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STORY ~白銀の物語~  作者: 黒羽カウンター
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後日

「ドラゴンの死ぬとこなんざ初めて見たぜ!良いもんが見れた」


 騎士に連行されるロダンがライガに喋りかける。


「ライガ。てめぇに負けたのは予想外だったが、面白かったぜ!またやりてーなぁ」

「あんたに次はねーよ。第一今の俺に勝てねぇあんたが未来の俺に勝つ事は無ぇ。今より強くなるからな」

「はっ!お前の今後が楽しみだ。んじゃ、あばよ!」


 終始笑みを浮かべながら連れて行かれた。


「あいつ、脱獄しやしねえだろうな…」

『それは無いじゃろうな』

「…?」


「おいこれ生きてんのか?なんか冷たいけど」

「死んではいないが、急いだ方がよさそうだ。しっかし生きたまま氷漬けとは、えげつないな」


 騎士達が気絶しているナウロを見ながら小声で呟く。つい先程まで凍りついていたナウロの顔色は色白く、ぱっと見死体と見紛う程だった。


「少しやり過ぎたかな?初めてで加減を誤ったかもしれない。ところでロウダスはどうかしたのかい?」


 物思いに耽っているロウダスにレイが話しかける。


「ん……いや、俺が戦っていた奴がさっきのドラゴン騒動の最中に逃げたようでな」

「そうなのかい?だったら王国騎士に伝えないと…」

(去り際の奴の言葉……)


『いずれ再び、お前の元を訪れる事があるかもしれん。精々その時までにより強くなるといい』


 振り向いた時にはガウルの姿は既に無かった。


(奴の目的は始めから俺一人のようだった。奴の狙いはわからんが……俺のやるべき事は変わらんな)


 扉を開いて尚、ガウルに深手を負わせはしたものの倒す事は出来なかった。今より強くなる事など言われるまでも無い、ロウダスはそう強く思った。

_______________________


「随分とご満悦じゃないですか、ヴィンセント殿」


 そう言われた学院長は実際上機嫌だった。


「貴重な経験でしたからね。黒魔道士の遺産もドラゴンもそう見れるものではないですから」

「確かにそうある事ではないですね。ドラゴンが竜の大地から出てくる事などそうありませんし、遺産についても同様、たった1つで下手すれば国すら滅ぼす可能性のある魔道具がそういくつも出てこられては堪りません」


 玉座に座る男、ラインは溜め息をつく。本来であれば相当の被害が見込まれる状況を被害無く抑えられたのは喜ばしい事だが、最近は立て続けに事件が起きている。また何か起きるのでは無いかと思うと頭が痛い。


「何はともあれ、今回の騒動を解決して頂きありがとうございます。褒美は言っていただければ出来る限りの事はしましょう」

「褒美ならドラゴンの素材を全ていただければそれで構いません。それに学院の敷地内で起きた事ならば私達学院が責任持って対処するのは当然、そもそもその為に王女様を我が校に通わせたのでしょう?」


 全てを見透かしているのように国王を見つめる学院長に思わず肩をすくめる。


「バレていましたか。娘が見た未来ではどうやっても多くの被害が出ていた。唯一被害が出ない方法は学院で魔道具を発動させる事。学院には貴方がいますからね」

「仮定視の力ですか。流石次期女王の呼び声高いだけの事はありますね。実際見ていて感心しましたよ」

「まだ完全とは言い難いようですがね。ドラゴンの事は聞いていませんでした。恐らくドラゴンが出てくる所までは見れなかったのでしょう」

「それで、今回の件が終わったなら学院に通う必要は無くなったという事になりますが今後はいかが致します?」

「引き続き通わせますよ。城で宮廷魔道士に学ぶよりその方が都合が良さそうだ、彼女にも、私にもね」

_______________________


「おはよう、ショウ!」

「おはよう」


 事件の翌日、壊された校舎や道も修復され、生徒達が登校してくる。


「他の皆は?」

「試合場。新しい力に慣れる為に朝練してるんだ。俺もこの後いくぞ」

「ふーん、なら私もついてくわ」


 学院中で昨日の事件の話題で持ち切りだった。そこら中から魔道具とドラゴン、そしてエミールの話が聞こえてくる。


「私、本当はエミール先輩があの事件を起こすのを知っていたの」

「……そうか」


 試合場へ向かう廊下で唐突に告げられた言葉だったがショウは然程驚かない。


「私の魔法で見た未来に向かうにはどうしてもエミール先輩にあの事件を起こさせる必要があったから。私は他の犠牲を無くす為にエミール先輩を犠牲にしたの。ショウはそんな私を軽蔑する?」


 不安そうにショウの顔を覗き込む。そんなコレットにショウは首を横に振る。


「しないよ。軽蔑するような事じゃないだろ、犠牲にされた人にどう思われるかは別として被害を抑えようした事は立派な事だ。だからあまり思い詰めないほうが良い」

「うん…」


 それから暫くの間、無言で歩き続ける。


「私、本当はあの事件が終わったら学院をやめる筈だったんだ」


 ふとコレットがそんなことを口にする。


「そうだったのか?」

「元々あの事件を解決する為に通う必要があっただけだから。でも、このまま学院に通う方が都合がいいからって通う事になったの。だからこれからも護衛よろしくね」

「俺なんかでいいなら」

「ショウがいいの!」

「…?そうか」


 食い気味に言われて少し戸惑うショウ。


(とはいえ、コレットの魔法が無ければ魔道具に分断された時点でコレットは死んでたかもしれないし、エミール先輩に勝てたかはわからない。それにあのドラゴンの時も学院長が来なければやられていた。もっと強くならないといけない、こんなんじゃ……)


 ショウは今回、改めて自身の無力さを痛感した。今後は更に鍛錬を厳しくする事を心に決め、試合場へと向かう。

_______________________


「まさか黒い箱(ブラックボックス)が壊されるとは……。まぁいい、所詮あれは頑丈なだけの玩具、あわよくばといった物に過ぎない」


 路地裏に潜んでいた男がそう呟く。


「出来ればあの5人の誰かでも殺して欲しかったものだがな。あの3人も黒い血液(ブラックブラッド)の完全適合とはいかなかったし、大した収穫は得られなかったか。とんだ無駄骨だったな」


 黒い布で顔を覆ったその男はその場から消え、その場にいた痕跡は何も残らなかった。

 その晩、牢に入れられていた3人の男が黒い血を吐き、絶命した。

仮定視

一定の行動を取った場合の未来が見える未来視。発動するのにかなりの魔力を消費するが、1度発動させればやめない限り何度でも仮定の未来が視える。視ている間に幾ら見直しても現実の時間は進まない。


(語り部)

「ショウ達はこの魔法については以前鍛練中に教えてもらって知っていたよ。便利そうだけど、仮定した行動を取らなければその未来には辿り着けないから仮定した行動が多ければ多い程狙った未来に辿り着けなくなる記憶力が物を言う魔法だよ。仮に相手の攻撃を全て避けるとするなら相手の攻撃への対処を全て暗記しなければ成立しないからね。だからリビングアーマーの攻撃を全て躱したコレットは、実はかなり記憶力がいいんだろうね」

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