体育祭後日
体育祭が終わり、週末を挟んで月曜日。
朝学校に行き、教室に入ると、いつもより騒がしかった。
どうせ体育祭のこと話してるだろうと思いつつ気になったので近くに居る人の会話を聞いてみた。
「ねーねー知ってる?体育祭中、学校に侵入者が入ったじゃない?それ捕まえたのってこの学校の生徒の誰かなんだってー」
「え、まじ?」
「あ、知ってる!朝学校来てそういう噂聞いた。この学校の生徒がタオルとハンカチ使ってその侵入者を縛ったらしいよ」
「そうそう。で先生達がついた頃には誰もいなかったんだってさ」
「へーそうなんだ!つまり、この学校に暗躍者とかスパイが居るってこと!?」
「そういう事になるね。いやーでも凄いよねー」
…その情報の発端はどこなんだと聞きたいところだ。また完全にバレた訳ではないので大丈夫だろう。
チャイムが鳴り、朝のホームルームが始まった。
「じゃ、2週間後の中間テストについて説明するぞー。まずテスト範囲配るから目を通してくれー」
と、先生が言うとクラスがざわついた。
「えーまじ……」
「だるー」
「2週間後かー」
だるいけどこればかりはしょうがない。
勉強は学生の本業だから。
テスト勉強の時間に関しては大丈夫だと思う。
2週間前までは任務はあるが1週間前になるとテスト期間に入るため、任務が無くなる。組織長は勉強に励んで欲しいとの事だ。
帰りのホームルームが終わり、家に帰っているところだった。
…学校の校門出た時からずっと同じ足音がする。
心当たりがあるとすれば、先日の体育祭…。名前見られてた?
とりあえず、鞄の中から鏡出して髪整えてる感じ出しつつ、反射させて見るか。
見てみると、案の定体育祭の悪組織と似たような服を着ている男がついてきていた。んーどう倒すかなんだよなぁ。家の近くに路地裏あるし、そこに引き寄せてやるか。
でも問題はそこまで引き寄せられるかどうか。路地裏まで連れ込むには電車乗るし、電車ではぐれたら終わる。はぐれてそのままにして置くのも危ない。
余裕を持って電車に乗るしかない。
駅に着き電車に乗った。余裕を持って乗ったので悪組織の奴は着いてきたようだ。
無事家の近くの駅に着き、そこから路地裏へ向かった。よしよし順調だ。ちゃんと着いてきてる。
路地裏の真ん中まで行ったところで、一旦私は止まった。
そろそろ攻撃仕掛けてくるだろう。
音がした。やっぱり攻撃してきたか。
後ろを振り返り、足蹴りした。
「……っ!気づいてたのか!!」
「さあ?どうでしょう?」
殴りを2、3発入れて倒した。
「これで大丈夫かな」
と、上を向いた時…上から刃物を持って飛び込んできた。
「まだ居たか」
攻撃を避け着地した瞬間に2人とも潰した。
「一応、上見とくか」
と思い屋根に登って見たが誰もいなかった。
これで大丈夫そうだ。
家に着き、時間を見ると、18時近くになろうとしていた。今日は任務があるが21時からなので、まだ時間はある。テストの提出物のワークを少し進めよう。
集中力が切れ、勉強をやめた時には20時半になっていた。
「そろそろ準備するか」
ちなみに今日の任務はいつもみたいに悪組織を倒すのではなく、他の暁スパイが倒し、刑務所に行った悪組織から情報を得るという任務だ。多少の情報は組織長から貰っているがそれ意外にはなんの情報も無いので出来ればたくさんの情報を掴みたい。この任務では強さではなく、恐怖を与える、圧をかけることが大事だろう。
「よう、瀬頭」
「神風、今回もよろしく。まあ今日の任務は連携関係ないけど」
敵を倒すわけでもないしね。
「そうか?少しは連携も取れた方がいいんじゃないか?」
と、神風が首を傾げて言った
「あ、確かに」
連携が取れれば取れるほど情報を多く聞い出すことが出来るかもしれない。
「とりあえず刑務所まで向かうか」
神風が言った。
「了解」
私は返事をした。
「というかさ、体育祭のあれバレてたな」
歩いてる途中、神風が話を振ってきた。
「それ思った。生徒がやったっていう情報どこから漏れたんだろ」
神風も同じことを周りから聞いたようだ。
「まあでもまだ完全にバレた訳じゃないし放置でいいよな」
「だねー」
そうして色々なことを話していると刑務所に着いた。
「着いたな。割とでかい刑務所だ」
同じことを感じた私は
「思ってたよりでかい」
と言った。
「早く中に入って手際に情報得て終わらせようぜ」
「だね」
どうやって刑務所に入るかだがそれは問題ない。
