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Side:視聴者A

 こんばんは、限界社畜です。

 あっ、間違えた。中川有栖です。


 あああ"あ"あ"あ"働きたくな"い"い"!!

 今日も元気に悲鳴をあげる私ですが、最近生き甲斐ができました!


 それはマイナーVの配信を見ること!

 今の推しはイッくん! 声が良過ぎる個人勢の新星!


 生きる希望! 命の灯!

 地球の答え! 大気の生まれ変わり!


 一体どんな素敵なお兄さんなのだろうと思っていたら、中身は現役高校生!


 お声は年上! 中身は年下!

 その名も新人Vtuberイッくん!


 あああ"あ"あ"あ"絶対年上だと思って”た”あ”あ”あ”!


 まあいいでしょう。

 それはそれで推せるというものです。


 所謂ひとつのギャップ萌え。

 女の子を何人も泣かせてそうな声なのに、実際はシャイボーイ。同級生と会話する方法を質問したり、その結果を嬉しそうに報告したり……こんな子のママになりたいだけの人生だった。


 さてさて。

 今日はどんな学校生活だったのかな?


 楽しみに帰宅した私を待ち受けていたのは──圧倒的な情報密度だった。


「クロぉぉおおおおお! 下心ぉおおおおおお!!!」


 冷静に考えれば分かる。

 多分クロは、Kさんの友達に恋しているのだろう。だからKさんと急接近しているイッくんに声をかけた。実に簡単な推理だ。でも私は──あえて別解を推す!


「下心でイッくんに近付いたクロぉおおおおおお!!!!」


 その要素以外に目を瞑る。


「どんな要求をするつもりなんだい!? やー!?」


 ドンッ、と壁を叩かれる音がした。


「……ぁ、さーせん」


 私は口を閉じる。

 そして頭の中で考える。


 ……壁ドン、か。


 謎の新人クロが、イッくんに壁ドンするシーン。

 まだ二人の名前しか知らないけれど、イッくんが内気な子で、クロがグイグイ行く肉食系という妄想に至るのは自然な流れですわよ。


 ……ああ、ダメ、そんな。イッくんにはKさんが居るのに!

 

 ここでふと気になる。

 イッくんの「付き合うの意味が分からない」発言はマジなのか、それともKさんをごまかすための噓なのか……くぅぅ! ここも妄想が捗りますねぇ!


 イッくんとKさんの会話内容は不明。

 ただ、あの日のイッくんは嬉しそうだった。


 ……足りない。

 これだけの情報じゃ、妄想するしかない。


 シェアしたい!

 この妄想を……どうにかっ!


 掲示板でスレ立てる?

 いやいや、変な人に目を付けられたらイッくんに迷惑だ。


 どうにか、既存のファンとだけ繋がる方法を……


「そうだ」


 私はスマホを取り出して、ふたつのSNSを操作した。


 まずはLでオープンチャットを開設。

 次にTで「新人Vtuberイッくんについて語るOC作りました。参加したい方はDMください」と投稿して準備完了。


「これで、志を同じくする者が釣れるはず」


 もちろん一人も釣れない可能性はある。

 イッくんの視聴者は五十人前後。その中に、私のような存在が複数人……いや普通に居るかも。だってマイナーVの配信を見に来る人達だよ? それが五十人も居て、誰も推しの名前でパブサしないなんて、そんなことありえない。


「信じて待つ」


 こういう時は、寝るに限る。

 

 ──そして翌日。

 私は、二人の同志と繋がった。

面白かったよ! 続きも読むよ!

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次回から三話です!

三人目のヒロインが登場して役者が揃う! 予定!

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