生徒会長アニー
「ショウ達ってサークルには入らないの?」
「どうした急に?」
図書館で出された課題を片付けていたショウ達に不意にコレットから質問の声が上がった。
クラヴィス学院にはいくつかの同好会や研究会があり、サークルと呼ばれている。
「元々私はずっと学院に通う予定じゃなかったから入るつもりは無かったんだけど、予定が変わったから少し検討してみようかと思ってね」
「そういえばそう言ってたな。俺は何も入ってないし、入る気も無いな。剣術サークルとか魔法研究会には勧誘されたけど断ったし」
「どうして?いつでも魔法とか剣振り回してるんだから入っても良かったんじゃない?」
「それ、凄い不審者っぽい言い方だな。まぁ…あまり魅力を感じなかったからかな」
「魅力?」
「それはそうさ。サークルは貴族とその取り巻きが仕切っていることが多い。特にさっきショウが上げた2つはメンバーが多く、その特徴が顕著に出ている。あんな腕も無いのに接待で持ち上げられてる連中の所にいても何の利益も無いさ」
本を手にしたレイがショウが断った理由を語る。
「その点、ロウダスの入っているモンスター同好会はただのモンスター好きの集まりだから入るならまだそっちをオススメするよ」
「ロウダスってサークル入ってたの?」
「ああ。たまに顔を出す程度だが」
「よくエサあげにいってるよな」
「おいショウー、これわかんねー」
課題に行き詰まったらしいライガの救援に向かう。
「まぁ全てのサークルがそういう貴族派閥のサークルという訳じゃないけど、コレットの立場上どこでも悪いようにはならないんじゃないかな?」
「接待を受けたい訳じゃないの。折角だから入ってみようかなとも思ったけどそういう感じなら入らなくてもいいわ。今十分楽しいし」
コレット達の会話を聞きながらライガの様子を見ると、然程課題は進んでいなかった。
「キュアハーブの見分け方って何?」
「図書館なんだから自分で調べるべきだと思うけどな。それなら…」
「この図鑑に薬草について色々書いてあるよ。その他の課題についても大体書いてあったと思うわ!」
「お!まじか助かるわ〜……ん?」
「こんにちは、アニー会長」
振り向くと茶髪の長髪を後ろで束ねた美少女、アニーが立っていた。
「こんにちは!ショウ・シュヴァルツ君!」
「なんで生徒会長がいるんだ?」
「あら、私だって生徒だもの、図書館にいても何もおかしくないわ!」
「確かに」
納得するライガ。
「じゃあ別に俺達に用がある訳じゃないんですね」
「いえ?用はあるよ。君に」
ショウを指差すアニーだが、ショウには心当たりは無い。
「君に生徒会に入ってほしいの!」
「生徒会に?」
クラヴィス学院生徒会。それは学園の中でも特に優れた生徒のみが入会を許可される組織。会員は教師と同等の権限を持ち、卒業後の進路が約束される程に優遇されている。
「凄いじゃないかショウ!生徒会は成績上位者の中でもごく一部が選ばれる物で1期生で選ばれるのは初じゃないかな?」
「でも入る条件かなり厳しいって噂だったよな?」
「入る条件は実技と座学共に優秀であり、品行方正であり、学院長が入会を許可する事!そして君はそれの全てに当てはまってる。だから誘いに来たの!」
「そうですか。でも、申し訳無いですがお断りします」
「なんで!?入ってよー!?」
「図書館ではお静かにお願いします」
「あ、すみません……」
司書に注意を受けてアニーがおとなしくなった。
「それでどうして入らないの?生徒会は色々と優遇されるし、悪い話じゃないと思うんだけど」
改めて理由を問うアニー。
「その分やる事は多いですよね」
「う、うん。正直人手が足りない……」
「それに生徒会の特権は俺にとっては然程魅力的ではないですし」
「成績さえ良ければ授業受けなくていいんだよ?魔法の練習とかし放題だよ?」
「授業中も魔法は発動させ続けてるので問題ないですね」
「ちゃんと授業受けようよ……学費とかも免除されるし、必要な魔道具とか研究費とか経費で出るから入りたい人いっぱいいるんだよ?」
「お金には困ってないですから」
食い下がるアニーと断り続けるショウを眺めながらコレットが疑問に思う。
「生徒会ってそんなに忙しいの?」
「イベント事の準備や当日の手伝い、度々起こる騒動の鎮圧、面倒事が多いのは確かだね」
「条件が厄介でな、特に学院長の許可ってのが。中々入会者が見つけられなくて良く言えば少数精鋭、悪く言えば万年人手不足気味のなんでも屋だ。大抵の奴は入れるなら入ろうとするがショウは入りたがらないだろうな」
「頼むよ〜、今期私含めてまだ3人しかいなくて大変なんだよ〜……あ!なんだったら入ってくれるなら私の事1日好きにして構わないよ!」
「はぁ!?」
『なんじゃと!?』
割と大きめな胸を寄せながら言うアニーに驚きの声を上げるコレットとゼウス。
「反応してんじゃねえよジジイ」
「ちょっ!何言ってるんですか会長!男の子に向かって!」
「私だってちょっと恥ずかしい…」
頬を赤らめながら言うアニー。
「なら言わないでください!」
「いや、アニー会長にしてほしい事は特に無いんですが」
「え、そう?そっか……」
普通に断られて少し落ち込んでいた。
「じゃあ最終手段、私と勝負して!」
「「「「「勝負?」」」」」
「君、結構戦うの好きだよね。なら私と戦うのは中々いい話じゃない?こう見えて5期生で学年1位、学院で最強と言われてるアニーさんだからね!楽しめると思うよ〜?勿論ハンデもつけるからさ。それて私が勝ったら生徒会に入って下さいお願いします!」
「いいですよ」
「え、いいの!?」
「面白そうですしね」
「なら早速試合場にゴー!!!」
「うわっ!」
「お静かにっ!」
司書からの注意を受けながらショウの腕を引っ張って連れて行ってしまった。
「課題やるよりよっぽど面白いぜ!」
「戦いの誘いにはすぐ乗るんだから……ライガは課題終わらせなくていいのかい?」
「後でやるからいい!」
(やり忘れそうだな……)
(語り部)
「生徒会は成績優秀な生徒の中から学院長が独断と偏見、もとい自身のこの見で選んだ集団。恒例行事の準備や試合場以外で起こる喧嘩の仲裁、教師の悪巧みも陰ながら解決していく有能集団。とは言うものの学院長に気に入られた生徒じゃないと入れないのがきつくて毎年人手が足りないのが悩み所らしいね。現在はアニーの他に7期生1人と4期生1人だから来年には2人になりかねないのは本当にきつそうだよね」




