私の日常
朝は6時に起き、今日の1日が始まった。今日は任務がある。
「行ってきます」
私は玄関の扉を開けて学校へ向かった。
斜め前を見ると、彼、神風も学校へ向かうため玄関の扉を開け歩き始めたところだった。
実は私と神風は家が近所である。
この地域が暗躍者組織、暁の場所とかではなく、たまたまの偶然だ。
今まで私と彼2人で登校したことは無い。もちろん暗躍者は隠さねばならないからだ。ちなみに私たちの任務は比較的簡単で、組織長は高校生だし大変だろうとの事を思い、簡単な任務を私たちに与えているそうだ。
学校に着くと、なんだか私の学年が騒がしくなっていた。主に男子だ。
「え、まじかよ…」
「…っ!これはやべぇ」
「これは見れば誰でも惚れるだろ」
と男子がザワザワと騒いでいた。
私も一目見ればなんで騒いでいたのかわかった。学校一の美少女と呼ばれている伊桜雫がいつもと違う髪型で来ていたからだ。なぜか分からないが、私の学校は美女が少しイメチェンしたり、普通の女子が少し綺麗磨きしただけで男子は騒ぐ。
そういえば、私も中学生の頃、学校一の美少女と呼ばれていた。もしこの高校に私が綺麗な姿で登校すると、男子たちが騒ぐだろう。中学生の頃は高校になっても綺麗な姿で学校に行こうと思っていたが、中3の後期から親の暗躍者活動を引き継ぎ始めた。それになぜか私には暗躍者の才能があったらしく、始めて約半年、高校に入る時には上級者暗躍者になっていた。組織長からは、万が一の為に地味高校生を演じとけと言われため、地味な高校生を演じている。
きっと神風も同じようなことを言われたのだろう。
朝のホームルームが終わり、授業を受け、休み時間がやってきた。
休み時間は本を読んでいるが、頭の中では今日の任務のイメージトレーニングをしている。イメージトレーニングは大事だ。万が一の為にも動けることが多い。
そして放課後、放課後はホームルームが終わり次第即帰宅。部活には入っていない。部活に入ってしまうと生活的にも苦しくなるし帰宅部にしておいて良かったと思っている。
家に帰ってきて、勉強したり、好きなことしたり、ご飯食べたりと自由にしていたらいつの間にか時間が経っていた。今何時だろうと思ってスマホを見てみると、「暁」から1通のメッセージが来ていた。
「今日の任務のことで伝えることがある。8時45分にいつもの所へ来い。」
との事だ。任務自体は9時からなので連絡事項を聞いてそのまま迎えってことだろう。
今の時間は…8時半か。着替えもしないとだしそろそろ準備しよう。
準備が整った時には40分になっていた。
「よし行くか」
スマホを取り出し、画面をタップした。
とりあえず暁帝国に着いた。暁の本部、帝国は違う世界にある。そのため専用のスマホが用意されており、画面をタップするだけでいける。またこのスマホは情報を確認する時にも使うためとても大事だ。画面をタップするだけで行けるのは本当に楽で毎回助かっている。
えーっといつもの場所だから帝国右側の奥か。と思いつつ時間を見ると42分になっていた。上級者暗躍者とはいえ遅れるのはまずい。正規ルートで行かないでカットして城を飛び越えながらいこう。
着いた頃には44分になっていた。先に神風は着いていたみたいだ。
「連絡だけなのにここまで来てもらってすまないな」
組織長が言った。
「大丈夫です」
私はとりあえず全然大丈夫ということを伝えた。
「いえ。近いので」
私に続き神風が言った
「その連絡についてなんだが、任務場所が変わった」
「そうですか」
私は普通の返事をした。任務場所が変わるのはよくあることだ。
「いつもの事ですので驚きはしませんね」
神風も私と似たような返事をした。
「噂か、なにかまだ分かっていないが、数十人悪組織が集団で移動したらしい。しかし、大丈夫だ。移動した場所の情報はだいたい掴んだ」
「ありがとうございます」
