vsロダン2
(切られた胸が痛くて堪らねえ筈なのに……感覚がない。体が麻酔でもかけられたように動かねえし、意識も朦朧としてる……血を流し過ぎたからか?)
ロダンの斬撃を受け、かろうじて生きてはいるものの虫の息のライガ。
(あいつに負けてる場合じゃねえってのに………駄目だな……指一本動かねえ……俺は……死ぬのか………)
『死なんわ馬鹿め!!』
『痛ってぇーーーーーー!!!』
頭をサッカーボールの如く蹴られ、ライガが転げ回る。
『何しやがるジジィ!!』
『寝転がっている馬鹿を蹴飛ばして何が悪い』
腕を組んでふんぞり返っているゼウスはさも当然と言わんばかりに口にする。
『というかここ何処だよ?戦いは?俺は死んだのか?』
『落ち着かんか。ここはお主の心の中で、今も戦いの最中じゃ。現実では死にかけてるお主じゃがまだ死んではおらん』
周りの光景がさっきまでとうって変わり、何もない空間になっている事について疑問ばかりが浮かぶライガにゼウスが現状を説明する。
『ここにいる間は現実では時は進まん、寝ている間に殺されはせん。目覚めた途端に死ぬかもしれんがな』
『そうか、ここがショウの言ってた心の世界か。て事は俺にも力をくれるのか!?』
新たな力に目を輝かせる。
『現状を打破できる可能性を渡すだけじゃ、何もせんと死ぬからなお主。ただし、条件を満たせたらな?』
ゼウスは掌に金色に輝く鍵を出現させる。
『条件って何だ?』
『それ受け取れ!』
『おい聞け話を!?』
投げられた鍵を受け取った瞬間、ライガの体は強大な雷に包まれた。
『カッ……ハッ…………』
その場に倒れたライガは全身焼け焦げ、意識はとんでいたものの胸は上下し、しっかりと生きていた。
『ふむ……これで生きてるならよしじゃな』
光に包まれ、ライガの傷が癒えると飛び上がったライガがゼウスの首元に掴みかかる。
『何しやがんだジジィ!!死ぬかと思ったわ!!』
『いやよくあるじゃろ?触ると電気が流れるパーティグッズ。あれの強化版じゃよ』
『強すぎるわ!!?』
『そう騒ぐでない、条件はもう満たされておるようじゃし、後は開くだけじゃ』
ゼウスがライガの後ろを指差す。振り向くとそこには鎖と錠で閉ざされた門があった。
『これ開けてとっとと倒してこい』
『なんか軽いな!?というかどっちみち俺結構重傷だけど戦えんのか?』
『知らん。戦えなきゃ死ぬだけじゃ、どうにかせんかい』
『無茶苦茶言うよこのジジィ!?いやまぁそうだけどよ………まぁ気合いと根性ってもんだよな。そんじゃ行ってくるわ』
鍵を差し込み、錠を開けた途端に鎖がばらばらに砕け散る。門を開けると目が潰れんばかりの輝きが溢れ、ライガ達を包み込んだ。
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ライガにトドメを刺そうとロダンが大剣を持ち上げるとライガから強烈な光が放たれる。
「なんだ!?」
瞬次に後ろに飛び退き、様子を見るとライガから先程まで以上の魔力を感じる。
「……さっきまでは本気じゃなかったってか?」
「………さっきまでが俺の全力だった。こっからは、全力を超えていく」
起き上がったライガの胸の傷は血が止まり、溢れ出る魔力で一見手強そうに見えるが、顔色は悪い。血を流していることに変わりなく、今尚吸われる生命力はかなりの負担になっている。
「死に体でどうにか立ったはいいが、そのふらふらの体で戦えるんだろうなぁ!!」
踏み出そうとしたロダンの前から、一筋の稲妻を残しライガの姿が消え、横から伸びてくる拳に殴り飛ばされていた。
「アッ?……ガァァァァァッ!!??」
頭に叩き込まれた雷に悶絶し、転げ回る。
(さっきまでと速さも威力も段違いじゃねーか!まじで何が起きやがった!?)
