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高校生暗躍者  作者: Re
6/8

体育祭当日

 体育祭当日がやってきた。

 係の仕事がない普通の生徒はいつも通りの登校だ。

「行ってきます」

「ん、いい天気だなぁ」

 今日は恵まれた快晴だった。


 学校に着くと、みんないつもより気分が高めだった。間違いなく体育祭の影響だろう。

 ホームルームが始まり、体育祭についての説明を受ける。

 そして9時から体育祭が開催された。

 私たちの学校は保護者も見に来ることが可能なので開催と同時に保護者も沢山入ってきた。

 ちなみに私の親は行ければ行くと言っていたので、都合上来るかどうかは分からない。

 『プログラム1番 1年生による短距離走です。参加する方は入場門に来て下さい』

 もう出番か。まあ、短距離は適当にやれば済むし、頑張るか。


 順番に並んで待っていると、すぐに私の番が来た。

「位置について、よーい……」

『パン!』

 私が走っている内にどんどん抜かされ、結果は6人中6位だった。見事な最下位だ。

 ちなみに神風も6人中6位と、私と同じ結果だった。

 これで私が出る1種目目は終わった。あとは神風とやる二人三脚だけだ。二人三脚は午前の部の昼近く、午前の最後の方にあるので、その時間まではずっと体育祭を見るだけで済む。

 ただただぼーっと体育祭を眺めていたら次が二人三脚の出番になっていた。

 『プログラム6番 1年生学年種目、二人三脚です。参加する方は入場門に来て下さい』

 入場門に行き神風(神矢律)と合流した。

「せがし、…あ、瀬利さん頑張ろうな」

 今絶対名前間違えて呼ぼうとしたよね。

「はい。神矢さん頑張りましょう」

「じゃ俺掛け声出すから、右左右左で行こう」

「了解」

 『プログラム6番 1年生学年種目二人三脚です』

 と放送がなり、入場する。私たちは2列目つまり2番目なので1番目の人たちが終わったらすぐだ。

「位置について、よーい……パン!」

 1番目の人たちが走り出し、応援の声が聞こえる。

 もう自分たちの列が来てしまった。2番目だと順番早いな。

「位置について、よーい……パン!」

「右、左、右、左……」

 掛け声があったお陰でいいスタートを切れた。

 練習はしてなくても連携は取れているので今のところ足を捻ったり、タイミングがズレたりはしていない。

「このまま行くぞ。右、左、右、左……」

 目の前にゴールが見えてきた。

『今、1位がゴールしました!』

「やったな。瀬利さん、1位だ…」

「あ……」

「あ……」

 神風と私の声が重なった。

 私と同じように神風もやってしまった。と思ったのだろう。

 私と神風は運動神経が悪い生徒として演じている。そのためクラスの皆はこいつら運動神経悪いなと思っているだろう。

 …なのに二人三脚で快走をしてしまった。

「やっちまったな…」

 と神風が言った。

「後でクラスからなんと言われるのか…」

 私も賛同した。


 案の定、クラスの人から質問された。

「瀬利さんと神矢くん凄かったよ。でも確か二人ってあんまり運動得意じゃなかったよね?」

「あ、その……、私たち運度神経良くないので、下手すぎて迷惑かけるのもやだなと思って、休み時間とかにちょくちょく練習してたんです」

 とりあえず私は嘘の理由を言った。

「流石にクラスに迷惑かけるのは悪いので…」

 と神風も私の理由を補足した。

「そうだったんだ!でも本当に凄かったよ。連携も取れてて」

 何とかセーフ。

「「ありがとうございます」」


 昼休憩の時間がやってきた。

 二人三脚事件があったものの、あれからは何も聞いてこなかったので、一安心した。

 ちなみに昼食は学校が用意してくれている弁当だ。

「いただきます。」

 たくさんのおかずが入っていて、ご飯の上にはふりかけがかかっている。

 まず最初に手をつけたのは唐揚げだ。食べて見ると案外温かく、おいしかった。

 20分程度で食べ終え、容器を捨てに行き、自分の席に戻ろうとした時だった。

 普通に歩いていると、何かは分からないがでかい石みたいなのに突っかかり、思いっきり転んだ。感覚が鈍ったのか?暗躍者なのに石に突っかかるとは…。

「瀬利さん、大丈夫!?」

 とクラスの人が話しかけてくれた。

 少し傷跡があるが、これは軽い傷だろう。

「あ、大丈夫です。ちょっと転んでしまいました」

 とりあえず大丈夫なことを伝える

「軽い傷で良かった。血も出てるし、保健室で絆創膏、貰ってきた方がいいよ」

 とクラスの人が言った。

「ありがとうございます。そうします。」

 軽い傷で血は出ていて、ティッシュで押さえとけば止まる程度だが一応絆創膏を取りに行こうと思い、校舎へ向かった。確か絆創膏は私の鞄の中にあったはずだ。

 保健室がある、校舎に入り曲がろうとすると誰かの話し声が聞こえた。

 こっそりと顔を出し見てみると、職員室前で先生たちが話し合っているようだ。保健室は職員室の奥なのでここに居ても不思議はないが、何を話しているのか気になり、少し聞いて見ることにした。

