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24:敗北、かと思いきや?

 派手な着地が目を引いたのか、次々と脱出ポッドに群がってくるデモドリフトの機械兵たち。

 それを俺は寄らば撃つ、斬るとブレードとバレルを延長・強化したブリードガンで返り討ちに。

 今もまた俺はポッドを飛び越えて、死角の側から寄ってきてた奴のエネルギー弾を切り裂き、銃撃でまた一機仕留める。だが――


「クッソ! キリがないぞコイツら!」


 倒しても倒してもわらわらと現れる敵に、俺はカートリッジを取り換えながらたまらず叫ぶ。

 上空の空戦隊からの援護もあるのに、コイツら全然数が減らない。

 雑兵レベルの戦闘力であっても、守らなきゃならないのを狙われて続けていて、放置なんて出来ない。


「守らなきゃならんのはこの中以外にもいるっていうのに!!」


 俺たちを脱出させた315の残る遺跡本体。それもまた激しい攻撃にさらされて火を噴いてさえいる。あちらも助けにいかなくちゃならない。なのにこんな一つを守るので精一杯……いやジリ貧な状況に置かれて、俺の心はダメだと分かっていても焦りに染まっていく。

 いくらブリードの力があったって、使うのが俺じゃあ結局はこの程度って、守らなきゃならんものすら守れないって事なのかよ!

 そんな悔しさを銃剣に乗せて叩きつけたところで、いきなり俺たちを取り囲んでいる雑兵どもが弾けて消える。

 何があったかと思いきや、俺たちの影がより大きな影に飲み込まれる。見上げてみれば、太陽を遮る巨大な機影。俺が居着いてる門武守機甲の航空空母エキドナの姿が。

 それがホーミングレーザー機銃を連射した事で俺たちを取り囲むのを一掃してくれたんだ!


「……来てくれたか、助かった!」


「待たせたわねリード! 良く守りきってくれたわ!」


 頭のレーダーの中にはくっきりと映った味方の反応が。それにも気づけないほどに焦っていたとは。

 自分の視野狭窄を恥じながら、俺は駆けつけてくれた味方に応じる。

 そんな俺に爆煙の中から半身を無くした機械兵が飛びかかって――


「吹き飛ばす!!」


 だがその奇襲は勇ましい声と共に割り込んできた鋼の巨体に撥ね飛ばされる。

 その勢いのまま滑るように地を駆け、生き残りにエネルギー砲を掃射するのはクリスの駆るランドイクスだ。

 この救援を無駄にするまいと、俺は目についた敵にトドメを刺していく。


「アルテルとリュカ、それに休眠中のアンスロタロスたちがこのポッドの中にいるんだ、保護を!」


 それと合わせて、脱出ポッドをエキドナに収容するように要請。救出のための動きが見えたのを認めたら、俺は走るクリス機に目を。


「やるぞリードくん!」


「頼む、クリス!」


 唸りを上げて迫る巨体に俺からもダッシュ。そして快速戦車と体を合わせて、巨大なケンタウロスの機体に乗り移る。


「クリス、あの遺跡にはブリードの味方が!」


「ああ、レーダーには危機に陥った味方だと出ている!」


 皆まで言うなと、クリスはコックピット内部で馬蹄を踏み込ませる。このギャロップが生み出していた無限軌道ダッシュの勢いのまま、俺は四つ足を響かせて戦場を走る。

 この俺の動きを阻もうと、敵機が組みつきに群がって。その一方で別のチームは遠巻きの射撃体勢に。これはフレンドリーファイアを無視してまで撃つつもりか?!


「その程度で私たちを止められるか!!」


 しかしクリスは警告を出すまでもなくお見通しだと俺の中で操縦桿ごと両腕を振るい、これに従った俺の腕が両ランスカノンを一閃。前衛も後衛もまとめてなぎ払う。

 そのまま弾けた敵の残骸やらを蹴散らして、抵抗を続ける315へ。

 そんな俺たちと並走する形で、頭上にスカイイクスが。


「ずるいぞクリス。順番からして今回はわたしの合体じゃ無いのか?」


「すまない、ついノリでな。終わった後にでも奢らせてもらう!」


「うん約束したぞ」


 クリスと軽口を交わしあったファルが小さく笑って通信を切る。するとスカイイクスが急加速、遺跡を攻撃する機械兵たちへミサイルを。


「続くぞリードくん!」


「ああ! これ以上ヤツらの好きにさせてたまるか!!」


 追尾弾とエネルギーバルカンでファルが切り込んだのを見上げてクリスが激を。

 これと彼女の蹄を拍車として大地のイクスブリードである俺も両手のランスを構えて突っ込む!