私はお礼を言った。
組織長はいつも情報をくれる。とてもありがたく思う。
「場所は海岸近くの工場だったが、正反対の山近くの工場になった。詳しくは専用のスマホに送っておいた。その情報は必要不可欠だろう。必ず確認しといてくれ」
「了解です」
「分かりました」
と私に続き神風が言った。
「以上だ。毎回同じ事を言うが、簡単な任務とはいえ油断するな」
「「はい。いつも心に秘めています」」
連絡事項が終わりとりあえず現実世界に戻るためのポータルに向かった。場所が海岸近くの工場から山近くの工場になったので少し距離が遠くなったのは厄介だ。
ポータルに向かいながらさっきの情報を見てみるといつも通り詳しく情報が書かれていた。軽く経歴や強さなどを見てると明らかに強い奴が1人いた。組織長がくれる情報はだいたい正しい。こいつは結構厄介な強さの敵かもしれない。こいつの名前は覚えておこう。
ポータルに入り、現実世界に着いた。今は家なので外に出ないといけない。玄関や家の正面から出るのは危険な為、家の後ろからこっそりと出て屋根に登った。
周りの家の屋根を見ると、神風がもう居た。右の方向を指差しているのでそっちに行けということだろう。
右に飛び神風と合流した。とりあえず私はポケットの中から通信機を取り出し耳につけた。この通信機がないと任務はやっていけない。もう既に神風は耳に通信機を取り付けているようだ。
喋りながら任務場所へ向かうことにした。
「瀬頭、今回もよろしく。ってこの言葉毎回言ってるな」
「うん。よろしく。いつも通り頑張ろ」
「まず、向かうか。ていうか場所遠くなったのだるいな」
神風が独り言のように呟いた。
「だよね。まあでもそんなに遠くなってないし、楽な方だね」
「だよな。あの時よりましだわ」
やはりあれは神風にも記憶に残っているのだろう。
あの時とは、任務で場所が変わるのはよくあることだがそのせいで過去に1度だけ私たちはとてつもなく遠い任務になったことがあった。その時はそこに着くまでに時間がかかりとても足が疲れた。結局任務はクリア出来たから良かったけど。
「そういえば、送られてきた情報見た?」
私は神風に問いかけた。
「んーあー、見た。あ、なんか情報の中に強そうな奴いたよな」
神風も確認していたらしい。
「そうそう。あれどのくらいの強さだろ。まあ私たちの実力あれば倒せるよね」
神風と私2人なら最強だ。
「簡単に倒せるだろ。よし、じゃあ、入る方向は俺右、瀬頭左、いつも通りでいいよな?」
「うん。いつも通りで」
「よっし、頑張るかー」
とそんな事を話している内に山の下、近くまで来ていた。
「あー、結構高いな」
神風は上を見上げながら言った。
「意外と高いね。どうする?山の頂上まで行って上から潰してく感じにする?」
「それが1番無難だな。そうしようぜ」
「了解」
「ん、じゃ俺右から登るから、瀬頭左ね。よろしく」
「了解。神風、くれぐれも気をつけて」
「おう。瀬頭もな。あと強い奴いたら一応連絡頂戴な」
「了解」
神風と別れ、私は右ルートを登って行った。
「意外と高い」
想像以上に高くまで登っていた。
「とりあえず、近くに人2人居るしあいつらやるか。警備的な感じの人かな?」
私は独り言を呟きながら近づいて行った。
「一応片方の人は銃持ってるみたい」
私は呟きながら飛び込んだ。
「あの、すみません。中入れますか?」
と声を出した瞬間拳銃を私に向け、打ってきた。
《バン、バン、バ、ババババン》
音と同時に私も弾を避ける。
そして弾を避けつつ近づき、とりあえず銃を持ってる片方の奴の首を締め、銃を奪った。
奪った隙にもう片方の奴が拳を出して殴ろうとしてきたが、危ないこともなく普通に回避。そいつには体を折り曲げ、骨を折り、銃弾を2発打ち込んだ。
もう片方も銃で壁側に2発打った。
「ん、とりあえずこれで意識は無いみたいだし大丈夫かな」
