表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
STORY ~白銀の物語~  作者: 黒羽カウンター
72/105

弱いわけが無い

 試合場は生徒達で満席状態だが、いつもと違い、上級生も多く見に来ていた。


「試合場っていつも誰かしら試合してるけど、いつも満席だよな。皆暇なのか?」

「試合を見るのも勉強の内……というのもあるけど、まぁ娯楽の一つだからね。賭けもやってるみたいだ」


 試合場にショウとエミールが入る。試合場にやってきたエミールは既に勝ったつもりでいた。


「貴様の戦闘スタイルを調べ、そしてこの戦いでお前が勝つ事は決して無いと結論が出た!時間を無駄にする前に棄権してもいいんだぞ?」

「最初から棄権するなら受けはしませんでしたよ。早くやりましょう」

「ふん、平民風情がっ!身の程を教えてやる!」


 試合開始の合図と共にエミールの周りに10体の鎧の兵士が現れる。


「これは……」

「これが私の魔法、召喚魔法だ」


 召喚魔法は異界の存在と契約し、その場に召喚する魔法。それによって10体ものリビングアーマーが召喚された。


「魔力を無力化させる魔法剣もこいつらの鋼の鎧には効かない。魔法の鎧も魔力消費が大きいそうだな、数で押されれば長くは持つまい。浮遊魔法で風を起こして地面に叩きつけてもこいつらの体はびくともしない、貴様に決定打となりうる物など無かろう!」


 2体のリビングアーマーを近くに残し、残りを突撃させる。


「召喚魔法はより強く、より多く召喚するほど魔力を使い、維持するのにも魔力を使う。大抵は多くても5体程だろうけど、あのリビングアーマーは魔力を保有していない物の中ではかなり高品質の鎧みたいだ。結構魔力を使うだろうに10体も召喚するなんて、本当に優秀なんだね」

「本当によく調べてはいるんだろうな。ショウの使う魔法への対策としては万全、あのリビングアーマー達は魔剣の無いショウにとっては天敵だ」


 同時に迫る複数の刃を躱しても別のリビングアーマーが追撃してくる。


「逃げるだけでは勝てないぞ〜?逃げる事しか出来ないんだろうがな!」


 ガシャガシャと音をたてながら走ってくるリビングアーマーの動きは全身鎧にも関わらず素早い。だが、リビングアーマー達の攻撃は一向に当たらない。


(何故だ?奴に攻撃が当たらん。魔法でブーストしていない奴の速度は私の兵とそう変わらん筈、何故ああも躱し続けられる?後ろからの攻撃すら躱している。奴は後ろに目でもついてるのか?)


 エミールは不思議そうに見ていたが、イブからすればこれくらい当然の結果だった。


『いくら数を揃えてもあんな単調な攻撃が当たるわけ無いよ。ショウは空間認識能力に優れている、複数の剣を振り向かずに自分が振るうように扱えるショウには本当に後ろが見えているようなものだよ』


 リビングアーマー達を躱し、宙に浮いてエミールへと突っ込んでくるショウを護衛のリビングアーマーが阻む。


「いくら空を飛べようとお前の魔法剣は十数秒しか出せず、両手に1本ずつしか出せない。それを飛ばしてきたとして弾くのは容易い。召喚魔法の弱点たる使用者を狙おうにもリビングアーマーが守っていれば、魔剣の無いお前が私を倒す事などできないんだよ」


 ショウが拳に魔力を込め、リビングアーマーを殴るとリビングアーマーの体を貫通し、リビングアーマーの動きが止まる。


「……は?」


 その光景はエミールからすれば衝撃的だった。リビングアーマーが素手で核ごと体を貫通されて破壊されるなど思ってもいなかった。


「あの先輩、勘違いしちまったな。素手のショウが弱いわけが無い」


 ライガは呆れたように眺めていた。


「殴り合いでも俺は必ず勝てるとは言えねえ。あいつが浮遊魔法にも魔剣にも魔力を回さない分、威力は高いし、障壁も普段よりずっと硬い」

「鋼の鎧もBランク冒険者くらいの拳闘士なら素手で破壊出来る。ショウのこれまでの戦いを調べたのならショウがそれくらい出来る事くらいわかりそうなものだけどね」

「剣が無くても戦えるようにと素手での模擬戦も普段からやっている。硬いだけの鎧では防げん」


 ライガ達からすれば前提が違う。素手のショウが弱いなど誰も思っていなかった。もう一体のリビングアーマーもすぐに破壊され、エミールの護衛はいなくなった。エミールは直ぐ様護身用の剣を抜く。


「だが私の魔力障壁は学年トップ、リビングアーマーよりも硬い!私がやられなければ戻ったリビングアーマーがお前を…」

「無駄だ」


 ロウダスが呟くと、ショウの体を白銀の鎧が覆う。エミールは失念していた。魔力障壁はショウにとって身を守る術になり得ないことを。


「しまっ…」


 ショウの拳を剣で受け止めようとしても、魔力で強化された剣などこの鎧の前では何の障害にもならない。へし折られた剣ごと殴り飛ばされたエミールは壁にぶつかると同時に気絶し、リビングアーマー達は消滅した。


「勝者、ショウ・シュヴァルツ!」


 宣言と共に歓声と賭けに敗れた者達の悲鳴が上がっていた。


「あ〜、楽しかった!」


 魔法を解いたショウは楽しげに笑っていた。

(語り部)

「エミールは対戦相手を調べて対策を練るタイプの召喚魔法使い。他にも多数の種類の使い魔を召喚出来るし、本人の技量も実は高い。優秀ではあるけど、敗因は素手のショウが弱いと思い込んだことかな」


リビングアーマー

D⁻~Sモンスター

鎧の種類によってランクが変動する。今回のリビングアーマーはB⁻相当。鎧が破損しても動き続けるが、鎧の中の魔力核が砕けると機能が停止する。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