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STORY ~白銀の物語~  作者: 黒羽カウンター
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vsガウル1

「どうにか倒せてるけど、どんどん出てくるモンスターが強くなっていってる……。いつまで戦えばいいのよ……」


 モンスターが倒れ、消滅する。1人の教師と数人の生徒達が肩で息をするような中、生徒の1人がぽつりと呟く。


「皆、気を強く持て!俺がついてる、先生が必ず皆を外に出してやるからな!」


 教師が励ましながらここまで戦い続けてきたが、モンスターとの連戦、魔道具による生命力の低下、この窮地に対する不安が生徒達の未熟な精神を削っていく。


「敵を倒して鍵を奪えば出られるんだ。他の皆もきっと戦っている、俺達も行こう!」


 生徒を引き連れ、教師が扉を開ける。


「なっ……」

「きゃああああああっっ!!!」


 目に飛び込んできたのは、部屋中に飛び散った血と、部屋の中心にいる血だらけのロウダスとロウダスの頭を掴んで持ち上げる敵の姿だった。


「狼王が育てたと聞いて期待したが、この程度か。これで終わりにするか、それともまだやるか?」

「そこの男!手に掴んでいるのは我が校の生徒だな、その手を離せ!!」


 体に岩を纏った教師が殴りかかる。


「不粋っ!!」


 ガウルが腕を振るうと、教師の体が切り裂かれる。


「ぐあぁっ!?」

「まだ戦いは終わっていない。戦いへの横槍は殺されても文句は言えんぞ」

「大丈夫ですか先生!?」


 血を流して倒れる教師に生徒達が駆け寄る。


「まだ……だ」


 上空から急降下してきた鷲の鍵爪がガウルの腕を弾き、ロウダスを離す。3匹の青白い猿の拳がガウルの顔に同時に叩き込まれる。


「君…無事か…!?」

「………」


 傷は浅かったらしい教師がロウダスに声をかけると、チラッと一瞥した後ガウルへと向き直した。


「無視!?」

「ロウダス君は割といつもこんな感じですよ。ショウ君達以外とはあまり話しませんし」

「でもそのクールさがまた良いというか!」

「わかる〜。そんな彼がたまに小鳥達に餌あげてる時に見せる微笑みとか心臓止まりそうになる!!」

「それな」

「君達…結構元気だな…」


 外野の声を気に留めることなくロウダスが追撃しようとすると猿達の体がバラバラに切り裂かれ消滅し、飛んできた斬撃を躱す。


「また獣化か……」


 ガウルの肉体が膨らみ、全身が体毛で覆われる。


「まだやれるのはありがたい!もっと力を見せてみろ!!」


 ガウルが無造作に爪で何度か空を裂くと、無数の斬撃がロウダスを襲う。


「うっ……」


 全ては躱しきれず、切れた箇所から血が吹き出る。だが、斬撃を躱しながら放った鳥達が回転しながらガウルへと突き刺さる。


頑虎がんこ


 突き刺さったと思われた嘴が砕け、鳥達が消滅する。


「ピアスバードは回転する事で貫通力を上げ、岩を穿ち、人体に容易く風穴を空ける。だが虎の剛毛を貫く事叶わず。旋虎せんこ!」


 空を切る回し蹴りから巻き起こった風が渦となり、刃と化す。腕を翼に変え、空中へ飛んで躱したロウダスが急降下し、変化させた象足で思い切り踏みつける。


「重みが足らんな」


 両腕を交差してロウダスの足を受け止め、降りてきたロウダスに一息で近づき、握り拳がロウダスの腹を捉える。


砕虎さいこっ!!」

「があぁっ!?」


 壁に叩きつけられたロウダスが血を吐き出す。


「虎の膂力は巨岩も砕く。幾らかの骨折で済んでいるのは流石だが、まだやるか?」

「ゲホッ…ケホ……どちらにしろお前を倒さなくては出られないのなら…、やる他ないだろう」


 そういうロウダスは腕を巨大な狼の前脚へと変える。


「確かに…俺の持つ鍵を欲するなら力を示す他ない。今度こそ見せてもらおうか、狼王の力の一端を」


 駆け出すロウダスの一撃を真っ向から受ける構えのガウル。


「狼王の剛脚!!」


 振り下ろされた脚をもろに受ける。これが魔道具の中でなければ地面が砕け、大きく陥没していたであろう衝撃が走る。


「歳不相応な巨大な力持っている事は確か」


 一際膨れ上がった巨躯が、巨狼の脚を押し返す。


「だが……不足っ!!!」


 凄まじい速度と気迫にガードが追いつかない。


跳梁跋虎ちょうりょうばっこ!!!」


 巨大な手が、爪が、ロウダスの小さな体を捉え、今までで最も勢い良くロウダスを壁に叩きつける。声すら上げることなく叩きつけられたロウダスが力無く床に突っ伏す。


「息は……あるようだな。今の所はこの辺にして……、……!?」


 倒れていたロウダスが立ち上がる。


「まだ立つとはな…」


 だがその様子は先程までと明らかに違っていた。


『これは不味いな〜』


 そう呟くオネイロスの声は誰にも届かない。

ピアスバード

B⁻ランクモンスター

鋭く硬い嘴が特徴の鳥型モンスター。群れる習性を持ち、標的を複数で襲う。回転しながら高速飛行してくるピアスバードの嘴は岩を容易く貫通する。棲息地付近ではピアスバードに襲われ、幾つも穴が空いた大型モンスターや冒険者の死体がよく発見される。

(語り部)

「虎人族は強靭な肉体と鋼程に硬くなる体毛を持つ種族で、かなり戦闘に特化した種族だよ。獣人の中で最強の種族と呼ばれた事もあるくらい強いけど、数はあまり多くはないね。それとガウルが使う技は虎人族の戦士なら皆使える技だよ」

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