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STORY ~白銀の物語~  作者: 黒羽カウンター
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帰ってきたアッシュ

 スタンピードが起きてから1ヶ月が経った。騎士団は今も忙しそうに、スタンピードが起きたダンジョンの調査を行っている。

 ダンジョンの入り口には隠蔽の結界が貼ってあったようだがスタンピードで中から壊されていた。ダンジョン内には多くの装置と、実験に使用されたと思われるモンスター達の死体が転がっていた。魔力の供給が無くなった今でもモンスターがまだ出てきていて騎士団が調査の合間に討伐している。

 ショウ達の方はロイドが自身の家に帰り、日常が戻ってきた。


「ショウ・シュヴァルツ!俺と戦え!!」

「……前に俺にコテンパンにやられたのにショウに挑みにくるなんてな」


 生徒で賑わう昼休みの食堂で食事していた時、唐突にアッシュに勝負を挑まれたショウ。両腕の骨折が完治したライガが呆れる。


「構わないぞ。今からか?」

「ああ!試合場の使用許可は取ってある。今からやるぞ!」


 試合場には話を聞きつけて多くの観客がいた。


「というかなんでショウなんだ?リベンジなら俺だろ?」

「やるならより強い奴とだろ」

「……まぁショウの方が強いのは事実だしな」


 アッシュは試合場の向こう側へ歩いていき、振り返る。


「今こそ、お前を倒して俺が最強だと証明してやるぜ!」

「アッシュ様ー!修行の成果を今こそ見せる時です!」

「そいつの鼻っ柱へし折ってやって下さい!」


 反対側の入り口ではアッシュの取り巻きが声援を送っていた。


「勝てるとは思えないがなぁ」

「勝算があるから挑んで来たんじゃ無いのかい?」

「どうだか…」

「………」


 ライガ達の声を背に、ショウが前に進む。


「どれだけ強くなったのか、楽しみだ」

「それでは、始め!」


 審判を受けてくれた教師の開始の宣言と共に炎弾が飛んでくる。ドーム状の水の膜の中にいるショウには届かない。


「エクスプロードフレアッ!!」


 巨大な炎が触れた水を蒸発させ、爆発する。爆炎の中から飛んできた6本の刀を手でいなす。


「おっ、あいつ身体強化と魔力障壁が使えるようになったんだな」


 それまでのアッシュであれば6本の刀の速度についていけず、それらから放たれる魔力だけでやられていたかもしれない。


「だが俺は修行を重ね、そのどちらも習得した!これで条件はお前達と同じ!」


 刀から撃ちだされる魔法を火球で相殺する。


「上にいるのはわかってるぞ、ショウ・シュヴァルツ!」


 土煙の先にショウはおらず、上空から降下してくるショウ。そこに火球が投げ込まれる。


兵装複製イマジナリーウェポン


 前方へ飛ばした剣が火球を裂き、そのままアッシュに突き刺さる。


「魔力障壁を貫通しただと!?」

「その剣は魔法や魔力障壁の影響をかき消す。さぁ、どんどんいくぞ!」


 飛んでくる魔剣とそれから放たれる魔法、そしてショウ自身の連撃が凄まじい。


(ショウが持っているのはさっきの創り出した剣、なら残りの2本は…)


 足下の地面から飛び出してきた2本の刀をギリギリで躱すが、体勢を崩した所をショウに蹴り飛ばされる。


「がぁっ!」

「まだやれるか、アッシュ?」

「……当たり前だ!」


 足下を爆発させ、推進力を得たアッシュが腕に炎を纏う。


「フレイムアーム!」


 炎を纏った拳をショウが手で受けると、拳から炎が吹きだし、その火力で前方を焼き払った。


「出し惜しみはしない」


 炎に包まれたその体には白銀の鎧が纏われ、その身には火傷一つない。


「それが噂の鎧だな。俺の最大火力で吹き飛ばしてやる!」


 両腕で2つの巨大な火球を生み出し、合成すると、燃え盛る巨大なエネルギー体が前方に現れる。


「おいおい、まじかよ…」

「この魔法一撃だけなら僕達の魔法よりも高威力だろうね」

「ここまで熱気が届く…暑い」

「これが俺の編み出した、エクスプロードバーンだァァァ!!!」


 アッシュの全魔力を注ぎ込んだ一撃は、周りの魔剣も丸ごと吹き飛ばし、ショウに直撃した。


「……大した威力だ、あのワイバーンの炎より威力はあるかもな!」

「なっ!?」


 炎の中から飛び出したショウには尚も火傷一つなかった。


「馬鹿なァァァァァ…アガァッ!?」


 拳が腹に決まり、壁に叩きつけられたアッシュは気を失っていた。


「アッシュ・ファーレン、戦闘不能により、ショウ・シュヴァルツの勝利!!」


 審判の宣言と同時に歓声が上がる。


「アッシュ様ー!ご無事ですか!?」


 割と直ぐに目が覚めたアッシュが状況を把握する。


「負けたのか…あの一撃ですら効かねえとは思わなかったぜ…」

「風で空気の道を作り、水を纏って突き進んだ。ある程度は軽減できたし、残りは鎧の力で十分に耐えられた。それでもまともに直撃してたらどうだったかはわからないな」

「まだまだ余裕ありそうな顔しやがって…」

「まだ余裕があるからな。でも、見違える程に強くなってた。楽しかったよ、アッシュ」


 ショウが手を差し出す。だがその手を掴まれる事はなかった。


「次やる時はもっと強くなって挑んでやるからな、覚悟しとけよ!!」


 指差して宣言するだけして、早足で闘技場から出ていってしまった。


「俺の歩みは止まらないからさ、そうでないと困る」


 アッシュを見送るショウ達を見下ろす者がいた。


「やっぱり彼凄いわ…!」


 その少女は目を輝かせながらも、直ぐにその場を立ち去っていった。

(語り部)

「久々の出番でやられるだけやられて帰るアッシュ。次の出番はいつになるんだろうなぁ。因みに今回はやられたけど、ライガ達とやったら結構良い勝負になるんじゃないかな?」

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