本当に良く凌ぐ
国王、ライン・フォン・アヴァンテンドは王城で報告を受けていた。
「そうか、まさか黒魔道士の遺物が出てくるとは……」
「どうします?俺が突っ込んできましょうか?」
鎧を着た大男が国王へと問いかけると、国王は笑みを浮かべる。
「いや、騎士団長が向かう必要は無いだろう。あの学院には彼がいるからね」
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「くそっ、なんなんだよ!?急に変な場所に閉じ込められるし、モンスターの群れも出てくるしよ!」
「文句言ってる場合じゃないでしょ!?早く犯人倒さないとこのモンスター達もっと強くなるんでしょ!!」
「というか今でも精一杯なんだけどー!!」
生徒数人が犬型のモンスター達の群れに襲われていた。まだモンスターとの戦闘経験のない1期生はまともに戦えず、一緒にいた3期生らがどうにか抗戦していた。
「こっちは生命力を奪われて、相手は強くなり続けるとか状況は悪くなる一方だぜ……」
「危ない!」
生命力の低下でふらついた所にモンスターが跳びかかってきた。
(やべ……)
モンスターに噛まれる事を覚悟していたが、目前まで迫っていたモンスターは風が吹くと共に頭を切り離され、消滅した。他のモンスターもいつの間にか全滅している。
「ヒール」
先程までの倦怠感が無くなった。他の生徒の傷も治っている。
「無事でよかった…。それでは、先を急ぐので。どうにか耐え抜いて下さい」
「ちょっ…お前は一体……」
今何があったのか理解しきれていなかったが、その場を去ろうとする少年を呼び止めようとしたが、足が止まることはなく、次の部屋へと出ていってしまった。
「早くて見えなかったけど、あいつが全部やったんだろうな」
「確かあの子、この前ストレンジス先輩に勝った1期生だよ」
「何それ!?ちょう有望株じゃない!名前は?」
「確か……ショウ・シュヴァルツって言ってた」
「こっちで合ってるんだよな?イブ」
『合ってるよ。でもまだコレットのいる所にはかなり距離がある』
現在、ショウはイブの探知魔法で場所を調べながらコレットのいる場所へと向かっていた。
「今はまだ敵が弱いからだけど、時間が経って相手が強くなると厄介だな。他の人もどれだけ保つかわからない。なるべく急がないと」
『他の敵とライガ達が今戦ってるみたい。問題はコレットのいる所にエミールがいる事だよ』
「間に合ってくれよ……」
(あの娘の魔法なら凌げるかもしれないけど、エミールの力は前とは大分差がある。急ぐに越したことはないんだよね…)
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「なかなか粘りますねぇ、王女殿下」
制服を所々切り裂かれてはいたが、コレットは五体満足で立っていた。
「このデモンリビングアーマーの攻撃をここまで躱すとは思ってもいませんでしたよ。貴方一人なら容易く殺せると思っていましたが甘かったですね」
押し寄せる鎧達を水で押し返しながらも剣を躱し続ける。
(本当に良く凌ぐ……。かれこれ10分以上も攻撃し続けているのに精々が掠める程度、有効打は避け続けている。それに……)
後方のデモンリビングアーマーが放つ矢を見もせずに躱し、その他の攻撃も最小限の動きで躱し続けた。
(まるで次に来る攻撃がわかっているかのようだ)
エミールが合図を送るとデモンリビングアーマーがタイミングを合わせ、同時に襲いかかる。コレットはその内の1体へと石弾を放つ。
(そんな初級の汎用魔法を撃ったところで…)
撃ちだされた石弾は踏み出そうとした足に当たり、バランスを崩したデモンリビングアーマーが他のデモンリビングアーマーとぶつかり、転倒した。空いた隙間から抜けたコレットにすかさず放たれた矢も風の魔法で軌道を逸らされ、当たらない。
「……もしやとは思いましたが、貴方には未来が見えているのですか、王女殿下?」
デモンリビングアーマー
Bランクモンスター
リビングアーマーの亜種。光以外の属性魔法に耐性を持つ。攻撃性が上がる反面、理性が通常より低い。
(語り部)
「召喚士や従魔士がいれば欠点もある程度補えてそれなりに強いよ。たまに言う事を聞けない程に理性を失う個体もいるけれど」