私の反対側からも銃声が聞こえた。
「神風もやってるみたい」
「というか、私の銃弾使わなくて済んだのラッキー。一応弾の制限あるし…。まだ、こいつらの銃弾残ってるしこれ先に使い切ろう」
「よし、中心に向かって行くか」
そして人を倒しながら中心へ向かっていった。
中心に段々と近づいてきて、人も多くなってきた。
5人か。囲まれたな。どうするか。うーん、端からやってくか。とりあえず銃を出し、高く飛び一回転しながら2、3発打った。よし2人は倒せた。
あとは殴り蹴りでやるか。
よしもう2人も倒せた。あとは…
「そこのお前だけだ」
ゆっくりと歩きながら近づいていった。
「…っ!お、お願いします、ど、どうか殺すのだけは……っ」
「馬鹿かお前は」
と言い、殴って殺そうとしたその時、後ろになにかの気配を感じた。やばいと思った。一旦飛んで遠くへ離れた。
あいつは…強そうな奴と話していた人物だ。とりあえず建物の裏に行こう。そんで神風に連絡するか……
ビー、ビビッ、ビー 通信機がなった。
『瀬頭、順調か?』
「うん。順調。今連絡しようとしてたとこ」
『連絡?』
「うん。今私の近くに強いって話してた奴がいる」
『あー了解。今どこら辺?』
「まあ中心近くのでかい建物の裏」
『うーん。了解。俺そこまで行くわ』
「了解。じゃ丁度私の真ん前敵いるから倒しとく」
『了解。また後でな』
真ん前の敵さっきと同じ人数だし、普通にやれば行けるかな。
飛んで一気に打つか。
《バン、バ、バ、バン、バン》
「行けた。とりあえず全員意識無いから大丈夫か」
「神風と合流するか」
と思い歩き始めると銃弾が飛んできた。
後ろを向くと、今倒した奴数人がが全員で銃口を私に向け打っていた。
「まだ意識あったのか」
《バンッ、バンッ》
早く神風と合流しよう。
とりあえず通信。ビッービッビ
「神風、今どこ?私さっきの敵倒したよ」
『今、でかい工場真ん前。敵と戦ってる』
「了解。そこ行くね」
神風は……あ、居た。敵と戦ってるな。しかも結構人数多い。
サポートしに行こう。
「神風、来たよ」
「おう。瀬頭とりあえずこの敵やろ」
「了解」
結構な人数の敵だったが、なんも苦労することなく5分後には片付いていた。
「そういえば、さっきの敵の中に、あの強い奴混じってた?」
私は気になっていたことを聞いた。
「んー混じってなかったと思うな」
「ということはまだここに居るってことだね」
「まあ、でもだいたい倒せたと思うし、あとは強い奴だけって考えれば大丈夫だな」
「了解!強い奴探しながらここからは私たちで一気にやってこう。」
「んー、見つからないな」
と神風が言った。
「10分以上探してるけど、見つからないね」
と、その時。上から4、5人飛び込んできた。
私たちはすぐ避け、戦闘態勢に入る。
「瀬頭、銃は使わず、殴り蹴りで行こう」
「了解」
「あとここの4、5人全員、今戦った中で1番強い気配を感じる。強い奴も居るしな。気をつけていこう」
「だね。了解」
私は頷いて返事をした。
殴りか。神風が合っている。ここで銃を使うのもありだが、殴りで行くのがベストだと思う。
神風と私は幼い頃格闘技を習っていたため、殴り全般は得意である。暗躍者になる為のの試験もそこの分野だけは余裕で行けた。私に格闘技を習わせる理由について親が言うには何かあった時に対処出来て欲しいとの事だ。神風も親からそう言われたらしい。
そんな事を考えている内にもう2、3人は倒せていた。
次々に敵が来るが、まず腹に蹴りを入れそこから手で腹に4、5発入れこれを全員にやった。
「全員やれたな」
ふぅーと言いながら神風は言った。
「これで全員やったし、任務終わり?」
私は一応聞いた。
「おう。そうだな。任務達成だ」
「疲れたね。帰ろう」
「お疲れ様だな」
家に着き、神風と別れた。
家に着いたあとは風呂に入り、寝に入った。