 そんな俺の正面に集まった集団から砲撃が。怯ませて突撃の勢いを殺ごうというつもりなんだろう。まあ俺一人、ブリード相手にだったらまだ効果はあったかもな。


「邪魔だぁあッ!!」


 だが勇猛果敢なクリスの足が緩むものかよ!そんな弾幕なんか真っ向から槍と装甲で突き破って見せる。それでもなお前の連中は変わらずに砲弾幕を撃ち続けてくる。これは、何か仕掛けているのか?


「構うものか! 策があるならそれもろともに蹴散らすまで!!」


 しかしクリスは構うものかと足を緩めない。闘志は買うが、それは無茶が過ぎる!

 案の定、弾幕を撃ち続けてくるヤツらの手前、その地中に何かが潜んでる。しかしもう俺の足はその間近に。

 だからとっさに踏み切ってジャンプ! 真下から突き上げてきた鋭いものを飛び越える。


「なんと!?」


 噴き上げた炎に後脚部が炙られる。が、どうということはない!

 そんな俺の意思を受けて、クリスは下に向きかけた意識を前に。遺跡の上に取りついた機体――確か四幹部の一体スクリーマー、に向けて槍を突き出す。が、その穂先から放たれたエネルギー砲は遺跡を掠めて空を焼くに終わる。

 どこへ消えた!?


「下か!!」


 その答えはクリスの口と腕を振るう動作が教えてくれた。

 あの白黒の、どうやってか遺跡の上から素早く俺の足下にまで潜って、ショットガンで狙っていたんだ。


「良い反応じゃないか」


 ニヤリと笑ったスクリーマーは、打ち払おうとするランスカノンから転がるように車へ変形。俺の腹の下を潜り抜ける。

 クリスはその動きを追って両槍を振るい、足を踏み鳴らす。が、スクリーマーはサイレンの音を高らかに変形を繰り返して俺の足元をチョロチョロと。

 この動き、明らかな挑発だ。が、無視するには敵の位置も力もマズイ。

 どうしたら?

 そんな迷いに俺もクリスも臍を噛む。その瞬間、強烈な爆発音が。

 その出どころは遺跡だ。抵抗を続けていた315の遺跡が、地中から貫かれて炎を噴き上げていたんだ。


「これで目的は達成だ。我らに逆らった輩がどうなるのか、これで貴様は思い出し、原住民どもも思い知る事だろう」


「貴様ッ!!」


 守りきれなかった。

 そんな無力感に俺が打ちのめされる一方で、素早く立ち直ったクリスは勝利宣言するスクリーマーへ槍を。

 しかしこの一撃は、長居は無用とばかりに遠ざかるパトカーには届かない。ならばとクリスは追撃のトリガーを。


「おおっとぉッ!? こちらにばかり目をやっていて良いのか?」


 だがスクリーマーは激しいスキール音と嘲笑を残してこれを、そして上空からのミサイルをかわして爆煙の中へ。

 このまま逃がしては行けない。だが、見逃してはおけないものは――


「こちらもかッ!!」


 体全部を振り回すようにして俺をターンさせたクリスはランスカノンを発射。遺跡を貫いた鋼の巨体を吹き飛ばす。

 集合体の大型機械兵。これをほったらかしにしてはどれだけの被害が出るか知れたものではない。


「今回の大物はあっさりと仕留められた。だが……」


 悔しげにクリスが洩らす通り、スクリーマーも逃がしてしまったし、大型の敵を仕留めはしたものの、315の遺跡も大破炎上させられてしまった。

 デモドリフト側にまんまと目的達成されてしまった形だ。完全にしてやられた事に、俺もクリスも、戦闘に出たメンバー全員がうちひしがれる。


「そんなに落ち込む事はありません。マスター・ブリード」


 しかしそんな俺たちへ入った通信モニターには破壊されたはずの315の顔が映っていた。

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[一言] 生きてたー! 良かったああああ!!
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