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STORY ~白銀の物語~  作者: 黒羽カウンター
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帰路

「おう、ショウ!試験どうだった?」

「良い出来だったと思うよ。合格したらバンカさんのところの果物でケーキでも作るよ」

「そんときゃ格安にしてやんぜ!」

「ショウ坊、またラージボア狩ってきてくれよ!高く買い取るからよ!」

「いいですよ。いくらかは肉も分けてもらいますけどね」

「あらショウちゃん。今日も相変わらずイケメンね~、目の保養だわ~」

「アンナさんも相変わらず美しい。この花の中で最も美しい花だと思いますよ」

「ショウ!家に不具合はねえか?どっか壊れたらすぐ言えよ!」

「今の所大丈夫ですね。その時はよろしくお願いします親方!」

「あ、ショウお兄ちゃん!昨日は助けてくれて

ありがとう!」

「どういたしまして、ユナちゃん。走る時は足元に気をつけてね。また転ぶといけないから」

「わかったー!」


 学院から門までの道、人とすれ違う度に話しかけられる。門の前辺りの店は良く利用するから顔見知りが多い。


『相変わらず人気だね~。面倒にならない?』

『なるわけ無いだろう?話しかけられたら嬉しいだろ』

『数が多すぎるんだよ。歩けば歩く分だけ話しかけられるじゃん。顔広すぎるよ~』

『結構付き合いは長いからな』


 もうすぐ街の門に着くところで路地裏から声をかけられた。


「そこの妖精を連れた銀髪の少年、少しいいかねぇ?」


 そこには怪しげな老婆が座り、目の前には水晶玉が置いてあった。


「あたしゃこう見えて占い師でね。1つ占ってみんかねぇ?」


 これで占い師でないのならその水晶は何なのかと思わないでもないが、それよりもイブが見えていることの方が問題である。


『もしかしてこの人にも神霊がついているんじゃ?』

『いや、魔力が高い人なんかは稀に見えたり声が聞こえたりはするよ。霊感みたいなもんだね。ただ余程の魔力を持つ人じゃないとだけど、この人からはそんなに魔力は感じない。というより、この人を調べても正体が掴めない』


 イブは正体看破の魔法で老婆を見ていたがわからなかったらしい。


『イブが調べてもわからないって、もしかして人間じゃないとかか?』

『相手が神の可能性は無くもないけど、神でも見抜ける自信はあるんだけどな~』

「黙りこくってどうしたのかえ?お代ならいらんよ、どうせもう店じまい。目に入ったから気まぐれに話しかけただけじゃよ」

「まぁそれなら、お願いします」

「なら前に座っとくれ」


 促されるままに前の椅子に座る。


「どれ、お前さんの今後の転機となる人物、まぁ待ち人じゃね、その人でも占おうかねぇ」

『運命の相手でも教えてくれるのかな?』

『転機だからな、別にそういうのじゃないんじゃないか?』


 水晶玉に魔力を込め、暫く呪文を唱えていると、徐々に水晶玉に景色が映し出されてきた。


「これは……森の中じゃないかね。そこで泣いている者がおる。茨に閉じ込められておるのう」


 そこには夥しい数の茨と透き通るような白く長い髪が映っていた。


「……ここがどこかわかります?」

「そこまではわからんよ。どこの森なのか、これが今起きているのか、それとも未来に起きることなのかもあたしにゃわからんて。ただ、この子は間違いなくお前さんの前に現れる。その時どうするかはお前さん次第じゃがのぅ」

「一応忠告しておくならば、もし今お前さんがこの子の前に現れたとしても恐らくは救う事はできぬ。ただ死ぬだけじゃろうて。精々力をつけておくことじゃな、大切な物を守りたくば」

「……肝に銘じておきます」

「それでいい。さて、占いはこれで終いじゃ。お前さんも家に帰るといい。もう日も沈んできたからのぅ」

「そうですね。まだ少し肌寒いし、急いで帰るか」


 そう言って路地裏から出たら沈み行く夕陽に目を奪われた。


「あ、そういえばお婆さん。お名前は……」


 再び路地裏を覗くともう老婆の姿も椅子も水晶玉も何もかも無くなっていた。元々存在しなかったかのようだ。


『消えた……やっぱり人間じゃなかったのかな』

『いや、すぐに魔法鞄(マジックバック)に机とか入れて去っていっただけだけど』

『あ、そう』

(ただ、すぐそこの建物に入ってからすぐ覗いたのにいなくなった辺り、人間ではないかもしれないけど。瞬間移動した形跡も無いし。本当に何だろあれ)


「とっとと帰るか。力をつけろって忠告されたし、まだまだ強くなるぞ!」

『そうだね~、考えてもわからないし、もういいや。それより前祝いに今日の夜は豪勢な物にしない?』

『いや明日わかることなんだから普通に明日祝えばいいだろ』


 呆れながら門へと走っていくショウだった。


誰なんでしょうねこの老婆と白い髪の子。皆さんは怪しい人にはついていかないで下さいね。

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