ライガの周りで迸っていた雷は徐々に収まり、ライガの手足へと集まっていく。腕には篭手のように、脚には足先から膝まで覆う鎧のように雷が形成されていく。
「これが俺の新しい力、【拳闘士形態・雷纏闘装】」
正面から突撃するライガに大剣を振り下ろすも、宙を蹴って躱したライガに数発横腹に拳を撃ち込まれる。
「アアアアアァァァァァッッ!!!」
撃ち込まれた雷は先程までよりも強力なものになっていた。
「この雷は撃ち込まれた場所に帯電し、後で撃ち込まれた雷と同時に炸裂させる事も出来るんだ。強烈だろ?」
「チィッ!」
ライガの蹴りを躱し、距離を取ろうとした所に雷が上から降ってくる。
「ア……ガッ……」
「前は溜めなきゃ撃てなかった雷槌もすぐに撃てるようになった。ありがてぇ」
一瞬意識の飛んだロダンにライガが迫る。
「迸雷拳・炸雷!!」
「…………ッ!!!」
ロダンの体に撃ち込まれた雷が体の中から一気に弾ける。口からは煙を吐き、声も出ない。それでも未だ倒れず剣を握るロダンに、一息に距離を詰めようとするライガだったが、先に距離を詰めてきたロダンの蹴りをまともに受ける。
「うぐぅッ!!」
「面白え、面白すぎるぜお前!!」
再びロダンが周り始めた。
「これだけ御膳立てされて尚、こんなガキに手こずるなんて思いもしなかったぜ!!世の中こんなガキがいるとは思わねえよな!?それでも勝つのは俺だ!!ワイバーンも両断した一撃、お前にもう一度食らわせてやるよ!!!」
回転の勢いは増していき、風が吹き荒れ、振り回した大剣から斬撃が飛び散っている。
「雷槌!」
落ちる雷を躱しても尚回転のエネルギーを保持し、ライガへと刃を向ける。
「回転中なら躱せねえと思ったか?くたばれライガ!大風割ぃ!!」
放たれた巨大斬撃がライガに迫る。
「どんなに強力でも、当たらなきゃ意味ねえよな」
「あ?」
斬撃はライガの残した稲妻の軌跡だけを切り裂いた。当のライガはロダンの懐まで近づいていた。
「ラァっ!!」
「ぎっ!?」
空中にロダンを蹴り上げる。
「これでいい加減終わりやがれ!迸雷連拳・爆雷!!!」
空中のロダンを殴り飛ばしては宙を蹴って追い抜き殴り飛ばし、空中でスーパーボールのように弾かれ続けたロダンを最後に床に叩き落とすと、全身に溜まった雷が一斉に爆発する。轟音の後に残ったのは黒焦げになったロダンと粉々に砕けた魔剣だけだった。
「どうだジジィ!俺の勝ちだ!!」
『うむ、よく勝ったわ!だが体は持たんようじゃな』
「ん?……あれ?」
その場に倒れたライガ。装備も解除された。
『溢れた魔力で魔力障壁を強化して自然治癒されやすくなったとしても失った血は直ぐには戻らん。この箱も然程かからずに消えるじゃろう。今は寝ておけ。本当に死ぬぞ』
「………zzz」
『もう寝とるわこやつ』
ゼウスはロダンから鍵を抜き取り、ライガの手に握らせ、戦いの終わりを待つ事にした。
拳闘士形態・雷纏闘装
ライガの新たな力。両腕両足に雷で形造られた装具を装備する。装着している部分で攻撃すると、攻撃した部分に雷を帯電させ、後の攻撃に上乗せできる。装着している部分で防御すれば攻撃してきた相手に帯電させる事も出来る。常に雷を放出している状態である為、魔力消費は激しい。