刑務所裏から入ればいいのだ。裏には暗躍者専用の入口がある。
「あ、お願いします」
と言って神風は専用のスマホを見せた。
スマホには名前が書かれているのでその名前を見て、裏入口の受付の人はどこに行けばいいか説明するのだろう。
「分かりました。この道を真っ直ぐ行き、突き当たりで右に曲がってください。曲がった一つ目の部屋に悪組織5人が居ますので」
「ありがとうございます」
私はお礼を言った。
「んじゃ行くか、瀬頭」
真っ直ぐ行き右に曲がり、悪組織の奴らがいる部屋に着いた。
「入るか」
神風が、私の目を見て言った。私は頷いた。
「んじゃお前らよろしくなー」
と神風は悪組織の奴らに挨拶をした。
「ちっ、なんだよ。だりーな」
と悪組織の奴らが苛立ちを見せた。
「そうかそうか。だるいなら情報を全て出せ。そしたら俺たち帰ってやるよ?」
神風は煽るように言った。
「情報なんて何もありませーん」
凄く口硬いけどこっちは多少の情報を持ってるから。無駄だ。
「本当にそう?お前らインターネット上で他の悪組織とやり取りしてるよね?」
と私が言うと奴ら全員が目を見開いた。
「そ、そんなことしてねぇーよ」
動揺しながら答えた。
「本当にそうか?今俺には動揺したように見えたんだが。」
「私もそう見えたかな」
神風の賛同する。
「ちっ、そうだよ。インターネット上でやり取りしてるのは認める」
認めるのが割と早い。
「そっか。じゃ、私はそのサイトを探すから、神風、他の情報収集よろしく」
と言うと同時に私はウインクをした。これで私に作戦があるということは伝わっただろう。
「そんなすぐにサイトは見つからねぇーわ」
悪組織の奴が暴れながら大声を上げた。
「それはどうかな?瀬頭は案外何かを見つけるの得意だぞ?それよりまずは情報を集める為にお前達の写真を撮ろうかな?」
神風は私の意志を受け取ってくれたようだ。作戦を伝えるとしてもそのまま話す訳にはいかない。伝える手段もスマホしかないのでスマホを使おうとしてくれている。
とりあえず早く文字を打ち込もう。
よし全て打てた。送信と。
『このリーダーは頭が悪く、口が軽いからまず私がサイトを見つけたって嘘をついてサイト名を出して貰う。圧をかけてパスワード教えろと言えばいける可能性がある。これで1回行ってみよう』
『ナイスアイデアだ。瀬頭。それで行こう』
と、すぐに返信が来た。
「よし、とりあえず写真は取れたな。この写真を見る限りお前ら全員頭悪そうだな」
神風が煽るように言った。
「そんなこと関係ないだろ。それよりお前こそ頭悪そうだぞ」
悪組織の奴は反論した。
「あ、サイト見つけた!」
とここで私は作戦通りに言う。
「なんだと?そのCoolSevenっていうサイトは違うぞ。」
悪組織のリーダーが言った。
「あれCoolSeven?それがお前らのサイト名なのかな?」
作戦通りだ。
「……っ!ミスった」
舌打ちをしながら悪組織のリーダーは声を出した。
「リーダー何やってるんすか!」
「あ、本当だ。そのサイト調べたら出てきた。んでお前らパスワードは?」
私は問いかけた。
「知らねーよ」
苛立ちを見せながら言った。
「もうサイトも分かったし諦めたらどう?」
私は問いかけた。
「諦めねーよ。パスワードは自分で考えろ」
くそが!と吐き捨てるようにいい悪組織のリーダーはそっぽを向いた。
「そっか。ねえ神風パスワード普通に考えてこいつらの組織名じゃない?」
「それ俺も思った」
すると…
「…!」
「あれ、動揺してる?」
私は言った。
「してねーよ」
悪組織の奴は焦ったように言った。当たりか。
「まあ、いいよ。パスワード組織名入れてみるから」
そのサイトにパスワードを入れてみると、通った。
「あ、通った。神風これで任務終わりだね」
「ナイスだ。瀬頭」
任務が終わり、話しながら帰っていた。
「そういえばさ今日の帰り体育祭の時に居た悪組織にストーカーされなかった?」
私は言った。
「あ〜されてたわ。俺は学校の校門出た時からずっと足音してて家の近くに着いてやったよ」
神風も同じだったようだ。
「やっぱり?私も3人くらいにストーカーされてたんだよね」
「俺も同じだな」
うんうんと頷きながら神風は言った。
「まあでもこれで体育祭の件は一件落着だね」
私は言った。
「おう」
神風も返事をした。
話している間にいつの間にか家に着いていた。
「バイバイ。神風」
「おう。じゃあな。また明日」
今日の一日が終わった。