたは見せかけの拠点だったのかは未だに分からないままだ。
今までの例の組織の話をいくつか聞いてきた私は、例の組織がどう動くかは分からないし、危機感を持った方が良い思っている。
「よし、ワーク進めるか」
英語のワークが一通り終わり時間を見てみたら19時だった。腹減ったし、コンビニにでも夜ご飯買いに行って食べるか。ちなみに今日親は2人とも不在だ。なので今日は自分で料理を作って食べるか、どっかで買って食べるかの2択である。私は料理を作る時間は無いと思ったのでコンビニに買いに行くことにした。コンビニは家から近くて楽だ。
パスタを買って家に帰ってきた。
「頂きます」
と言い、一口食べて見ると案外美味しかった。
食べ進めながらテレビを見たり、動画を見たり、好きなことをしたりしていると、20時45分になっていた。
あと15分か。そろそろ準備しよう。
5分で準備を終わらせ、暁帝国に向かうため、画面をタップした。
本当に便利。ありがとうございます。と感謝した。
「いつもの場所か。まだ余裕あるしゆっくり歩いて行こう」
と思い、歩き始めた時後ろから声がした。
「本当にこの機能便利だな。タップすれば帝国につくとは」
聞いたことある声だなと思い、振り返ると神風が居た。同じ場所に同じ時間帯に行くからまあ会うよね。
「神風」
私は手を上げながら神風を呼んだ。
「おう。瀬頭」
神風は私の隣に近づいてきた。
いつもの場所に向かって一緒に歩き始めた。
「今日の話したい要件って絶対例の組織の事だよな」
神風が話を振ってきた。
「そうだよね。メール見た時、例の組織の事だろうなとは思った」
神風と私が考えてることは同じだった。
「なんか結構大きな事件でも起こったのか?」
神風は首を傾げながら言った。
「そうかもね。じゃないと私達呼ばれないし」
「大きな事件と兼ね合わせて例の組織のことも詳しく話すかもな。」
「だね。」
話している間にいつもの場所に来ていた。
「よく来てくれた。2人とも」
組織長が言った。重い声だ。
「報告したいことがある」
組織長は私たちの目を見て言った。
「例の組織と例の組織に関連した事件ですか?」
神風が思っていたことを呟いた。
「ああ、そうだ。」
組織長は深く頷き言った。私と神風も目を合わせ、頷いた。
「「聞かせてください」」
組織は口を開く。
「例の組織の名前を掴んだ。その組織の名は黄昏」
「黄昏…?暁の反対…?」
私は思ったことを口に出した。
「その通りだ。名前から分かるように私たち暁帝国に抵抗する為の組織だと考えられる。」
「まさか。名前が黄昏とは…。敵意丸出しですね。」
神風は驚くように言った。
「あぁ、今回の調査で得られたのは黄昏という組織名と、組織の規模、多少だが黄昏帝国の情報だ。前から伝えていた通り、規模は暁帝国の少し下、もしくは暁帝国と同等の規模であると考えられる。」
「そんな大規模な組織が今まで身を潜めてたとは信じられません」
神風が言った。
「そう思うだろう。だが、黄昏帝国は今まで身を潜めてきたと今回の調査で分かった。悪組織の悪事や事件が増え始めた頃から、怪しい場所には目をつけていたが、スムーズに行かなかった。やっと今回の調査で情報を入手することが出来た。黄昏帝国は拠点を転々と移している。今まで何も入手できなかったのは拠点を転々と移していたことが原因だ。怪しい場所に目をつけても拠点を移されていては意味が無い。今回はたまたま拠点を移す前に侵入することが出来た。だが、侵入した拠点は小規模で暁帝国の暗躍者が侵入した途端、黄昏帝国の奴らは目で追えないスピードで逃げたそうだ。」
「向かわせた暗躍者の等級はどのくらいですか?」
神風が質問をした。
「君たちの三個下、5級だ。」
等級とは私たち暁帝国の地位だ。1級が1番上、そこから1級ごとに下がっていく。暁帝国の等級は1級から7級まである。ちなみに私と神風の等級は2級だ。
「そうですか。5級なら目で追えない可能性はありますね。」
神風が考えるように言った。
「あぁ、そこで瀬頭、神風、お前たちを呼んだ。黄昏帝国は拠点と人数を細かく分けている。今回の調査で見つけたのはその数ある拠点の中の一つだ。まだ、他の拠点は山ほどある。一昨日、私は前から怪しいと思っていた場所に4級を2人向かわせた。しかし連絡が取れなくなり、今は行方知らずだ。」
「なるほど…そうですか…」
神風が言った。
「そこで瀬頭、神風、に、行方不明の2人を見つけて欲しい。ついでに拠点の情報も掴んでもらいたい。本来は3級を向かわせるのが妥当だが、2人は高校生だから大変だろう。いつも通り簡単な任務を与える。」
「了解しました。ありがとうございます。」
神風が言った。それに続き私も
「ありがとうございます。」
「まずは行方不明の2人も救出することだけを考えくれ。拠点の情報は出来たらでいい。私は黄昏帝国の奴らがもうその拠点から逃げていると推測している。もし情報が得られるとしたら拠点に残っている資料のみだ。」
「「了解です」」
「任務の実行日は明日だ。明日21時に拠点の場所を送る。情報が届き次第任務を開始してくれ。今日はこれで以上だ。解散とする。」
「了解です。ありがとうございました。」
神風が言った。
「ありがとうございました。」
私も礼をして言った。
「まさか例の組織の名前が黄昏とはな…」
ポータルに戻る途中神風が独り言のように呟いた。
「だねー。驚いたよ。暁と反対だし。まあそれよりも明日の任務頑張ろう。」
私は神風に言った。
「おう。頑張ろうぜ!」
ポータルに戻り、現実世界に帰った。
その日は早めに就寝した。