打破する未来
アヴァンテンド王国の王族は未来を見る力を持って生まれてくる。個人によって差はあれど、その力を代々受け継ぎ、国を繁栄させ、危機から逃れてきた。
「噂程度にしか聞いていませんでしたが、もし本当にそうだとすれば先程から明らかに死角からの攻撃も躱せているのは説明がつきます。貴方を殺せと言われるのも納得だ、貴方の力を煩わしく思う人間は多いでしょう」
「さっきから小言が多くて助かるわ。貴方が気を抜いてくれればその分時間を稼げるからね」
「強がらなくて良いですよ。幾ら攻撃が当たっていないといってもこのブラックボックスに生命力を吸われ続けて何ともない筈が無い。ましてや温室育ちの王女様が高ランクモンスターに襲われ続け、一撃でも受ければ致命傷になりかねない恐怖!精神的にもきついのでは?」
コレットが流れる汗を拭う。事実、一撃でも当たれば魔力障壁を張っていないコレットの命くらい、一撃で刈り取れる程の攻撃力をデモンリビングアーマーは備えている。即死を免れたとしてもその後の攻撃を躱すことは出来ないだろう。
「きついからって諦められるものじゃないわ。私には確かに未来が見える。この状況を打破する未来が」
エミールが鼻で笑いながらデモンリビングアーマーを差し向ける。
「何を言うかと思えば……。この状況を打破できると?今この場に他の者が入ってきてもこの数のデモンリビングアーマーを倒し、貴方を救い出す事など出来ませんよ」
魔法による負荷で痛む頭を押さえながら攻撃を躱し続ける。
「出来るわ!私には護衛がいるもの」
「それこそまさかだ!奴はここから1番遠い所に出るようにした。ここまで来るにも道中のモンスターもいるし、生命力も奪われている。途中でやられるのが関の山ですよ」
壁に追い込まれ、囲まれる。
「これでもまだ見えていますか?現状を打破するという幻は」
追い詰められて尚、コレットは笑う。
「ええ、見えているわ。私は死なないし、貴方は必ず敗北する。ショウ・シュヴァルツにね」
「……どうやら未来は見えても現実は見えないようだ。貴方を殺し、貴方を守れなかったと奴を嘲笑ってあげましょう。串刺しにしろ、デモンリビングアーマー!!」
エミールの命令に従い、剣を前に一斉に突き進むデモンリビングアーマー達。同時に後方に構えていたデモンリビングアーマーも矢を放つ。
(壁に追い込まれたのはこれがより良い未来へと繋がっているから。この壁の先には……)
壁が砕け、飛んできた刀にデモンリビングアーマーと矢が斬られる。
「悪い、遅くなって。ここまで耐えてくれてありがとう、お陰で護衛の役目を果たせそうだ」
「ほんと、遅いわよ。でも必ず来るってわかってたから頑張れたわ」
壁を壊して出てきたのは白銀の鎧を纏った銀髪の少年。
「あとは任せてくれ、コレット」
「任せたわよ、ショウ…!」
エミールは破壊された壁を見ながら驚愕していた。
「そんな馬鹿な……!!このブラックボックスは決して中からも外からも壊せない筈だぞ!!それを何故……」
「あくまで魔道具ですからね、魔力で創られている空間なら壊せるかもしれないって事でやってみたんですけど、流石伝説級の魔道具、鎧の力でも簡単には壊せませんでしたよ」
壊した壁の向こうには幾つもの穴の空いた壁があった。
笑うショウとは対称にエミールから笑みは消えていた。
「くそっ!だがここまで来るのに生命力も吸われ、その鎧を使ってきたなら魔力もかなり減っているだろう。その状態でこのデモンリビングアーマー達に勝てるか!」
目の前にいたデモンリビングアーマーが切りかかる。
「兵装複製」
創り出した剣でデモンリビングアーマーを斜めに斬り捨てる。
「なっ……」
「先輩、このリビングアーマー達、前より弱くなってないですか?」
後から続いて攻撃しようとしたデモンリビングアーマー達も魔剣から撃ちだされた魔法で核を撃ち抜かれ消滅した。
「鍵、奪わせて貰いますよ、先輩」
(語り部)
「コレットの魔法、連続使用すると頭が割れるような痛みが続く以外はかなり便利な魔法なんだよね。僕にとっては無用の長物だけど。因みにデモンリビングアーマーは魔法耐性が上がった分、魔力で防御してるから魔法剣で斬りやすかっただけで本来は強化されてるからね、相性が悪かっただけで強くなってるよ」