「校長先生どうしますか…。これ結構やばいですよ」

「そうだな。怪しい人物が校内の外に3、4人いるならまだしも校内の中に1人侵入してるのはまずいな。例年通り警備員は頼んでつけている。何故こんなことになったのか…」

 つまり、この学校の中に侵入者がいるってことか。これはまずい。もし侵入者が生徒に害を与えたら、確実に大きな事件へと発展する。

「とりあえず、放送で職員を集めて、この事を話そう。山田先生お願いします」

「わかりました」

 今から職員集めて会議か。なら私と神風が今から集まり奴らをやることは出来るかもしれない。

 とりあえず神風に今の状況を話そう。

 の前に絆創膏を忘れていた。さっさと取りに行こう。

 絆創膏を貼り、自分のクラスの席に戻ってきた。

 んーと、神風は……居た。端っこで立っている。

 そのまま神風を見ていると、私の視線に気づきこっちを向いた。

 とりあえず私は指で右の方向を指し、 水分補給場所に来てという指示を出した。

 指示を読んだのか、ついてきてくれた。

 私と神風はそれぞれコップに水をそそぎ、反対向きに座った。

 ラッキーなことに周りには誰も居なかった。

 と、ここで放送がなった。

 ピーンポンパーンポーン。

『先生方、緊急職員会議を行いますので、用のない教員は至急職員室に来て下さい』

「放送終わったか。んで瀬頭、どうした?」

「さっきの放送と関係があるんだけど…軽く説明するね。今この学校には怪しい奴が侵入してる。つまり侵入者がいる」

「あーなるほど。それを会議するために呼ばれたのか。瀬頭はどこでその情報を?」

 「さっき校舎に入った時に偶然聞こえた」

 絆創膏の件は関係ないので伏せて答える。聞こえたじゃなくて本当は盗み聞きだけど…。

 「なるほどな。そんで、俺たちがやらないとやばいってことか」

 すぐに神風は理解した。

「そうそう。理解が早くて助かる」

「そうだな。とりあえず校舎の屋上行く?」

 ちょうどいい案だ。

「それが一番いいね。じゃ神風から先行ってて」

「了解。じゃ、屋上でな」

 昼休憩の時間は30分以上残っているし、午後は私たちが出場する種目がないので大丈夫だ。

 1分以上は経っただろうか。神風も着いてるだろうし、そろそろ行くか。

 早歩きで校舎裏まで向かい周りに誰も居ないことを確認してから、屋上まで登った。

「お、瀬頭来たか。とりあえず校舎内にいる侵入者捕まえないとな。んー、どこら辺に居るんだろう」

 と周りを見渡しながら言った。

「んー体育館裏とかに居ると思う」

 私は居そうだなと思った場所を言った。

「あーそこ居そうだな。体育館裏行くか」

 体育館裏に二人で向かった。だが、体育館の屋上から下を見てみると、人は、いなかった。

「居ない。私の予想が外れた」

「だなー。あといるとしたらどこなんだろな?」

 ここにいないとしたら何処にいるんだろうか。頭の中で考え絞り出す。

「案外中庭とかいるかも」

「確かにな。んじゃ、中庭いこうぜ」

 二人で中庭に向かった。

 やはり私の予想は的中していた。

「中庭でうろうろしてるね」

「パパっとやっちゃおうな」

 二人同時に飛んだ。着地してすぐに神風が足蹴りをし、私が地面に押さえつけた。

「うわっ!……っ」

『おい、お前大丈夫か?誰か来たのか?』

「通信機かー」

 と言い、神風が通信機を上から投げ足で踏み潰した。

「神風、私のポケットの中からハンカチ取り出して」

 私は神風に近づき、ポケットから物を取り出せるように体勢を作る。

「了解。ハンカチで口塞げばいいんだよな?」

 流石だ。理解が早い。

「そうそう」

「あ、俺もタオル持ってる。これで手首と腕、きつく縛っとくよ」

 神風が縛っていると足音がかすかに聞こえた。

「……なんか足音聞こえない?もしかして先生来た?」

 私は神風に伝えた。

「まじか。バレたらまずいしとりあえず屋上戻ろう」

 屋上に戻り、中庭を見ていると案の定3人の先生がこっちに来た。

「なんかこっちの方から声しましたよね?」

「ええ、そうですね。……あ!」

「居ましたね。けどこれは…?」

「縛られてる?しかもハンカチとタオルで?」

「これやるのって生徒しか居ないですよね」

「その可能性が高いです。それよりまず連絡入れましょう」

 ふう。バレなかったようだ。

「よし、大丈夫そうだね。神風助かったよ」

「まあ2人の方がやりやすいし、学校の大事件になるところだったからな。さて問題も解決したし戻るか」

 と、うむうむと頷きながら神風言った。

「それより私たち体操着のままやっちゃったね。もしあいつらのグループが名前見てたらやばいよね」

「まあ、大丈夫じゃないか?なんかやられたとしても、俺たち強いし行けるだろ」

 神風はポジティブ思考の持ち主だ。

「そうだね!じゃ戻ろっか」

「おう」

 と、神風は元気な声で返事をした。

 校庭に戻り10分後に昼休憩は終わった。

 ここで放送がなった。

 ピーンポンパーンポーン。

 『ついさっき、校内に不審者が侵入しました。その不審者は既に確保しており、10分後に警察が駆け付けます。パトカーの音が多少なりますが気にせず体育祭を進めてください』

 ピンポーンパーンポーン。

 問題が解決したようでよかった。

 ただ、私のハンカチと神風のタオルを使ってしまったのでそれがバレないといいけど…。指紋認証とかされたら終わりだ。まあ大丈夫か。

 『これより、午後の部を始めます。

 プログラム8番―――――――――』



「ふぁー疲れたー」

「体育祭楽しかったねー!」

「明日は振替休日だぁー」

 とクラスからは色々な声が聞こえた。

 私も疲れた。長い1日だった。

 家帰ったら今日は任務も無いし寝よう。

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