入学式
翌日、突如光りだした受験票に驚きはしたものの、結果は合格。祝福のメッセージと入学式の日程、当日必要な物を伝えられた。
『ごぉぉかくですよォォォォ!!!おぉめでとぉございます!!!』
「何事!?」
『なんかこの受験票急に光りだしたんだけど。これすっごいうるさいね』
『入学式は4月2日、当日は指定の制服を着ていってください。あと必要なのは受験票と筆記用具のみです。それでは!』
『最初だけ音量下げられなかったのかなこれ?』
そして入学式当日、学院の制服で正門を通り過ぎ、教室へと向かう。ショウの教室には1-Aと書いてある。席は自由らしいので適当な場所に座るといくつかの視線を感じた。気にはなるが直ぐに教師が入ってきた。担任は遅れてくるらしく先に講堂に向かってほしいらしい。初日からぐだぐだだった。
入学式では試験での成績最優秀者に代表挨拶をしてもらう事が恒例らしい。
「次は新入生代表の挨拶ですね。新入生代表、アッシュ・ファーレン君。よろしくお願いします」
「新入生代表、アッシュ・ファーレンだ。一つ言っておかなきゃならない事がある。俺はお前達を踏み台にしてより高みへ登る。俺はまだまだ最強には程遠いからな、他の奴らは幾らでも蹴り落とす。それでも俺にしがみついてくる奴、俺の横を追い抜こうとする奴、大いに歓迎だ!その方が面白い。そして上級生の奴らも、今はまだ及ばねえ奴はいるだろうが、必ず足元に這いつくばらせるぜ!……以上だ」
それを聞いて彼を軽蔑する者、強者として憧れる者、やる気を滾らせる者、気にもとめない者など反応は様々だった。だがその後壇上に学院長が立つと誰しもがそちらに目を向けた。
「なかなか気骨のある挨拶でした。やる気が満ち溢れていて大いに結構。それに当てられて他にも影響があるならそれもいい。互いに影響しあうからこそこういう教育機関に意義が生まれるのだからね。さて、私からも一つ君達に伝える事がある。君達は未熟だ、これは事実、そして実に喜ばしい事でもある。熟していないのならば幾らでも変わる事ができる。どこまでも行ける。完成など死を迎えるその時だけでいい。完成してもこの世は止まりはしないのだからね。私は完成品が見たいのではない、その途上の輝きが見たいんですよ。だからどうか、君達にはこの学園を去るまで、去ってからも尚その先を求める者であってほしいと願っています。私からは以上です」
それぞれが学院長の言葉をどう受け止めたかは定かではないけれど、こうして入学式は終わり、教室に戻ると今度はちゃんと担任が来ていた。入学式にも途中参加だったらしいが。
「すみませ~ん、こんな大事な日に遅れてしまって……緊張してたら眠れなくて寝坊してしまって~。あ、私、皆さんの担任兼座学担当のフレミー・グレースといいます~。これからよろしくお願いしますね~♪」
優しく微笑む彼女の周りからはなんとなく和やかな空気を感じた。話を聞いていると眠気に誘われる。既に何人か寝ていた。授業中居眠りしないか心配になる。
初日は自己紹介のみ行い、授業は明日以降となる。ということで早速帰ろうと正門に向かっていたら後ろから声をかけられた。
「お前が学年で1番強そうだ、俺と腕試ししねえか?」
それはクラスで感じた視線の主の1人だった。
入学式に良い思い出も悪い思い出もないですね。
因みにアッシュは実技1位、筆記も2位とかなり優秀でしたね。